仏像、ときどきワンダー観光

おもに仏像のこと。不思議スポットやふつうの観光の話もたまにします

【奈良国立博物館】2020年正倉院展 - くすり類の展示は今年ならでは

2020年10月24日~11月9日に奈良国立博物館にて開催の第72回正倉院展の観覧レポートです。

奈良国立博物館の正倉院展の壁看板を撮影した画像

第72回正倉院展

 

入館までの様子

新型コロナウイルスの影響により、観覧人数制限を行っての開催となった2020年。
(※前売りのチケットをお持ちでないと入館できません。参考>>>チケットの買い方 →チケットは完売となりました

正倉院展の「ご入場の手引き」の看板を撮影した画像

当日券はありません

チケットには1時間ごとの時間指定があり(例10:00~11:00)、その時間帯に入館すればOKというシステム(10:00ピッタリに行かなくてもよい)。

早く入りたい場合は、指定時間の30分前から並ぶことができるのですが、私は少し後ろにずらすことにしました。

もともと人数制限がある上、時間をずらしたので、だれも並んでいない。

正倉院展の入場待ちテントの様子を撮影した画像

時間をずらしたせいかだれも並んでいない


例年ですと、奈良国立博物館の周辺もかなり賑やかなのですが、さすがに今年は控えめですね。

大きな荷物がある方はロッカーへ。

奈良国立博物館の敷地に設置されたロッカーを撮影した画像

ロッカー

西新館の横で係の人にチケットを見せ(ここでは見せるだけ)、検温(おでこにピッ)をし、入口に向かいます。

奈良国立博物館の入口付近の画像

正倉院展入口に向かう

建物への入館時にチケットをもぎってもらい、アルコール消毒を済ませます。
音声案内(560円)や、出陳一覧(リスト)を装備し、いよいよ観覧エリアへ(以降、撮影禁止)。 

奈良国立博物館内にかかっている正倉院展の幕を撮影した画像

館内の幕

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印象に残った宝物

2020年の正倉院展のみどころの一つは、くすり類。

聖武天皇の時代にも、疫病の流行がありました。
その他飢饉や大地震もあり、国家の安定を願って大仏さまがつくられました。

聖武天皇の死後、お后の光明皇后が大仏に奉納したくすり類が出陳されています。

薬以外ですと、刺繍系や敷物の展示物が多かったです。

五色龍歯(ごしきりゅうし):くすり

「龍の歯」という字ですが、実際は、「象の歯の化石」。

正倉院展のチラシの「五色龍歯」の部分を撮影した画像

五色龍歯(正倉院展チラシより)

厚みのある紙を折りたたんだような、段のついた不思議な形。

というのも、象の歯は「水平交換」というスタイルで生え変わるから、らしい。

歯がすり減る→奥から次の歯が押し出される(押し出された側のすり減った歯は少しずつ欠けていく)のだそう。

(正確に知りたい方は>>>ゾウの歯 ~水平交換の話~|信州大学自然科学館|note


雄黄(おおう):くすり、仏への供物

たまご型に加工した、 硫化ヒ素を含んだ鉱物。
この鉱物には「鶏冠石」という名がついているのですが、たしかに鶏のトサカの雰囲気です(色味、表面のざらついた感じ。色は少し黄色寄り、という感じもしなくはないが)。

厳密にいうと、鶏冠石は、中医学でつかう「雄黄」という薬とは化学的な組成が異なる(雄黄:As2S3、鶏冠石:As4S4)ようですが、混同されているケースが多いのだとか(

雄黄 - Wikipedia)。

「(薬としてというよりも)仏に供える習慣があったので、その用途か」的なことが説明パネルに書かれていました。

実物の写真>>>正倉院宝物 雄黄(正倉院の公式サイトにとびます)

 

