奈良国立博物館にて2019年10月26日~11月14日開催された『正倉院展』の感想です。
※コロナ禍以前の開催のため、2022年現在とは諸々事情が異なっています。
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2019年 第71回正倉院展の様子
奈良出身の方いわく、「正倉院展の時期は街全体が普段以上ににぎわう(一年で一番?とも)」「あの時期は人がものすごい並んでいる」とのこと。
正倉院展に初参戦の私、ドキドキしながら奈良公園エリアに向かいました。
過去の正倉院展に行ったことがあるという友人によれば、「夕方以降、とくに夜がおすすめ」とのことだっので、17時すぎに到着。
驚きました。
奈良国立博物館にはこれまで何度も来ていますが、明らかに敷地内にいる人の数が普段と違いました。
(★チケット参考情報)
お得に鑑賞したい場合は、「オータムレイトチケット」がおすすめ(800円)。
ただし、オータムレイトで入館できるのは閉館時間の1時間半前から(販売は2時間半前から)。
つまり具体的にいえば、月~木は午後4時半から入館可(販売は午後3時半から)。
金・土・日・祝は午後6時半から入館可(販売は午後5時半から)。
私は「1時間半だと時間が足りないかな」と心配だったので、通常のチケットを購入したのですが、「オータムレイトにすればよかった!」と後悔しました。
超じっくり観たい方であれば、1時間半では足りないと思いますが、「ある程度ゆとりをもって観賞できればOK」くらいのスタンスなら、1時間半あればわりと満足かな、と思いました。
(※ただし混雑具合によっては、観賞に時間がかかるかもしれませんので、じっくり派の方には一般チケットをおすすめします。また、グッズをたくさん買いたい、という方も1時間半だと物足りないかも)
オータムレイトチケットを使われる場合は、閉館の2時間半前にチケット購入し、正倉院展入館時間までの1時間でなら仏像館を観て、時間なったら正倉院展へ、というコースがおすすめ。
いざ入館
大きな荷物やベビーカーは館内に持ち込めませんので、外にある「手荷物預かり所」に預けます。
ちょっとした飲食ができるブースなども設置されていました。
敷地案内図を見ると、混雑時は「入場待ちテント」にまで人が並ぶんですね……。
幸い、初日の午後5時すぎは、すぐに入館することができました。
館内は、それなりに混雑はしていましたが、観賞に困るほどではありませんでした。
人とぶつかることもなく、適宜、譲り合いながら、という感じで。
展示物の前に人がいっぱいで全然観られない、ということもなかったです。
(会期後半になればなるほど激しく混雑すると思いますので、お早めに)
印象に残った展示
奈良時代の宝物を納める正倉院。
もともとは東大寺の正式な倉で、741~750年ころに建立されたようです。
納められているのは主に
・東大寺の大仏さまや仏さまに献納された品
・東大寺で用いられた道具や文書
天皇の遺品や、貴族の献納した品なので、貴重な宝物がいっぱい、というわけですね。
秋のこの時期に、正倉院を開封し、点検などを行うそうです。
それに合わせ、一部の宝物を一般公開。
一度展示された品は、その後10年は展示されないとのこと。
「正倉院展は何度も行ったことがある」という人でも「毎年観たい」となるのは、そういう事情からだったんですね。
特に印象に残った展示をいくつか記します。
紅牙撥鏤尺(こうげばちるのしゃく)・緑牙撥鏤尺(りょくげばちるのしゃく)
〈略称:染め象牙のものさし〉
略称があるのがありがたいですね。
一般人にとっては「こうげばちるのしゃく」と聞いても「??」ですからね。
象牙でつくった豪華で美しいものさし、です。
赤牙のほうは文字通り「赤色」ですが緑牙のほうは「緑というよりは紺」という感じの色味。
象牙って、染めても内部までは染まらないという性質があるのだそうです。
なので、染めた後に削ると、白い部分が出てきて模様がつくれるのだとか。
(説明パネルより。記憶ちがいあったらすみません)
「縁起がよい」とされている細かい模様が隙間なく施されていました。
表も裏もぬかりなし。
ゴージャスだけど、品があって素敵でした。
鳥毛立女屏風(とりげりつじょのびょうぶ)
〈略称:鳥毛貼りの屏風〉
ちょっとわかりづらいかもしれませんが、チラシの裏面にも記載されている「立ち姿の女性が描かれた屏風」。
ちなみに、この女性がモデルになったと思われる絵柄のスタンプがありました(新館出口付近)。
この女性が、木の下に立っている姿が描かれた屏風なのですが、女性の衣服や木の部分に鳥の毛(日本産のヤマドリの羽毛)が貼られていたものらしいです。
私が見た限りですが、現在は羽毛ははがれていて確認できませんでした。
6枚セットなのですが、すべて同時に展示されるのは20年ぶりらしいです。
礼服御冠残欠(らいふくおんかんむりざんけつ)
〈略称:冠の残片〉
大仏完成を祝う儀式などで、聖武天皇や光明皇后がかぶった冠の断片。
酸化が進んで黒くなってしまっているものもあれば、金がきれいに残っているものも。
バラバラになってしまっていて、どんな冠だったか、というのは絵で確認するしかなかったのですが、垂れさがる繊細な飾りがキラキラと光を反射してきれいだったんだろうな、と思いました。
なかでも一番印象に残ったのは、花?のモチーフ。
花びら一枚一枚も繊細ですし、その背後からも茎?やら花が伸びているような感じのもの。
こうして書くとわかりづらいですが、大空に次々と開く花火のような印象をうけました。
金でできた透かし彫りのような鳳凰も美しいです。
詳細はこちらから。
この本もわかりやすそうです。
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グッズ
グッズ売り場も充実していました。
クリアファイルやらトートバッグ、しおり、ブックカバー、Tシャツ、マスキングテープなど、一通りの定番商品は揃っていました。
とりわけ私が心奪われたのは、ブロックタイプのメモ(正式名称を確認するのを忘れました……ネットで調べてみたものの不明)。
一見、単なる分厚くて黒いメモなのですが……一枚ずつはがしていくと……使い終わるころには、正倉院の建物や琵琶が立体的に出現する(はがす部分が一枚一枚異なっているので、残った部分で3次元構造物ができる)、という遊び心あふれる一品(考えた人すごい)。
「欲しい!」となったのですが、アイディアも技術も高度なものですから、それなりにお値段がはります(記憶があいまいのため、あくまでご参考ですが正倉院のほうが17000円程度で琵琶のほうが7700円程度ではなかったかと思います)。
おわりに
仏像好きとしては、仏像が一体もない(当然だけど)のは少々寂しい気もしましたが(いえ、敷地内の、なら仏像館にいけば、仏像に囲まれることができるので問題なし)、脈々と大事にしてこられた宝物を観るのもまた、優雅な気持ちになれました。
実際に行ってみて思いましたが、夕方以降、できれば夜がおすすめかと思います。
私が帰るころ(18時半すこし前)、オータムレイトチケットで入場待ちの方々が並んでおられましたが、そこまでの人数ではなさそう(一度に入場できそうなくらい?)でした。
他の年の正倉院展の記事
shishi-report-2.hatenablog.com
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