仏像、ときどきワンダー観光

おもに仏像のこと。不思議スポットやふつうの観光の話もたまにします

【奈良】興福寺 北円堂(春・秋に開扉) - 「無著・世親菩薩」は何度観ても感動

興福寺 北円堂(ほくえんどう)

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北円堂

春と秋に特別開扉される北円堂。
現在の興福寺境内の中では、最も古い建物(1210年!)です。

南円堂のようなきらびやかさはないものの、こちらはこちらで名作の仏像が揃っています。

(※新型コロナウイルスの影響で、中止の場合があります。
開扉日は公式ウェブサイトにてご確認ください)

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北円堂の仏像

配尊図

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北円堂配尊図 パンフレットを撮影

北円堂の中央に弥勒如来、両脇に法苑林菩薩・大妙相菩薩。
弥勒如来の後方に無著・世親菩薩が立っているという配置。
さらに四隅を四天王がかためています。
 

弥勒如来(国宝)

興福寺境内にある北円堂弥勒如来の看板を撮影した画像

興福寺 北円堂 弥勒如来 (興福寺境内にある看板を撮影)


須弥壇中央に位置する弥勒如来。
運慶と、古参メンバー(※)の源慶、静慶が担当。

(※)運慶の弟子のうち、6人は実の息子です。
 ほかの弟子たちは、息子さんたちと区別して「古参メンバー」と呼ばれたりします。

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弥勒如来 パンフレットを撮影したもの

金箔ははがれていますが、それがまた落ち着いた感じで雰囲気があります。
参拝者を「よく来ましたね」と迎えてくれるような包容力のある表情だと感じました。

弥勒如来さんを真横から観ていて気付いたのですが、光背についている化仏(けぶつ:小さい仏)にも注目。
小さい仏たちが、今にも光背からぬっと身体を起こして飛び立っていきそうな感じなのです。

こういうことに気づけるのも特別開扉ならでは。

無著菩薩(むじゃくぼさつ)・世親菩薩(せしんぼさつ)(国宝)

弥勒如来後方にたたずむのは無著・世親。
4~5世紀ころの北インドのお坊さん兄弟です。

運慶工房の代表作でもあり、日本を代表する彫刻ですね。
世親を担当したのは運慶五男の運賀、無著の担当は運慶六男の運助といわれています。

これまたリアリティがすごい。
本当に、今にも一歩踏み出しそう。
無著さんの優しい表情に救われた人がどれだけいることでしょう。

(参考までに、2017年運慶展のポスターを撮影したものを載せます)

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無著菩薩 2017年トーハク運慶展ポスターを撮影


私は観るのはこれで三度目ですが、何度観ても「うわ、うわ、すごい」となってしまいます。

 

 

 

四天王(国宝)

北円堂におられる四天王は791年作とのことで、慶派の仏像ではありませんが、こちらはこちらで興味深い!

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四天王立像 パンフレットを撮影


元は大安寺に伝来し、のちに興福寺に伝わったのだとか。
注目すべきは、なんといってもその表情!

四天王全員、目を大げさにぱっくりと開き、黒目をギョロギョロさせています。
顔のパーツひとつひとつの動きが大きくて、ユーモラス!
お笑い芸人の方が人を笑わせるためにやる「顔芸」を彷彿とさせるほど。

パンフレットにすら

持国天の瞳のユーモラスな表情など、全体を通して誇張的な表現に特色がある。

興福寺北円堂パンフレットより引用 

 

「誇張的な表現」と書かれているくらいです。

もはや、四天王につきものの「厳しい表情」よりも「愛嬌」のほうが勝ってしまっています。

 

法苑林(ほうおんりん)菩薩と大妙相(だいみょうそう)菩薩

弥勒如来の両脇は法苑林(ほうおんりん)菩薩と大妙相(だいみょうそう)菩薩。
こちらは室町時代の作ということで、慶派の作品ではないと思われます。
全体的に金箔が残っていて、つややかなお肌が印象的でした。


北円堂拝観 所要時間の目安

北円堂自体は小さなお堂ですので、ひととおり仏像を拝観する程度なら10分くらいでも大丈夫かと。

ただし、仏像好きの方は時間に余裕をもっておいてください。
私は1時間近く居座りました(汗)

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興福寺のほかの仏像は?

南円堂の仏像群は、運慶のお父さん、康慶率いるチームの作。

shishi-report-2.hatenablog.com

 
東金堂の維摩居士像も要チェック。

shishi-report-2.hatenablog.com

 

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