准胝観音(じゅんていかんのん)とは?
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准胝観音は、たくさんの仏を誕生させる、ホトケ界の母的存在。
(天台密教では、観音ではなく仏母(ぶつも)とされます)
たくさんの仏を生み出せる存在ですから、子授けや安産のご利益があるとされています。
「准胝(じゅんてい)」とは、「限りない清浄」を意味し、限りなく仏を誕生させる真理そのものを表す
『写真・図解 日本の仏像 この一冊ですべてがわかる!』p.75
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准胝観音像の特徴
手がたくさんあるので、ぱっと見は、千手観音のようなお姿です。
よく拝見すると、千手観音との違いがわかりますので、千手観音との違いを示していきます。
千手観音との見分け方
腕は18本のことが多い
千手観音の手は、仏像で表現される場合は40~42本(場合によっては千本近く、それ以上のこともあります)のことが多いですが、准胝観音の腕は18本で表現されることが多いです。
また、准胝観音は額に第三の目を持っていることもあります(一面三目十八臂:いちめんさんもくじゅうはちひ→お顔1つ、眼が3つ、腕が18 本)。
説法印を結んでいる
千手観音は胸の前で合掌しているのですが、准胝観音は説法印(両手とも指で輪をつくり、胸前に上げる)などを結んでいます。
(↑描くの難しかった……。左右で絵のタッチが全然変わってしまった……)
千手観音か准胝観音か、判別に迷った場合は、「印相(合掌か、説法印か)と腕の本数(多いか少ないか)をチェック」ということになりますね。
准胝観音像の実例
仏像観賞をしていても、准胝観音はあまりお見掛けしないので、(木造の)作例は少ないのかもしれません。
京都 大報恩寺
京都の大報恩寺は六観音(六道から救済する6種の観音菩薩)が有名。
そのうちの一体が准胝観音です(※)。
(※ 天台系の宗派では、六観音は准胝観音ではなく不空羂索観音となります
私は東京国立博物館にて開催された展示で拝観しました。
定慶(肥後定慶、運慶の弟子)の作とされています。
(准胝観音の胎内に定慶自筆の銘が入っていたため)
(六観音について、少し書いています)
shishi-report-2.hatenablog.com
公式サイト>>>トップページ|千本釈迦堂 大報恩寺
滋賀 黒田観音寺
お寺に伝わる情報としては「千手観音」のようですが、造形から判断すると、「准胝観音」といえそうです。
(仏像の写真あり)
黒田観音寺 伝千手観音立像 | 長浜・米原・奥びわ湖を楽しむ観光情報サイト
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おわりに
准胝観音は、仏像としてはあまりメジャーでないかもしれませんが、「子授け・安産」のご利益があると言われています。
広い意味で考えれば、芸術作品なども、自分の「子」のようなものですので、アート系の方にもおすすめの仏像と言えるかなと思います。
参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)