仏像、ときどきワンダー観光

おもに仏像のこと。不思議スポットやふつうの観光の話もたまにします

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【三井記念美術館】仏像の姿(かたち) - 野球の鬼コーチ風不動明王、リフティング風の両脇侍像など

三井記念美術館にて開催(2018年9月15日~11月25日)の「仏像の姿(かたち)」展の観賞記録です。

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「仏像の姿」 パンフレットなど


この展覧会は、仏像をアートとしても捉えているのが特徴。

仏像の作者である仏師の、アーティスト性が発揮された部分(表情、ポーズ、動き…)にクローズアップしています。

仏像は「仏さま」なわけですから、古来から伝わるお経や「仏画」に沿って、なるべく忠実に作成されることが推奨されるもの。

そういった基本は守りつつも、表情や、足元など、ふとしたところに仏師の個性が(意識的、あるいは無意識的に)現れる、というわけですね。

独特のポーズをとっていたり、瓔珞(アクセサリー的なもの)がゴージャスだったり、表情がちょっと変わっていたり…そんな仏像が集められていました。

 



印象深かった仏像

横笛を演奏中の菩薩坐像

岐阜・臨川寺所蔵の菩薩坐像。
サイズは小さく、光背か何かにつけられていたのではないかと思います。

微笑みながら口をすぼめて、まさに横笛を吹かんとしているお姿。

笛に口を当てるために上半身をややひねり、頭を少し傾けるようなしぐさも自然。
手は一部欠損してしまっているのですが、その欠損が気にならないほど、身体全体から笛を吹いている感じが伝わってきました。

奏楽菩薩か供養菩薩ではないか、的なことが説明書きに添えられていたような(記憶があいまい)。

奏楽菩薩って、あまり近くで観ることがなかったので、それだけでも珍しいのですが、とにかく微笑みながら笛を吹く表情が良かったです。

千本ノックを始めそうな不動明王像

埼玉・地蔵院所蔵の不動明王立像。
不動明王といったら、剣と羂索(縄)を持って堂々たるお姿が特徴的。

展示されていた不動明王さんも、右手に剣、左手に縄をお持ちなのですが…。

上半身はやや後方に反り、剣は肩にかけて、縄をぎゅっと握る手はやや手前に出されている。

つまり、剣をバットに、縄をボールに持ち替えたら、今にも千本ノックを始められそうな姿勢なのです。

表情も厳しいですから、まさに野球の鬼コーチ風。

一旦、野球の鬼コーチだと思うと、それ以外に見えなくなってしまうほど。
一気に親しみが湧きました。

優雅にリフティング?しているかのような両脇侍像

大阪・四天王寺所蔵の阿弥陀三尊像のうちの両脇侍像です。
要するに、阿弥陀如来の脇侍ですね(本来は一具ではないかも、といったことが説明に書かれていました)。

蹴鞠、いや、サッカーのリフティングでもしているかのように、脚を後方に蹴り上げています。

あるいは、ティーンモデルの、かわいらしいポージングのように見えなくもない。

パンフレットの裏表紙に載っていましたので、それを撮ってみました。

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阿弥陀三尊のうち両脇侍像

後ろに蹴られた足を見ていると、なんだか楽しい気分になってくるのでした。

舞児ではないか、といったようなことも説明パネルに書かれていたと思います。
踊っている最中とみるのが妥当のようですね。


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藝大とのコラボ

展示終盤では、東京藝術大学とのコラボ企画もありました。

藝大の文化財保存学(彫刻)に在籍している方の模刻作品や、修復作品、研究成果などが展示されていました。

藝大に所属されている方々ですから、技術力はピカイチ。

模刻作品を観ながらひたすら(すごいなー)と思うばかりでした。
(私自身、彫刻を趣味で少し習っているので、なおさら凄さが身に沁みます。同時に、自分がいかに凡庸であるかを認識せざるを得ません…。まぁ、素人なりに彫ってみた経験があるからこそ、より仏像鑑賞を楽しめる面もあるので良いのですが)

模刻作品を観ながら思ったのは、当たり前のことながら彫りたての仏像って、白い(白いといっても木材の白さです)んだよなぁ、ということ。

一方、何百年も生き抜いてきた名品たちは、年月を身にまとって黒ずんでいます。

色や漆を付けられていれば、それらが風化したりしていますし、木材自体も色や質感が変化しています。

そうした変化から、流れてきた時間を感じ取ることができる。
それもまた仏像を観る醍醐味なんだなぁ、と思いました。

時間の都合上、コラボ企画はざっとしか観られなかったのが、とても悔やまれます。 
 

おわりに

仏像好きには大変興味深い展覧会でした。

立っているか座っているかの「静」のイメージが強い仏像ですが、動きを想像させる仏像も興味深いです。


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