歓喜天(かんぎてん)とは?
象の頭を持つ男女が抱き合う形で表わされることが多い歓喜天(別名:聖天)。
なぜそんな姿をしているかというと……。
元は、ひどい悪者で、人々を苦しめていた悪鬼たちのドン。
十一面観音に説得され、美女と結ばれることと引き換えに仏教を信じることになったというエピソードがあります。
このエピソードから歓喜天は、人々の欲望を成就させることで心を静める、とされています。
日本では、商売繁盛の神様として信仰を集めてきました。
また、男女一体の像であることから、恋愛成就、夫婦円満、子宝の神という面もあります。
秘仏中の秘仏で、実際にお像を拝見することはほぼ不可能なのもまた特徴のひとつといえるかもしれません。
詳しい特徴を見ていきましょう。
広告- - - - - - - - - -
歓喜天像の特徴
頭がゾウ、身体はヒト
ヒンドゥー教の「ガネーシャ」がルーツ(※実際はヒンドゥー教以前の民族神らしい)のため、頭部はゾウの姿です。
大きく分けると単身と双身の2タイプ
単体の一身像と男女が抱き合う姿の双身像があります。
一身像は、手斧と大根を持つことが多いです。
なぜ大根かというと、悪神時代に大根と牛肉ばかり食べていたからなのだとか。
双身像は男女の天が抱き合う姿(中国で発展)。
日本ではこちらのほうが有名かと思います。
歓喜天をお祀りするお寺
基本的に秘仏ゆえ、お像を観ることはほぼ不可能のため、歓喜天を祀っているお寺を紹介していきます。
三大聖天としては、(諸説ありますが)「生駒聖天」「待乳山聖天」「妻沼聖天」とするのが一般的なようです。
奈良 宝山寺(ほうざんじ)【生駒聖天】
「生駒の聖天さん」と親しまれている宝山寺。
一般的なお寺ともちょっと雰囲気が違って、どこかエキゾチックな雰囲気が漂っています。
商売繁盛の神様でもあるので、砂金袋モチーフのお賽銭箱などがあり、境内を歩いているだけで楽しい。
shishi-report-2.hatenablog.com
東京 本龍院 【待乳山聖天】
待乳山聖天というお名前のほうが有名ですが、正式には本龍院といい、浅草寺の支院のひとつ。
公式サイト>>>待乳山聖天
埼玉 歓喜院【妻沼聖天】
本殿(聖天堂)が国宝に指定されているらしく、建物好きとしても興味深い。
公式サイト>>>妻沼聖天山 | 国宝、妻沼聖天山へようこそ
広告- - - - - - - - - -
おわりに
お祀りしているお寺は多いものの、その多くは秘仏で、ベールに包まれた存在の歓喜天。
ごくたまに、一般のお寺の、宝物などを管理する棚にしれっと安置されていたりすることもあります(文化財というよりは僧侶あるいは一般の方が彫ったお像かな、と思いますが)。
お姿を拝見できなくとも、大根や砂金袋モチーフがかわいいので、境内散策も楽しいです。
他の仏像をさがす
☆ 仏像の種類一覧
shishi-report-2.hatenablog.com
shishi-report-2.hatenablog.com
参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)