梵天(ぼんてん)とは?
梵天は、お釈迦様に仏教を広めるようすすめた存在。
元はバラモン教・ヒンドゥー教の神様です。
天部のなかでは最高位の存在となります。
仏像としては、帝釈天とコンビを組んで、釈迦如来の脇侍をつとめます。
詳しい特徴を見ていきましょう。
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梵天の特徴
梵天像は、密教以前(顕教)と、密教以降(密教系)では、お姿ががらりと異なります。
密教以前:温和な貴人の立ち姿
お顔一面に手が二本、つまり人間と同じお姿。
髪を高く結い上げ、貴族が着る礼服を着て、つま先が上に向いた革のくつ(高鼻沓)を履いています。
また、服の下に甲冑をつける場合も!
持物(じもつ)を持つ場合は
・柄香炉(えごうろ):柄のついた香炉)
・払子(ほっす):毛や繊維を束ねて柄をつけた法具。毛の長い筆のようなイメージ。汚れを払う。
・巻子(かんす)
などなど、いろいろあるようです。
密教系:四面四臂 四羽のガチョウに乗ることもある
通常のお顔の左右に二面、頭上に一面で、合計四面のお顔です。
常に四方に目を配っているのだとか。
手も四本です。
さらに、四羽のガチョウの上に蓮華座を置き、その上に座る例もあります。
持物を持つ場合は、
・蓮華(悟りの象徴)
・水瓶(汚れを払う水入り)
・鉾
など。
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梵天像の実例
単独で祀られるケースはほとんどなく、釈迦如来+梵天+帝釈天の三尊形式が多いようです。
立っている像
奈良 東大寺 法華堂(三月堂)
なんと像高4メートル越え!
密教以前の、貴族風のお姿です。
shishi-report-2.hatenablog.com
ちなみに、東大寺ミュージアムのほうにおられる日光菩薩・月光菩薩は、そのお姿からすると元は梵天&帝釈天だったのでは、と考えられています。
shishi-report-2.hatenablog.com
愛知 瀧山寺
天才仏師・運慶とその子湛慶によって造られた、四面四臂のお像。
私は過去の「運慶展」で拝観しましたが、白いお肌、青い髪、模様の美しい腰巻に、思わずうっとりでした。
滝山寺・滝山東照宮|岡崎の観光スポット|岡崎おでかけナビ - 岡崎市観光協会公式サイト
ガチョウの上に座っている像(密教系)
京都 東寺 講堂 (立体曼荼羅のうちの一尊)
東寺講堂内でも、人気で人だかりができていた梵天像。
天を仰ぐようなガチョウの躍動感も良いですね。
お顔のアップ(Amazonリンクより)。シュッとされています。
shishi-report-2.hatenablog.com
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おわりに
密教以前と以降では随分と姿が変わる梵天像。
四面四臂でガチョウに乗る梵天像は華があって人気なので、仏像観賞を始めたばかりの方にもおすすめ。
一方、貴族風のお像は、梵天さんだと見分けるのが難しかったりするので、勉強の余地がありそうです。
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参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)