孔雀明王(くじゃくみょうおう)とは?
羽を広げた孔雀の上に乗る孔雀明王。
なぜ孔雀に乗っているかというと、孔雀は毒蛇や毒草を食べるといわれるから。
孔雀が毒蛇を食べるのと同様に、孔雀明王はあらゆる毒(病気、煩悩、災難など)を食べつくしてくれます。
ですから、病魔退散、病気平癒、延命の仏としても信仰されます。
詳しい特徴を見ていきましょう。
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孔雀明王の特徴
明王では唯一のおだやかなお顔
明王といえば、怒りの表情(忿怒相)をしているのが定番ですが、孔雀明王だけはおだやかな表情をしています。
インドでは、孔雀明王は女性が神格化した存在なので、柔和な表情なのだそうです。
他の明王は髪の毛を逆立てていますが、孔雀明王だけは豪華な宝冠を被っているのも特徴的。
表情も佇まいも菩薩の特徴を持っているので、「孔雀明王菩薩」とも呼ばれたこともあるようです。
孔雀の羽やくだものを持っている
腕は2、4、6本の例がありますが、4本の例が多いようです。
その手には、孔雀の尾、レモンなどの柑橘類(倶縁果:ぐえんか)、ざくろの実(吉祥果:きちじょうか)、蓮華などを持ちます。
他の明王たちは、主に武器などを持っていることを踏まえると、極めて平和な持物(じもつ)ですね。
明王としては特異的です。
孔雀明王像の実例
仏画に描かれることが多く、彫像は少ないようです。
孔雀に乗っているので、坐像が基本となります。
和歌山 金剛峯寺 高野山霊宝館
天才仏師・快慶の初期の頃の作品。
孔雀の羽でできた光背も豪華で美しい。
公式サイト>>>高野山霊宝館【収蔵品紹介:仏に関する基礎知識:孔雀明王】
奈良 正暦時 福寿院
奈良市南東部の山間にあるので、お車か、「電車+タクシー利用」となります。
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おわりに
羽を広げた孔雀に乗る孔雀明王。
明王なのに、穏やかで優雅なお姿が特徴です。
でも、あらゆる毒を食べつくすので、明王の豪快さも兼ね備えています。
孔雀明王の彫像例は少ないので、仏像展などで拝観できるととてもラッキーだと思います。
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参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)
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