不空羂索観音(ふくうけんさくかんのん)とは?
※「ふくうけんじゃくかんのん」とも読みます。
不空(ふくう)とは「空しくない」ということ。
羂索(けんさく、けんじゃく)とは、狩りなどに使う投げ縄のこと。
つまり、この縄を投げて、すべての人をもれなく救ってくれるのが不空羂索観音です。
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不空羂索観音の特徴
羂索(投げ縄)を持っている
縄の両端には、金剛杵(半分)や、環っかがついています。
(羂索のイメージ)
これ以外にも、蓮華、錫杖(しゃくじょう)、払子(ほっす)などの持物も持ちます。
第三の目をもつ
通常の二つの目のほかに、額にもう一つの目(縦)を持っています。
(第三の目 イメージ)
一面三目八臂(いちめんさんもくはっぴ → お顔が一つ、目が三つ、手が八本)のお姿が主流です。
鹿皮(ろくひ)をまとっている
鹿皮(ろくひ)とよばれる衣を肩からまとっています。
(鹿の皮でつくったショールという感じかと)
開いた蓮華をもつ
観音菩薩は、基本的にはつぼみの状態の蓮華(「よりよい世界へと心を成長させる過程」を表現している)を持つのですが、不空羂索観音はすこし開いた蓮華をもつことが多いです(東大寺、興福寺、不空院のお像)。
少し開いた蓮華は「今まさに悟りを開いた」ことを表現しています。
不空羂索観音像の実例
作例は他の仏像に比べると少ないようです。
奈良時代に流行したため、奈良の寺院に集中しています。
(不空院でうかがったお話によると、不空羂索観音は全国で10体、うち4体が奈良だそうです)。
三不空羂索観音
奈良 東大寺(法華堂)
362cm もあり、光背も非常に美しい奈良時代のお像。
法華堂の仏像はすべて3~4メートルと大きく、国宝ですので、仏像好きには確実におすすめです。
詳しい拝観レポート>>>東大寺 法華堂の仏像たち - オール国宝&3~4メートルの迫力あるお姿
公式サイト>>>法華堂(三月堂)|参拝のご案内|華厳宗大本山 東大寺 公式ホームページ
奈良 興福寺 南円堂(10/17のみ開扉)
康慶(運慶のお父さん)をリーダーとする慶派仏師によって造られた不空羂索観音坐像。
3メートル超えで迫力もあります。
大変素晴らしくて、興奮した思い出。
南円堂は通常は非公開、年に一度、10月17日に御開帳となります(※まれに1か月程度公開になることも)。
開帳日に合わせて奈良に行くのは大変かもしれませんが、仏像好きの方は日程調整してでも行く価値ありです。
詳しい参拝レポートは【奈良】興福寺 南円堂 (10/17のみ開扉)- 336 cmの不空羂索観音&今にも動き出しそうな高僧像(法相六祖坐像)
公式サイト>>>木造不空羂索観音菩薩坐像(ふくうけんさくかんのんぼさつざぞう) - 法相宗大本山 興福寺
奈良 不空院(本堂)
不空院は新薬師寺の近くにあるお寺。
春と秋の特別拝観時期のみ拝観可能です。
東大寺や興福寺のお像に比べると小柄で、派手さもないのですが、その分どことなく親しみを感じるお像。
お像の前に鹿がいるのは不空院像ならではの特徴(春日大社の神様が鹿に乗って不空院にいらっしゃるのですが、不空院では不空羂索観音に姿を変えるとされる)。
詳しくは【奈良】◆不空院 - 〈特別拝観〉不空羂索観音と宇賀弁財天女/縁切り・縁結びにも
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おわりに
不空羂索観音の見分け方おさらい
・まず「羂索を持っているか」
・持っている場合は、
手が八本であることを確認⇒不空羂索観音
手が二本で忿怒相(怒りの表情)をしている⇒不動明王
手がたくさん(40本など)ある⇒千手観音
といったところでしょうか。
(羂索を持っていない場合は総合的に判断)
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