弁才天(弁財天)とは?
(Amazonより海宇工芸(kaiu art) 木彫り仏像-小仏 【弁財天(弁才天)】立像 )
「弁天さま」として親しまれている弁才天。
元はインドの川を神格化した水の神様でした。
水の流れる音から連想して、音楽の神になり。
さらに弁舌の神と融合して学問の神としても発展していったようです。
日本では、室町時代以降は「弁財天」とも書くようになり、財宝の神様としても信仰されるようになりました。
七福神のメンバーでもありますね。
また仏教では、梵天の妻とされています。
詳しい特徴を見ていきましょう。
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弁才天像の特徴
大きく分けると、
①(基本型)腕が8本のお像
②(基本型)腕2本のお像
③(特殊型)宇賀神と習合したお像
があります。
① 腕が8本:一面八臂(いちめんはっぴ)
お顔はひとつ、腕が8本。
各手には弓、刀、斧などの武器をもっており、仏教の守護神的な面もあったようです。
日本に弁才天がやってきた奈良時代の頃のお像は腕8本が基本です。
② 腕が2本:一面二臂
平安時代頃から腕が2本(=人間と同じスタイル)のお像がつくられるようになります。
さらに鎌倉時代には、裸で琵琶を弾くお像が流行(音楽神としての性質がつよい)。
(Amazonより栗田仏像ブランド【諸天神】琵琶持ち弁才天座像4.5寸)
③ 頭上に宇賀神を載せる場合も(宇賀弁才天)
宇賀神(うがじん)とは、日本古来の穀物の神様。
ヘビの体で、頭部だけ人間(老人や女性)という不思議な姿をしています。
この宇賀神を頭に載せた「宇賀弁才天」というお像もあります。
(Amazonより栗田仏像ブランド【諸天神】宇賀弁才天(八臂)座像3.0寸)
お寺でも神社でも祀られる
日本では、「仏様(仏教)」と「神様」は分けて考えることが多いですが、弁才天像はお寺でも神社でも祀られます。
なぜかというと「市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)」(←日本の海の女神)と弁才天が同一視されたため。
(先に紹介した宇賀弁才天も日本の神様と習合した例です)
水辺に祀られることが多い
もともと水の神様なので、水辺に祀られることが多いです。
水辺でなくても、境内の池の小島にお社やお堂がある例も多いですね。
(嫉妬深い?)
弁天さまは嫉妬深いので、カップルや夫婦は別々にお参りせよ、とよく言われますよね。
実際に「別々にお参りください」と案内している場所もあります。
真偽のほどは不明ですが、気になる方はご注意を。
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弁才天像の実例
【日本三弁天】
神奈川(江ノ島) 江島神社 辺津宮(へつみや)
江島神社境内には、お社エリアが三つあり、そのうちの辺津宮というところの、「奉安殿(ほうあんでん)」に妙音弁天像(裸形で琵琶を抱える姿)がまつられています(三弁天のひとつ)。
ほかに、八臂弁財天像(腕8本)も祀られており、こちらのほうが仏教色が強いような印象(持ち物などから)です。
公式サイト>>>ご宝物|江島神社について | 【公式】日本三大弁財天・江島神社
滋賀 竹生島 宝厳寺&竹生島(都久夫須麻)神社
琵琶湖に浮かぶ竹生島には複数の弁天さまがお祀りされています。
宝厳寺の大弁才天(秘仏)が三弁天の一つのようです。
ただし、お姿を拝見できるのは代わり(お前立)の像。
60年に一度、開扉されるそうですが、次は2037年!
竹生島・宝厳寺 ~西国第三十番札所~ │ 宝厳寺探訪(本堂・弁才天)
広島 大願寺・厳島神社
大願寺には八臂タイプの弁才天(厳島弁才天)がまつられています。
元は厳島神社におられたようですが、明治の神仏分離で大願寺に移動。
開扉日は6月17日のみ。
その他 腕が8本の例
奈良 東大寺ミュージアム
以前は東大寺の法華堂に安置されていたようですが、現在は東大寺ミュージアムにおられる奈良時代の弁天像(立像)。
損傷が激しいですが、日本最古とされる貴重なお像。
このお像の模造が奈良国立博物館の1階に展示されています。
(弁天像には触れていませんが東大寺ミュージアムのレポート↓)
shishi-report-2.hatenablog.com
奈良 興福寺 三重塔(7/7のみ開扉)
興福寺境内の西側にある三重塔。
こちらに八臂の弁才天と眷属の十五童子が安置されています。
弁才天は頭上に鳥居を載せているタイプ。
年一回(7/7)の開扉です。
興福寺境内散策↓
shishi-report-2.hatenablog.com
腕が2本の例
神奈川県 鎌倉国宝館
琵琶を弾く横座りスタイルのお像。
腰布のみまとった裸形像ですが、祀られるときは着物をつけています。
鎌倉市のサイトに写真がありました>>>鎌倉市/収蔵品紹介(彫刻)
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おわりに
身近なようで、意外と知らないことも多い弁天様。
水辺に祀られることが多いのも、元は水の神様だったからなんですね。
琵琶のイメージでしたが、腕8本タイプは武器を持っていたり。
宇賀神を頭に載せる姿もなかなかインパクトがあります。
弁天様は嫉妬深いので、仲良き男女は別々にお参りしなさい、とよく言われますので、お参りの際はお気をつけて。
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・写真と3行解説つき↓
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・4階層の解説↓
shishi-report-2.hatenablog.com
参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)