仏像、ときどきアート

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【奈良】興福寺 南円堂・北円堂 - 2019年国宝特別公開の様子(国宝だらけ!)

 


奈良観光では外せない興福寺。

近鉄奈良駅から歩いて数分というアクセスの良さ、そして国宝の仏像をたくさん保有していることもあって、いつも観光客で賑わっています。

中金堂(2018年落慶)・東金堂・国宝館は、通年拝観可なので、行ったことがあるという方も多いかと思います。

一方、南円堂・北円堂は通常非公開なので、観たことがない、という方も多いのではないでしょうか。

かくいう私も、興福寺はそれこそ何回も行っているのですが、南円堂の内部は拝観したことがありませんでした(北円堂は一度だけある)。

この度、南円堂と北円堂を拝観してきましたので、感想を記しておきます。

とりあえず一言でまとめておくと、「すごい良かった!!」です。
慶派の仏像が好きな方には絶対おすすめ!

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南円堂・北円堂 特別公開2019 ポスター

 

 


拝観受付

中金堂の前(の、南円堂側)に受付のテントが出ていますので、そちらで拝観券を購入しました(南円堂と北円堂両方で1000円)。

なんと、お土産つき!
小さめのエコバッグとゆかり(ふりかけ)をいただきました!
予想していなかったので嬉しい(お土産があると知り、思わずテンション上がる)!

エコバッグの柄は、邪鬼の上に興福寺と書かれた玉(?)。
邪鬼の表情もいい!
無骨な感じの足がかわいい!

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エコバッグの邪鬼


ゆかりは三島食品とのコラボで、四天王のイメージイラストがプリントされています。
このイラストもかわいらしくデフォルメされていていいですね。
(本気の表情だと子供さんなどは怖いかもしれないので)

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ゆかりとパンフレット

ちなみに、興福寺のショップでは、この「ゆかり」関連グッズをよく見かけるのですが。奈良に存在するでもない三島食品さん(広島県)とどうしてコラボすることになったんでしょう、と疑問に思うことすでに数年(調べよう)。


南円堂

特別開扉の影響か、普段よりも南円堂周辺が混雑していました。

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南円堂


南円堂の左手に設置された白いテントで拝観券を提示し、普段は柵で囲んであるエリアへ。

そこから見上げた南円堂の写真。

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南円堂を見上げる


以降は撮影禁止。

開かれた扉の手前で靴を脱いでお堂内へ入ります。
内部にはじゅうたん的なものが敷かれていましたが、気温が低い日はちょっと足元が冷えるかもしれません。
厚めの靴下がおすすめ。


さてさて、南円堂といえば、康慶をリーダーとする慶派仏師による作品が密集していることでも有名ですよね(すべて国宝)。

入口からしてすでに、「只者じゃない感」が漂っていました。

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南円堂配尊図 パンフレットを撮影したもの





不空羂索観音菩薩(国宝)

まず不空羂索観音菩薩の大きさに驚く。
像高 336 cm!

3メートル超なので、かなり見上げる感じになります(もうちょっとこぢんまりした感じかと思っていた)。

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不空羂索観音菩薩 パンフレットを撮影


金色に光る身体、繊細だけれども豪華な後背、大きな台座。
頭のてっぺんから台座まで、一切のぬかりがないというか、とにかく圧倒的でした。
正面で少しかがむか座るかすると、目もバッチリ合います。

目が三つ、手は合計八本のスタイル。
錫杖や蓮の花、払子、羂索などをお持ちでした。
羂索(縄)のおかげで全員救える→空しくないので「不空」なんですね。

康慶とその弟子たちが15か月かけて造ったそうです。

法相六祖坐像(国宝)

そして、不空羂索観音菩薩の隣に座る高僧たち(法相六祖坐像:法相宗に貢献したお坊さんたち)のリアリティ!

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法相六祖坐像 パンフレットを撮影


実は私、2017年に東京国立博物館にて開催の「運慶」展にて、この法相六祖坐像を観たことがあったんです。

もちろんそのときも感動はしたのですけど、記憶が薄れて「ああ、あの偉いお坊さんたちね」くらいの意気込みでいたら、改めて本場で観る法相六祖坐像はすさまじかった。

たまたま隣にいらした見知らぬ紳士が「今にもムクッと立ち上がりそうだな」とつぶやいていましたが、まさにそれ!

慶派の仏像といえば、写実性がものすごく高いことが特徴の一つだと思いますが、どうしたらあんなふうに彫れるのでしょうか。
彫刻を習っていたことがあり、その難しさを知っているので、余計に不思議でならない。

玉眼に光が反射すると、もうほとんど「生きている」ように見えます。
表情だけではなく、少し猫背の感じとか、衣のひだとか、思わず「ほおおおお」と見入ってしまう。

我を失ったかのように呆然と見続けていた若者を見かけましたが、「わかる、すごいよね、わかる、康慶チーム天才だよね」と心の中で勝手に賛同していました。


四天王(国宝)

同じく康慶チーム作の四天王も良い!

