如意輪観音(にょいりんかんのん)とは?
観音さまは相手の気質や状況に応じて、様々な姿に変身できます。
その変身後の姿のうちの一つが如意輪観音です。
お名前に「如意」とあるように「意のごとく」「思うがままに」願いを叶えてくれる仏です。
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如意輪観音像の特徴
如意宝珠(にょいほうじゅ)と輪宝(りんぽう)を持っている
如意宝珠:思うがままに願いを叶え、苦しみを取り除くもの
輪宝(法輪):煩悩を打ち砕くもの
(イメージ図 左:輪宝、右:如意宝珠)
つまり、「財も智も思うがままにかなえてくれる」ということを持ちもので表しています。
頬杖をついて(思惟手)考え事をしている
頬に手を当てて(思惟手:しゆいしゅ)、悩ましい表情をしておられるのも特徴の一つ。
(イメージ)
最初に拝観したときは、「頬杖ついているし、表情がアンニュイ! 仏像なのに気怠そうだけど、いいの?」と驚きました。
これは私の勘違いで、決して退屈とか、気怠いのではありません。
「どうしたら多くの人を救えるのか」ということを真剣に悩み、考えておられるのです!
多くの人を救済することは大変難しい問題ですので、そりゃこんな表情にもなりますわな、と納得したのでした。
手が六本
奈良時代には手が二本(人間と同じ)の像がつくられていたようですが、平安時代以降は、六本の腕(六臂といいます)を持つ例がほとんどだそうです。
六本の腕には六道(※)の苦悩から救うという意味もあるのだとか。
(※)六道は、天道、人道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道。
死後、どの世界に生まれるかは生前の行いよって決まる。
ちなみに人が生きているのは人道。
右ひざを立てる輪王座(りんのうざ)スタイル
右ひざを立て、その足の裏を左の足裏と合わせる輪王座(りんのうざ)という座り方をしています。
立てた右膝の上に、右ひじを乗せ、頬杖をついている感じです。
如意輪観音像の実例
京都 醍醐寺(だいごじ) 清滝堂
私は、2018年にサントリー美術館で開催された「醍醐寺展」で拝観しました。
(参考記事)
shishi-report-2.hatenablog.com
公式サイト>>>世界遺産 京都 醍醐寺
大阪 観心寺 (国宝)
如意輪観音像としてはいちばん有名でしょうか(国宝だし)。
秘仏のため、開扉は4/17・18のみ!
公式サイト>>>観心寺・公式ホームページ
参考 半跏思惟(はんかしゆい)像との比較
「どうしたら人々を救えるか」この壮大なテーマを考えておられる方といえば、半跏思惟菩薩像。
右手を頬に当て、思索にふけるお姿は、如意輪観音像とも共通していますね。
代表例は中宮寺のご本尊、菩薩半跏像。
shishi-report-2.hatenablog.com
中宮寺のご本尊はそのお姿から分類上は「弥勒菩薩」と考えられるのですが、お寺に伝わっている情報だと、「如意輪観音」とされているそうです。
このように、半跏思惟菩薩像(弥勒菩薩)と如意輪観音像がごっちゃになっているケースはけっこうあるようです。
半跏思惟菩薩像と如意輪観音像の違いは
・持物(じもつ)をもっているか
・手の本数
・座り方
などで基本的には見分けることができます。
(※ただし、学術的な分類はあれど、お寺に伝わっているお名前のほうを正式名称とすることが多いです)
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おわりに
如意輪観音像をご覧の際は、ぜひ表情にも注目してみてください。
粛々と考えている表情、ちょっと困っているような表情、無に近い表情、少しほほ笑んでいる表情、と仏像によってけっこう違います。
私は「ちょっと困っている」感じの表情の如意輪観音像が好きです、なんだか人間っぽくて(人間ではないですが)。
「仏でも(仏くらい偉大とされている存在であっても)難しいことはあるんだな」→「だったら私が解決できないことがあって当然だわ」みたいな、良い意味で開き直れるというか。
それにしても。
どうしたら人々を救えるか思索しつつ、如意宝珠と輪宝で人々の願いを叶えるなんて、マルチタスクの極み! なかなか忙しそうです。
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