仏像、ときどきワンダー観光

おもに仏像のこと。不思議スポットやふつうの観光の話もたまにします

【奈良】◆福智院 - 光背にお地蔵さんがみっしり!総高6.6mの地蔵菩薩(本尊+六地蔵+化仏で全567体)

福智院(ふくちいん)

f:id:shishi-report:20220415101052j:plain

福智院

福智院ってどんなお寺?

・ならまちの南東エリアにあるお寺
・前身は玄昉が建立した(奈良の)清水寺とされる
・総高6.6メートルの巨大お地蔵さんが圧倒的

広告- - - - - - - - - -

 

 

拝観レポート

バス停「福智院」から小道に入ってすぐ、見えてきました。
(近鉄奈良駅からすべて徒歩でも20分程度です)

f:id:shishi-report:20220415103040j:plain

福智院

掲示板に掲げてあるのは御朱印見本でしょうか。かわいい。

お寺の掲示板に貼ってある御朱印

御朱印

入口へ

さて、こちらからお邪魔しましょう。

f:id:shishi-report:20220415103646j:plain

福智院 入口

本堂

f:id:shishi-report:20220415103926j:plain

福智院 本堂

1254年建立の本堂。
2階建てに見えますが、「もこし」という庇がついた一重構造。

お堂の右手あたりが受付になっていますので、お声がけして拝観料を支払いました。
右側の入口から靴を脱いで、お堂内へ。

ご本尊は地蔵菩薩像

f:id:shishi-report:20220415104512j:plain

福地院 地蔵菩薩坐像(鎌倉時代・重文)※福智院拝観のしおりを撮影


本堂内に入ると、とても大きなお地蔵さん。
1203年造立、鎌倉期の彫像。
大きさに圧倒されつつも、お堂内は落ち着いた空気感です。

私がお訪ねしたときは、特別拝観シーズンで比較的混雑していましたので、何人かでまとまってお寺の方の説明を聞く感じでした。

その魅力を伝えるべく、特徴を挙げていきます。

総高6.6m、大きい!

お身体だけでも2.73m、光背や台座を含めると6.6mもある大きなお像です。
私は大きい地蔵菩薩をあまり拝観したことがなかったのでびっくりしました。

持ち物や座り方など

・右手に錫杖、左手に宝珠。

・きっちり足を組まず、右足を前にくずした安座(くつろいで座る)スタイル。
この安座のおかげか、拝観するほうも心が和らぐ気がします。
偉い人に会ったのに、あんまり緊張しなくていい、みたいな。

・現在は塗装が剥がれていますが、元々は赤い衣服をお召しだったのだそう。

光背の二重円部分に六地蔵など

光背の二重円相には
・頂上に不空成就如来
・左右に3体ずつの六地蔵
・焔魔(えんま)王と太山(たいざん)王
※漢字は福智院リーフレットに記載のものを使用しています

焔魔(えんま)王&太山(たいざん)王は、いわゆる「エンマ様」です。
「死後、10人の王に裁かれる」という考え方がありますが、その十人のうちの二王。
地蔵菩薩は、これら十王の上司にあたります。

光背に560ものミニ地蔵

f:id:shishi-report:20220415114802j:plain

光背の地蔵菩薩(福智院リーフレットを撮影)

光背の二重円相の外側には、みっしり、かつ整然と並ぶ、小さな地蔵菩薩(いわゆる化仏:けぶつ)。

光背の化仏は、その仏の功徳や世界観を表しているので、化仏(けぶつ)をたくさんつけるのは最高位の「如来」が多いと思います(例えば唐招提寺の毘盧遮那仏とか)。

福智院の地蔵菩薩は、化仏をつけている唯一の地蔵菩薩なのだそうです。

しかもその数、ご本尊+六地蔵+化仏で全567体!

この567という数字は、釈迦が亡くなってから56億7000万年後に弥勒菩薩が如来になるまでの時代を地蔵菩薩が任されていることに関連しています。

この迫力は当に写真では伝わらないので、仏像好きの方にはぜひ近くでご覧いただきたいです。

光背の後ろの壁に虹が出る(光の回折)

光背の二重円になっている部分(六地蔵などがいらっしゃる部分)は透かし彫りになっているのですが、そこで光の回折が起こるらしく、後ろの壁に虹色が出ることがあるそうです。

私が拝観したときは夕方だったのですが、たしかにぼんやりと虹のような色味があるのは確認できました。

今でこそ物理現象だとすぐにわかりますが、昔はより神秘的に感じたでしょうね。

宝冠十一面観音立像(特別拝観期間のみ)

f:id:shishi-report:20220416144627j:plain

十一面観音立像(看板を撮影)

特別拝観期間だったので、宝冠十一面観音立像も拝むことができました。

地蔵菩薩がとても大きいために、小ぶりなお像に感じますが、穏やかな表情に心が安らぎます。

その他 境内の様子

将軍地蔵尊

f:id:shishi-report:20220416145107j:plain

将軍地蔵尊

まず、将軍地蔵ってなんぞや?

坂上田村麻呂が鎧をつけた地蔵菩薩をつくり、蝦夷征伐に勝つことをお願いしたのが始まりだそう(参考:鎧地蔵堂 - Wikipedia)。

かつての福智院の四隅に四つの将軍地蔵の祠(ほこら)があったとされ、そのうちの1つという説もあるようです。

総括:仏像ファンはぜひ

福智院は、ガイドブックなどにも小さく記載がある程度で、そこまで有名という感じではないのですが、とてつもなくすごいお地蔵さんがいらっしゃることに驚きました(ひそやかなお寺にすごい仏像がいらっしゃるのは奈良のお寺あるある)。

リーフレットの写真ではあまり伝わらないと思いますので、ぜひ実物を見ていただきたいお像です。

時間・料金

・9:00~16:30
・不定休
・大人500円(特別拝観時は600円)

アクセス

・近鉄奈良駅からすべて徒歩で20分程度

・JR奈良駅からバス(東口1番のりば)
  系統50(天理駅)
  系統51(下山)
 乗車時間約8分、「福智院町」停留所で下車



周辺の施設情報

・大乗院庭園

shishi-report-2.hatenablog.com


・元興寺

shishi-report-2.hatenablog.com


・頭塔

shishi-report-2.hatenablog.com

 

広告- - - - - - - - - -