十王(じゅうおう)とは?
十王は、死者を裁く冥府の裁判官たち10人(王)組(閻魔王がリーダー)。
亡くなってから3年の間、10回もの裁判が行われますが、各忌日(初七日など)に担当の裁判官が配されています(この考えは、本来の仏教の形ではなく、中国などの道教の影響を受けています)。
詳しい特徴を見ていきましょう。
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十王メンバー
初七日:秦広王(しんこうおう)
二十七日:初江王(しょこうおう)
三十七日:宗帝王(そうていおう)
四十七日:五官王(ごかんおう)
五十七日:閻魔王(えんまおう)※裁判長
六十七日:変成王(へんじょうおう)
七十七日:太(泰)山王(たいざんおう)
百か日:平等王(びょうどうおう)
一周忌:都市王(としおう)
三回忌:五道転輪王(ごどうてんりんおう)
日本では十王に対応する菩薩がいる(本地仏)
閻魔さまが「地蔵菩薩の化身」という考えは中国からの影響のようですが、閻魔王以外の十王にも対応する仏が存在するという考え方もあります(日本独自の信仰)。
秦広王:不動明王
初江王:釈迦如来
宗帝王:文殊菩薩
五官王:普賢菩薩
閻魔王:地蔵菩薩
変成王:弥勒菩薩
太(泰)山王:薬師如来
平等王:観世音菩薩
都市王:阿閦如来/勢至菩薩
五道転輪王:阿弥陀如来
『天の仏像のすべて』枻出版社(2013)p.112
鎌倉時代などの武士は、幾人もの人を殺しているので、地獄落ちが確実と考えらたようです。
となると、日頃から各裁判官(の本地仏)にお願いしておこう、という気持ちになるのも、わからなくはないですね。
十王像の実例
神奈川 円応寺 閻魔堂
運慶作と伝わる閻魔大王を中心に、十王たちがどっしりと座っている円応寺の閻魔堂。
閻魔さまをはじめ、全員が大変厳しいお顔なので、居ても立ってもいられない気持ちになりそう。
公式サイト>>>鎌倉円応寺 閻魔様の寺
奈良 矢田寺 閻魔堂
肩をいからせた大きな閻魔様を中心に、左右に十王たちが並んでいます。
お堂の外からのぞき込む形式なので、細部は見づらいところもありますが、思わず裁判の様子を想像してしまいました。
矢田寺閻魔堂 拝観レポ>>>【奈良】矢田寺 閻魔堂 - 地獄裁判のようすを垣間見た気分に
shishi-report-2.hatenablog.com
長野 善光寺 本堂 外陣(げじん)
本堂の西側に、閻魔像を中心として小ぶりな十王像がまつられています。
戦前は、閻魔さまの前を通って(=死)内陣・内々陣に入っていった(極楽浄土)そうで、ここから仏の世界へうまれゆくということを表現していたのだとか!
公式サイト>>>外陣・内陣|善光寺
(参考 閻魔像にはあまり触れていませんが善光寺本堂外陣の拝観レポ)
shishi-report-2.hatenablog.com
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おわりに
「閻魔さま+従者」の例はわりとありますが、十王メンバーが勢ぞろいしているのは比較的珍しいようにも思います。
十王メンバーに囲まれつつ、自己を省みるのもたまにはいいかもしれません。
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参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)