法華堂の仏像については>>> オール国宝&3~4メートルの迫力あるお姿
東大寺境内案内(全体)はこちら。
東大寺 法華堂(三月堂)
かつて、東大寺のエリアには、金鐘寺(きんしょうじ or こんしゅじ)というお寺がありました。
法華堂は、金鐘寺の伽藍の一つとして建てられたお堂と考えられています(当時は羂索堂と呼ばれていたようです)。
つまり、現在の東大寺において、最古の建物(※)!
(※ 733年創建とされていますが、最近の調査で、法華堂に使われている木材が729年に伐採されたもの、というデータが出ているようです。733年から少し前後する可能性もあるのかも?)
詳しく紹介していきます。
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奈良時代の正堂+鎌倉時代の礼堂
法華堂を横から見てみます。
拝観チケットの写真が一番わかりやすいのでそちらを載せます。
一つの建物なのに、屋根が二つあるのがわかりますね。
もともとは、正堂と礼堂が軒を連ねて接するような構造でしたが、鎌倉時代に改築し、2棟をつないだそうです。
つながりの外壁部分を見てみましょう。
かなり自然につながっていますね。
拝観受付
お堂正面から入り、拝観料(600円)を支払いました。
法華堂は他のお堂よりも閉まるのが早く、16時で閉館となりますのでお早めにどうぞ。
靴を脱いで、お堂へ上がります。
法華堂の扉の柱に彫られた落書き
たまたま、法華堂東側の扉を閉めるタイミングにお邪魔したため、スタッフの方から貴重なお話を伺うことができました。
資料もいただけたので、詳しく紹介します。
法華堂の東西扉の柱の側面に、昔の人が残した落書きがあります。
落書きというよりは、小刀で強く彫りつけた、という感じで、意志の強さを感じました。
一部薄くなって見えづらいところもありましたが、はっきりと文字を認識できる部分も多かったです。
イメージはこんな感じ。
北側の柱に書いてあるのは「久安五年四月十四日自千日花奉始畢」。
現代風に言うと「1149年4月14日より、1000日忘れずに仏さまにお花をお供えします」という決意です。
時代は平安時代の末ごろで、飢饉や疫病が流行り、世の中に閉塞感が漂っていようです。
少しでも世の中がよくなるように、と僧の方が始められたのでしょう。
お花をお供えする、というと簡単なことに聞こえるかもしれませんが、大昔ですので、お花屋さんなどない時代。
つまり、お花の咲かない冬を3シーズン乗り越えねばならないわけです。
けっこう大変そうですよね。
全くお花がない日は、シキミの小枝、ということもあったようです。
そして、もう一方の柱には「仁平元年十二月卅日」とあります。
西暦に直すと「1151年12月30日」です。
これは1000日間お花を供えるという願いを達成した日のこと。
(※いただいた資料によると、1149年4月14日~1151年12月30日の期間は、1000日間ではなく、992日間になるようです。なぜ8日早いかなどは、まだよくわかっていないようです)
また、今回は見学できませんでしたが、西側の扉にも、お花を1000日備えた記録があるそうです(期間:1132年11月28日~1135年8月23日。1132年ですので、西側のほうが時代的には先ですね)。
1000日続けてみよう お花をお供えする気持ちで
1000日お花を供える話を伺ったときは、「へえ~、面白い話聞いた~」くらいのテンションでした。
その後、法華堂の仏像たちに手を合わせていると、うかがった話がじわじわと心に響いてきました。
というのも私、コツコツと何かを継続するということが苦手な人間でして。
何かをやろうとするとき、いきなり根を詰めてしまって、すぐに嫌になる、というパターンを繰り返してきたのです。
結果、というか、わかりやすい見返りをつい求めてしまうのですね。
労力をかけたことによる成果が、その労力分(できれば増幅して)すぐに返ってこないと嫌、みたいな。
そんな私が、何かを続けるには、「仏さまにお花を供える気持ちで」取り組んだらいいのではないか、と気づかされました。
お花をお供えするときの気持ちって、穏やかな気持ちだと思います。
「お花に囲まれて、仏さまも喜んでくれているな」という感じでしょうか。
あるいは「世の中がよくなりますように」という願い。
少なくとも「このお花供えるんだから、何かご利益ちょうだいよね!! くれないならやらないから!」と強く思いながら、という人は少ないと思うのですよね。
「自分の行いで、ほんの少しでも、世の中がよくなるといいな」という気持ちでいられると、1000日も続けられるのかもしれませんね。
東大寺法華堂、忘れられないお堂になりました。
仏像については次の記事で詳しく紹介します。
>>>東大寺 法華堂の仏像たち - オール国宝&3~4メートルの迫力あるお姿
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