空也上人(くうやしょうにん)
(Amazonリンクよりイスム TanaCOCORO(掌) 空也上人 仏像 フィギュア)
空也さんは平安時代、念仏を唱えて各地をめぐり歩いたお坊さん。
まだ仏教が貴族向けだった時代に、庶民に念仏をすすめました。
また、社会事業にも貢献(橋や道路をつくり、井戸を掘ったり、道端で亡くなった方を供養)したので「市聖(いちのひじり)」とも呼ばれます。
詳しい特徴を見ていきましょう。
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空也上人像の特徴
口から6体の仏
空也上人といえば、口から小さな仏を放っているのが特徴的ですね。
教科書か何かで初めて見たときはギョッとしましたが、6体の仏が「南無阿弥陀仏」を表しているのを知り、驚きました。
物体として保存することのできない言葉(念仏)を、仏の形で表わす、すばらしい表現手法だなと思います。
鹿の角の杖、鹿の皮をまとった姿
鳴き声を愛でていた鹿が射殺され、それを悲しんだ空也上人は、その鹿の角のついた杖と鹿の革を肌身離さず身に着けていたというエピソードがあります。
これを受けて、お像でも鹿の角杖と鹿皮をまとった姿で表現されます。
鐘をつく姿
鉦鼓(しょうこ)を胸の前に下げ、それを打つための道具をもっています。
空也上人像の実例
重要文化財として指定されているお像は全部で4体。
京都 六波羅蜜寺
京都に疫病が流行したときに空也さんが建てたお寺が現在の六波羅蜜寺。
こちらのお像は、運慶の四男・康勝の作でもあり、空也上人像としては最も有名。
口から出現する「南無阿弥陀仏」の感じ、念仏ならではの空気感があるというか、「物体ではない」ことがわかるというか……見事です。
shishi-report-2.hatenablog.com
滋賀 荘厳寺
こちらで写真見られます>>>木造空也上人立像/滋賀県立琵琶湖文化館 The Museum of Shiga Prefecture,Biwako-Bunkakan
14世紀頃のお像。
造られた当時は、六波羅蜜寺像と同じく、口から六体の仏が出現する姿だったようですが、現在は焼失(口の中に針金は残っている)。
京都 月輪寺(つきのわでら)宝物館
六波羅蜜寺像とも少し印象が異なり、カッとした目元が特徴的。
南無阿弥陀仏を表す仏は左右3体ずつに分かれているのも一味違う感じです。
かなり険しい山道を歩いていかねばならないようです(宝物館拝観は平日&連絡が必要)。遭難のケースもあるようなので、お寺の指示(遅い時間はNGなど)には必ず従ってください。
↓このサイトがとても詳しくて参考になります。
月輪寺はここしばらく存続の危機にあるそうで、ご寄進を募っておられるようです(ツイッター情報)。
愛媛 浄土寺(一般非公開)
空也さん自身が彫ったと伝わりますが、学術的には鎌倉時代の作とされます(通常非公開)。
「南無阿弥陀仏」を表す6体の仏も現存しています。
六波羅蜜寺のお像に近いですが、より痩せていて腰も少し曲がっているのでやや老年の雰囲気。
松山市のサイト>>>木造空也上人立像 1躯 松山市公式ホームページ PCサイト
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おわりに
世の中に貢献したお坊さんはとてもたくさんいますが、空也上人をより有名にしたのは仏師・康勝のおかげもあるかもしれませんね。
(もちろん、前提として空也上人の功績自体も大きいです、「市聖」と呼ばれるくらいですからね)
お像という形で後世に遺してくれたことによって、こうして私も空也さんの存在を知ることができたわけで、、、仏像はやっぱりいいなあ、と思うのでした。
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