仏像、ときどきワンダー観光

おもに仏像のこと。不思議スポットやふつうの観光の話もたまにします

【奈良国立博物館】藤田美術館展 ‐ 曜変天目茶碗(よりも仏像の感想)

藤田美術館展

先日奈良を訪れた際は、あいにくの雨でした。

東大寺や春日大社にでも行こうと思っていたのですが、雨の中長い参道を歩いたり、お堂に入る度に濡れた傘を畳んだりするのはけっこうしんどい(寒かったし)。

というわけで、奈良国立博物館に駆け込みました。

仏像館でまったりしようか、いや、少し時間があるし、と目に入ったのが、特別展の「藤田美術館展」。

ポスターには何やら宇宙みたいな模様の器が載っている。
器にはあまり興味がないけれど、と思いつつ、1500円の観覧料金を支払いました。

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藤田美術館展 撮影スポット



ちなみに、藤田美術館は、明治期に活躍された実業家の藤田さん親子が開館。
明治維新以降、ないがしろにされがちだった文化財を救ったのだとか。

現在、藤田美術館はリニューアルに向けて休館中ということで、奈良国立博物館にコレクションたちがやってきたそうです。

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曜変天目茶碗には長蛇の列

展覧会の目玉はやはり曜変天目茶碗。
現存するものは世界に三つと言われているそうです!

窯の中で、偶然に偶然が重なってできる産物。
万に一つくらいしかできないらしい。
しかも、いまだにそのメカニズムは完全には解明されていないとのこと(すごく気になる)。

美しい模様もさることながら、世界に三つと聞くと、「見ておきたい!」となりますね。

やはり、会場に入るとすぐ、長蛇の列。
間近(最前列)で曜変天目茶碗を観るためには行列に並ぶシステムでした(正確にはわかりませんが、並び始めてから見るまでに数十分はかかるのではないかと……しかも、曜変天目茶碗にたどり着いても、数十秒程度しか見れないようでした)。

最前列での鑑賞でなければ、列に並ぶ必要はないとのことだったので、私は後ろのほうから見ることにしました。

ただ、やはり遠くから観るのでは、その魅力を存分に感じることは難しかったです。
なんたって、茶碗のフチらへんしか見えない(汗)
かなり背の高い方なら、もうちょっと深いところまで見えるかもしれませんが……。
皆さんが時間をかけて並ばれるのもよくわかりました。

ただ、フチだけとはいえ、宇宙のような、星座早見表のような、ファンタジックな模様を確認できました。


本記事を書くにあたり、藤田美術館臓以外の曜変天目茶碗の写真(静嘉堂文庫美術館蔵、大徳寺龍光院蔵)も検索してみたのですが、同じ曜変天目茶碗であっても、模様が結構違うのですね。

本当に、さまざまな条件が影響しあった上での斑紋なのだなぁ、と実感しました。

 

BRUTUS(ブルータス) 2019年5/1号No.891[曜変天目 宇宙でござる! ?]

BRUTUS(ブルータス) 2019年5/1号No.891[曜変天目 宇宙でござる! ?]

 

 



仏像の感想

さて、曜変天目茶碗もいいですが、仏像の展示もありました!
写真等ないので、伝わりにくいかもしれませんが、記録として残しておこうと思います。


快慶作の地蔵菩薩立像

肌のすべすべとした質感、布かと思うくらいしなやかな衣、このあたりがいかにも快慶!という感じでした。
ちなみに、玉眼は行快(※)が担当したそうです(説明パネルより)。
驚いたのは、衣の着色がかなりきれいに残っているところです。
赤とグリーンの衣で、截金文様も美しい。

(参考)※行快について言及している過去記事

 

 地蔵菩薩立像の写真は、奈良国立博物館の公式ウェブサイトに載っていますのでぜひご覧ください。

www.narahaku.go.jp


もう一体、快慶っぽい雰囲気の阿弥陀如来も展示されていました。

私としては「これ快慶作っしょ」と思ってしまったのですが、パネルによれば、「快慶っぽいけど、截金文様が快慶のそれとは異なる」的なことが書かれていました。

截金文様だけ別の工房が担当するなんてことも、もしかしてもしかすると、あったのかもしれませんね、想像の域を出ませんが。

千体聖観音

興福寺伝来、像高20~30cm?(くらいに見えた)の小さめの観音像。

藤田美術館では50軀も所有しているそうで、そのうち20軀が展示されていました。

表情やら身体の感じが一体一体異なっています。おそらくいろんな方(修行中の仏師とか含め)が彫られたのでしょう。

たくさん並べられた観音像の中に、造形が抜群に優れているものもあり、それは「師匠的ポジション」の方が彫ったのだろうなー、とか思いながら見ていました。

仏像を通して、彫った(造った)人に思いを馳せる、というのも、仏像鑑賞の楽しみの一つですね。

四天王

東大寺大仏殿のものと似ているけど、やや違うところもあり、とパネルの説明にありました。
サイズは小さいのですが、束ねている髪のたわみ方がとてもリアルでした。

十二神将

十二神将はもともとは薬師如来の眷属を務める夜叉。
(詳しくは>>>【基礎知識】十二神将とは? - 薬師如来に従う12の夜叉

平安時代以降、十二支と結びついて頭に支獣を載せるようになったそうです。

本展覧会で展示されていた十二神将も、頭に支獣を頂いていましたが、後付けされたものではないか、と説明パネルにありました。

片足をクロスさせ「あー、ヒマ」という表情(※私個人の勝手な解釈です)で頬杖をつく午神がお気に入りでした。

空也上人

空也上人といえば、六波羅蜜寺ですよね。
本展覧会で展示されていたものは、六波羅蜜寺よりも像高は少し低めに感じました。
頭が少し大きいような。
5頭身くらいなので、子供のスタイルに近いような印象を受けました。

六波羅蜜寺の空也上人像(鎌倉時代前期)が先にあって、こちらは後(南北朝~室町時代)に造られたもののようです。

 (過去記事)


参考記事

藤田美術館の空也上人立像 奈良市の隔夜寺ゆかりか - 産経ニュース

 

おわりに

藤田美術館展、曜変天目茶碗と仏像について感想を書きましたが、ほかにもかなりの数の展示物がありました。
じっくり観ていたら一日なんてあっという間です。

グッズも魅力的でした。
個人的に良かったのは曜変天目茶碗の模様のマスキングテープ!!
買おうか迷ったのですが、マスキングテープって、使い道がありそうで意外となく、自宅にたまりつつあるので、とりあえず保留としました。

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