仏像、ときどきワンダー観光

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【奈良】旧奈良監獄① - 美しさの背景には歴史がある

 奈良少年刑務所跡(旧奈良監獄)

般若寺から東に向かって3分ほど歩くと……
何やら高い塀に囲まれた施設が見えてきました。

(般若寺までのアクセス等はこちらの記事に)

shishi-report-2.hatenablog.com

 



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何やら大きな施設が見えてきた

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高い塀

このレンガの色味!
古い建築物好きとしてはもう、わくわくワクワクしてたまりません!!

この塀に沿って歩いてみると、奈良少年刑務所(旧奈良監獄)の正門が出現!

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奈良少年刑務所 正門 斜めから



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奈良少年刑務所 正門 正面から



明治41年(1908 年)竣工。
設計は山下啓次郎氏。

およそ110年前の建物ということで、老朽化のため現在は閉鎖されていますが、2016年度末まで使用されていたそうです。

「少年」とついているものの、収監者の大半が20代前半だったとか(ウィキペディア情報)。

少年刑務所の前は奈良監獄でした(明治政府がつくった五大監獄のひとつ)。

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門もおしゃれ

残念ながら、内部の見学は行っていない(その旨貼り紙あり)とのこと。
いやー、見学したくてたまらないです。
(と、思っていたら「監獄史料館」なるものがオープンするらしいです!)

門の隙間から本庁を撮影してみました。

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奈良少年刑務所 本庁

正門もいいけれど、本庁も素敵な外観です。

明治時代にこんな重厚な監獄が建てられた、というのがすごい。

そもそも、監獄なのに、どうしてこんな素敵なデザインになったのでしょうか(監獄だからテキトーでいい、なんて申すつもりは全くないですが、通常の発想なら「堅牢性は重視しつつも、デザインはシンプルに」となりそうな気がするのですが……)。

素敵なデザインになった経緯が気になったので、設計者の山下啓次郎氏について少し調べてみました。

欧米並みに人権に配慮した刑務所があることを示さねばならなかった

設計者の山下啓次郎氏は、帝国大(現在の東大)で建築を学んだ方。

師匠はあの辰野金吾氏(東京駅舎などが有名ですよね)、同級生には伊藤忠太(築地本願寺、湯島聖堂などを設計)もいたのだとか!


東大卒業後、警視庁に入庁した山下啓次郎氏が最初に設計にかかわったのが巣鴨監獄。
(ちなみに、「建築科を出てなぜ警視庁に??」と思ったら、(山下啓次郎氏の)お父さんが(今でいうところの)警察官だったことが関係しているもよう)

その後、5つの監獄(千葉、長崎、金沢、鹿児島、奈良)も近代的な建物に改築することが決定。

当時の時代背景として、
・明治維新後の欧米化
・治外法権を撤廃すべく、欧米並みに人権に配慮した刑務所があることを示さねばならなかった

あたりの事情があったようです。

そこで、山下啓次郎氏は奈良監獄などを設計するにあたり、欧米視察へ。
8か月で約30か所ほどの刑務所を見学したそうです。

なるほど、その知見が反映されているんですね。

欧米並みの施設であることを示す必要があったからこそ、明治時代の日本とは思えないような、ハイカラなデザインになったのか、と納得しました。


なお、刑務所としてほぼ完全な姿で残っているのは奈良だけなんだとか!
(他の刑務所は一部のみ残存、移築)

ますます内部も見学したくなりますね。


(後日追記 内部見学してきました!)

shishi-report-2.hatenablog.com

 




エピソードなど興味ある方は以下の記事もご参考になるかと。

news.yahoo.co.jp


山下啓次郎氏のお孫さんである山下洋輔さんが書いた小説もあるようです。

 

ドバラダ門 (朝日文庫)

ドバラダ門 (朝日文庫)

 

 
写真集や詩集も。

写真集 美しい刑務所 明治の名煉瓦建築 奈良少年刑務所

写真集 美しい刑務所 明治の名煉瓦建築 奈良少年刑務所

 

 

空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集― (新潮文庫)

空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集― (新潮文庫)

 

 

 

おわりに

お孫さんをはじめ、いろんな方の活動により、無事、重要文化財に指定された奈良少年刑務所。

私はただの建築物好きですが、本当に残してくれてありがとう、という気持ちです。

しかも、今後はホテルに生まれ変わる予定(2021年開業予定。なんとあの星野リゾートが入っているそう)。


(追記)
内部見学の様子

shishi-report-2.hatenablog.com

 





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