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南円堂の四天王 パンフレットを撮影


大柄で迫力があります。
強い風に吹かれながらごうごうと燃える感じの後背もいい。

多聞天などは、ふくらはぎあたりの着色がかなりはっきり残っていて、これまた技術力の高さがうかがえます。

蛇足ですが、私が注目したのは増長天が踏んでいる邪鬼。
邪鬼といえば、仏教では悪の象徴ですから、なかなかアクロバティックな姿勢で、苦悶の表情を浮かべています。

この邪気も例に違わず、醜い造形なのですけれども、さらに追い打ちをかけるかのごとく、顔がボツボツしているのです。
ボッツボツ、イボイボです。
(経年の変化でボツボツになったのかなと思ったのですが、どうも元からボツボツしているのでは、という感じでした)

こういう細かいところまで手の込んだ演出もたまりませんね。


北円堂

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北円堂

北円堂は現在の興福寺境内の中では、最も古い建物(1210年!)。

北円堂は土足のままお堂に入ってOKです。

南円堂のようなきらびやかさはないものの、こちらはこちらで名作の仏像が揃っています。
南円堂は康慶チームでしたが、北円堂は運慶チームです(運慶さんは康慶さんの息子です)。

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北円堂配尊図 パンフレットを撮影

 

弥勒如来(国宝)

須弥壇中央に位置するのが弥勒如来。

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弥勒如来 パンフレットを撮影したもの



金箔ははがれていますが、それがまた落ち着いた感じで雰囲気があります。
参拝者を「よく来ましたね」と迎えてくれるような包容力のある表情だと感じました。

弥勒如来さんを真横から観ていて気付いたのですが、光背から化仏(けぶつ)が立ち上っているんです。立体的といいますか。
小さい仏たちが、今にも光背からぬっと身体を起こして飛び立っていきそうな感じなのです。

こういうことに気づけるのも特別開扉ならでは。

無著菩薩(むじゃくぼさつ)・世親菩薩(せしんぼさつ)(国宝)

弥勒如来後方にたたずむのは無著・世親。
4~5世紀ころの北インドのお坊さん兄弟です。
運慶さんの代表作でもあり、日本を代表する彫刻ですね。

これまたリアリティがすごい。
本当に、今にも一歩踏み出しそう。
無著さんの優しい表情に救われた人がどれだけいることでしょう。

(参考までに、2017年運慶展のポスターを撮影したものを載せます)

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無著菩薩 2017年トーハク運慶展ポスターを撮影


私は観るのはこれで三度目ですが、何度観てもぼーっとなってしまいます。

 

 





四天王(国宝)

北円堂におられる四天王は791年作とのことで、慶派の仏像ではありませんが、これはこれで興味深い!という感じでした。

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四天王立像 パンフレットを撮影



元は大安寺に伝来し、のちに興福寺に伝わったのだとか。
注目すべきは、なんといってもその表情!

四天王全員、目を大げさにぱっくりと開き、黒目をギョロギョロさせています。
顔のパーツひとつひとつの動きが大きくて、ユーモラス!
お笑い芸人の方が人を笑わせるためにやる「顔芸」を彷彿とさせるほど。

パンフレットにすら

持国天の瞳のユーモラスな表情など、全体を通して誇張的な表現に特色がある。

興福寺北円堂パンフレットより引用 

 

「誇張的な表現」と書かれているくらいです。

もはや、四天王につきものの「厳しい表情」よりも「愛嬌」のほうが勝ってしまっています。

 

法苑林(ほうおんりん)菩薩と大妙相(だいみょうそう)菩薩

弥勒如来の両脇は法苑林(ほうおんりん)菩薩と大妙相(だいみょうそう)菩薩。
こちらは室町時代の作ということで、慶派の作品ではないと思われます。
全体的に金箔が残っていて、つややかなお肌が印象的でした。

 

おわりに

仏像たちに見とれてウハウハしているうちに、いつのまにかお堂が閉まる時間に。

南円堂も北円堂も、比較的小さいお堂なので、一時間あれば十分に観られるだろうと思っていたのですが、一時間などあっと言う間に経過してしまいました。というか、時間の感覚を失っていました。

係の方がなにやらガサゴソし始めたぞ、と思って時計を見たら「もう17時じゃないか!」と気づき、慌てて退散したのでした(係の方、すみませんでした)。


興福寺は何度も行っているので、「まあ別に観なくてもいいかな。慶派の仏像は運慶展で観たし」と実は一瞬思ったのですよ。
また、「拝観料1000円って、ちと高いかな」などとも思ったのですよ(失礼)。

でも、明らかに観に行って良かったです!

北円堂ももちろんですが、滅多に開扉しない南円堂はとくにおすすめ!

普段は年に一日しか開扉しないようですが、2019年は10月17日~11月17まで拝観可能です(南円堂と北円堂が同時に開扉するのは実に6年ぶりらしいです)。

とまあ、熱く語りましたが、仏像に興味がない方にとっては「ふうん」という感じだと思うので、あまり期待を膨らませすぎませぬよう。



興福寺の他のお堂の様子(過去記事)

shishi-report-2.hatenablog.com

shishi-report-2.hatenablog.com

 


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