紫皮載文珠玉飾刺繍羅帯残欠(むらさきがわさいもんしゅぎょくかざりししゅうらのおびざんけつ):珠や刺繍でかざった帯

「羅」といううすい生地に、たくさんの刺繍を施し、皮のモチーフなどで装飾した帯。

退色してはいますが、さぞかしカラフルで豪華だったのだろうと想像できる品。

刺繍の形がとてもかわいいのです。
刺繍の本来の色味はわからないので適当ですが、現代風に再現するとこんなイメージでしょうか。

(イメージ 一部のみ)

f:id:shishi-report:20201025150502p:plain

実物の写真>>>正倉院 - 紫皮載文珠玉飾刺繍羅帯 残欠

平螺鈿背円鏡(へいらでんはいえんきょう):らでん細工の鏡

鏡の背に螺鈿細工を施したもの。
貝の内側を切り出し板をはめ込んでいます。
光の当たり方で七色に見えて綺麗。

正倉院展チラシの平螺鈿背円鏡の部分を撮影した画像

平螺鈿背円鏡(正倉院展チラシより)

 

紫檀槽琵琶(したんのそうのびわ):弦楽器

看板やチラシにも大きく掲載されている琵琶。

奈良国立博物館の正倉院展の琵琶の看板を撮影した画像

琵琶

この写真だとわかりづらいですが、鷲(だったと記憶)がつがいの水鳥めがけて襲い掛かろうとしている緊迫のシーンが描かれています。


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正倉院展 グッズ

密になるのでグッズ売り場はないのかな、と思っていましたが、ありました! スペースも広めにとってあり、問題なく見ることができました。

Tシャツ、てぬぐい、バッグ、クリアファイル等、ミュージアム系の定番グッズはひととおり揃っています。

2020年らしいグッズとしては、正倉院文様のオリジナルマスク(使い捨て、4枚入り)。

正倉院模様がプリントされたマスクの画像

正倉院展 グッズ 使い捨てマスク

サイズは約9.5 cm×約17.5 cm。
女性がつけるにはちょっと大きめかもしれません。

手ぬぐいやタオル類も充実しています。

正倉院模様の手ぬぐいタオルの画像

正倉院展グッズ 手ぬぐいタオル

通販で買えるオリジナルグッズもあるみたいです!

公式図録・オリジナルグッズを通信販売中 : 正倉院 : 読売新聞オンライン

 

実際の混雑具合(これから行かれる方へ)

一時間あたり260人程度しか入館できないので空いているのでは、と予想していたんですが、実際の体感としては「意外と混んでるな」でした。

フロアを歩くのにはまったく問題ないですが、人気の展示付近ではやや密になっている、という感じです(人との距離が30cmくらいの感じ)。

私は20分程度ずらして入館(入場開始の指定時間が10::00~とすると、10:18ころ入館)したのですが、さらにもうすこし後ろにずらしたほうが快適&安心だと感じました。

20分程度ずらして入館したおかげで、入館までは一切待たずにスイスイ行けたのですが、入館してすぐのエリアは今回目玉のくすり類の展示ですので、そこはけっこう混雑が残っていました。

しばらくすると明らかに空いてきましたので、30~40分程度後ろにずらしての入場(例 10:00入場開始のチケットであれば、10:40とか)がおすすめかと思います。

奈良国立博物館のツイッターにも随時「いつがおすすめ」的なコメントがあるようですので、そちらをチェックしてからお出かけになるとよいかと思います。

奈良国立博物館 Nara National Museum, Japan (@narahaku_PR) | Twitter


ちなみに、前売りチケットを持っていると、なら仏像館が割引料金(通常一般700円のとこを200円)で観覧できますので、お時間があればそちらもどうぞ。

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前売りチケットをお持ちでない方へ

コロナの影響で、イレギュラーな開催となったため、「えっ、前売りチケット要るの?知らなかった」「買おうとしたらもう売り切れだった」という方も多いのではないかと思います。

せっかくこの時期に奈良に来たのに、、、という方、「なら仏像館」は前売り券不要で、当日いきなり行っても観覧できますので、この機会にいかがでしょうか。
以前ご覧になったことがあっても、展示は定期的に変わりますので、新しい発見があるかもしれません。

 

shishi-report-2.hatenablog.com

 


また、読売新聞の特設サイトでは、正倉院展宝物の動画が観られるようです(長いバージョンは会員登録が必要のようですが)。

チラッと観てみたら、動画のほうが細部がよく見えるケースも。
www.yomiuri.co.jp

 

おわりに

密になるのも気がひけたので、サラッと短時間の観覧となりましたが、2020年なりの正倉院展を楽しむことができました(奈良博はじめ正倉院展に関わるスタッフの皆さんに感謝)。

来年は、通常開催になることを願うばかりですね。

 

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