訶梨帝母(かりていも)〔別名:鬼子母神(きしもじん)〕とは?
子どもを抱いて座る姿が印象的な訶梨帝母(かりていも)。
別名の「鬼子母神(きしもじん)」のほうが有名かもしれません。
元はインドの鬼神の妻で、人間の子どもを捕えて食べてしまうという恐ろしい存在でした。
困った人々が釈迦に相談。
釈迦は、訶梨帝母の500人(1万という説もある!)の子のうち、末っ子を隠してしまいます。
すると訶梨帝母は半狂乱。
子を失う母の気持ちを実感した訶梨帝母は改心し、子授け・子育て・安産・子どもを守る神となった、と言われています。
詳しい特徴を見ていきましょう。
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訶梨帝母像の特徴
天女の姿と恐ろしい鬼神の姿、2種類のお像が存在します。
天女形
(写真はAmazonリンクです)
子どもを抱いている
優しいまなざしでゆったりとした衣をまとい、小さな赤ちゃんを抱いています。
右手には吉祥果(ザクロの実)を持つ
多産の象徴であるザクロの実を持っています。
子どもを食べられなくなった訶梨帝母に対し、釈迦がザクロ(味が似ている説がある)を食べるようにすすめたのだとか。
鬼神形
日蓮宗では、恐ろしい鬼神の姿で表現されます。
『法華経』の陀羅尼品というご祈祷のご本尊が訶梨帝母なのですが、法華経を信じる人を邪魔する者を威圧するために、鬼のような姿になった(江戸時代)ようです。
忿怒相
怒りの表情で、髪も男性のように後ろになでつけるか、あるいは振り乱しています。
合掌している
持ち物は持たず、手を合わせて合掌のスタイルです。
訶梨帝母像の実例
天女形
奈良県 東大寺 参籠所(ほぼ非公開)
二月堂の石段を下りたところにある、参籠所(さんろうしょ)。
修二会のときに練行衆たちが寝泊まりする場所。
お堂の外から訶梨帝母像にお参りすることはできますが、お写真が飾ってあるのみで、お姿は拝見できません。
平安時代のお像で、少し遠くを見やるような憂いのある表情。
ごくたまーに、仏像展にお出ましになることはある(例:2021年龍谷ミュージアム)ようなので、その機会があったら逃さないようにしたいです。
滋賀県 園城寺(三井寺)御法善神堂
お写真は公式サイトから見ることができます
公式>>>三井寺>名宝の紹介>仏像>訶梨帝母倚像
鎌倉時代のお像で、写実性に富んでいます。
鬼神系
東京都 法明寺 (雑司ヶ谷鬼※子母神)
※鬼の字は一画目の点がない鬼
境内に立っている鬼子母神。
公式サイトで写真が見られます>>>鬼子母神 鬼子母神像(きしもじんぞう)
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おわりに
けっこういろんな仏像に会ってきましたが、訶梨帝母像にはあまりお目にかかってこなかったので、比較的像例は少ないのかなと思います。
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参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)