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【仏像の知識】烏枢沙摩明王とは? - すべての穢れを浄化する/トイレの守護神とも

烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)とは?

極小仏 烏枢沙摩明王 12.5cm(木製:ツゲ 金泥仕上)_仏像 フィギュア 木彫り 置物(GSBうすさまみょうおう

(Amazonより:極小仏 烏枢沙摩明王 12.5cm(木製:ツゲ 金泥仕上)_仏像 フィギュア 木彫り 置物(GSBうすさまみょうおう

◆ ケガレを浄める明王

「ウスサマ」はサンスクリット語で「インドの火の神・アグニ」のこと。
烏枢沙摩明王は、すべての汚れを焼き尽くす力を持ちます。

穢れを清めるので、穢跡金剛(えしゃくこんごう)、不浄忿怒(ふじょうふんぬ)、火頭金剛(かとう(or かず)こんごう)、不浄潔金剛(ふじょうけつこんごう)など、様々な呼ばれ方があるようです。

◆ 民間信仰ではトイレの守護神

どんな汚れも焼き尽くすことができるので、トイレの守護神としても祀られてきたようです。
歳をとっても下のお世話をしてもらわずに済む、というご利益があるのだとか。

◆ 男子出生を願うときのご本尊

昔は、跡取りのために男の子が欲しい、というのがよくあったんでしょうね。
お腹の中の赤ちゃんを女の子から男の子に変える祈祷(烏枢沙摩変成男子法)というのがあり、そのときに烏枢沙摩明王にお願いしたのだとか。

◆ 天台宗では五大明王の一尊

密教系の宗派では、不動・降三世・軍荼利・大威徳・金剛夜叉の五尊で五大明王ですが、天台宗系では金剛夜叉明王の代わりに烏枢沙摩明王が入ります

詳しい特徴を見ていきましょう。

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烏枢沙摩明王像の特徴

◆ 忿怒相以外、これといった特徴が定まっていない

「忿怒相をしている」ということ以外、手の数や持物はバラバラで、「烏枢沙摩明王像といえばコレ!」的な特徴が定まっていないようです。

仏像では、片足を上げて立っているお像が多いようですが、仏画には座ったお姿が描かれたりもしています。

烏枢沙摩明王像の実例

仏像・仏画とも極めて作例は少ないようです。仏像に関しては古い時代のものもなく、せいぜい江戸時代以降のようです。

◆ 富山 瑞龍寺

烏枢沙摩明王像といえば、富山の瑞龍寺でしょうか(いろんな仏像本に載っています)。

元は東司(お手洗いのこと)に祀られていましたが、東司が焼失したため、現在は法堂に祀られているそうです。

公式サイト>>>瑞龍寺の特徴 | 国宝高岡山瑞龍寺公式ホームページ

◆ 奈良 宝山寺

ウスサマ明王(奈良・宝山寺)

 

宝山寺境内の観音堂の裏、延命水の入った蹲(つくばい)の奥に、烏枢沙摩明王像が安置されています。

公式サイト>>>寳山寺公式ホームページ

 

◆ 静岡 秋葉荘本殿 可睡斎(かすいさい)

昭和12年に完成した水洗トイレ。
大東司の中央に烏枢沙摩明王がまつられています。

公式>>>日本一の大東司(だいとうす)と烏蒭沙摩明王 | 秋葉総本殿 可睡斎

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おわりに

「トイレをきれいにすると運気が上がる」なんてよく言われますが、実際に感染症などはトイレから広がったりしますので、理に適っているんですよね。

医療が発達していない昔は、より病気の恐怖が大きかったでしょうから、トイレの守護神が民間信仰的に広がっていったのも納得がいきます。

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参考文献

仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)

写真・図解 日本の仏像 この一冊ですべてがわかる!

イラストでわかる 日本の仏さま (文庫)