青面金剛(しょうめんこんごう)とは?
(Ryusho 楠 彩色青面金剛 53cm 木彫り 仏像)
青面金剛は、奇病を流行させる鬼神。
それを避けるために、お像をつくって祀るようになりました。
のちに、中国の道教と結びつき、日本で独自の発展をしていきます。
日本仏教に取り入れられますが、中国やインドには存在しないという、異色の存在です。
江戸時代には庚申(こうしん)信仰の本尊となります。
●庚申信仰とは?
中国の道教が基礎となっている庚申信仰。
人の体には三種の悪い虫(三戸:さんし)がいて、宿主の悪事を見張っているとされます。
庚申の日の夜、三戸は人が寝ている間に体を抜け出して、帝釈天に悪事を報告しに行くのだそうです。
悪行がバレると寿命を短くされるので、庚申の日には寝てはならない、ということで、眠らずに宴会をして過ごす「庚申待(こうしんまち)」という風習ができました。
民間に広まったのは江戸時代ですが、平安貴族の間で始まったようです。
詳しい特徴を見ていきましょう。
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青面金剛像の特徴
青い顔・体
「青面」という名の通り、青い顔・体をしています。
忿怒相
怒りの表情で、額には三つめの眼があります。
おそろしい姿
頭上にドクロを載せたり、首や腕にヘビを巻き付けるおどろおどろしい姿。
持ち物は宝剣や羂索など。
ここまでは明王系に近い感じがするなあ、と思いきや。
手に女性をぶら下げている場合もある(こわ!)
(Ryusho 楠 彩色青面金剛像 33cm 木彫り 仏像)
青面金剛像の実例
奈良 東大寺
平安時代後期の作。
腕が6本、上半身裸、首や腕にヘビを巻き付けて立っているお像です。
長年、東京国立博物館に寄託されていたようですが、現在は東大寺ミュージアムに移ったとの情報あり。
奈良 奈良町資料館
お寺というよりは民間信仰色が強いのかもしれませんが、奈良町資料館にて青面金剛像を見学できます。
すぐ近くの庚申堂にも「庚申さん」として青面金剛像がまつられているようですが、そちらは普段はお姿は観れないようなので、資料館がおすすめ。
見学レポ:奈良町資料館 - 私設・入場無料ながらなかなかの見ごたえ/青面金剛像も
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京都 八坂庚申堂(大国山 金剛時 庚申堂)
飛鳥時代に中国から渡来した秦氏の守り本尊だった青面金剛像がまつられているようです。
公式サイト>>>http://www.yasakakousinndou.sakura.ne.jp/
最近はカラフルな「くくり猿」が有名のようですね。
手足を縛られたサルがモチーフで、「欲をコントロールして願いを叶える」お守り。
若い人にも人気のようです。
青森 最勝院
二体の青面金剛のほか、庚申待ちの塔や塚が残っています。
江戸時代の流行の様子が想像できそうです。
公式サイト>>>金剛山 最勝院
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おわりに
青いお体に忿怒相ということで、天部や明王にも似た像容の青面金剛像。
日本仏教にしか存在しないという異色の存在でもあります。
庚申信仰については「赤い丸いやつを軒下に下げる民間信仰」程度の知識しかなったかたのですが、発展の過程を知ると興味深いですね。
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参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)