薬師寺
奈良の薬師寺は1300年もの歴史を持つお寺。
アクセス
最寄りは近鉄西ノ京駅。
西ノ京駅を出ると、案内板がありますので、それに従って歩いてみると、興楽門が見えてきます。
この門はくぐれなかったので、さらに進んで、北受付に到着しました。
拝観券
薬師寺には白鳳伽藍と玄奘三蔵伽藍があり、両方拝観できる券(時期により異なるようです)があったのでそちらを購入しました(1000円)。
白鳳伽藍から見学していきます。
※北受付から入ると、先に大講堂などが視界に入るのですが、南側にまわって、本来の順路(中門→金堂→大講堂)で見学するのが正式と思われます。
私は大講堂から見学しましたが、中門からの順路で紹介していきます。
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白鳳伽藍
中門
薬師寺は東塔以外、1528年の兵火によって焼失しています。
こちらの中門も、昭和に入ってから再建されたもの。
比較的新しいだけあって、華やかで綺麗ですね。
写真の奥に映っているのが東塔(改修中)です。
こちらの東塔のみ、白鳳時代の建築物。
幾度もの火災があったにも関わらず、唯一残った建物。
1300年以上もここに建っていることになります。
ぜひ観たい!! のですが、パンフレットによると、2021年6月まで改修工事がつづくようです。
もう少しの我慢ですね。
中門にいらっしゃるのは、仁王像かと思いきや、違いました。
なかなかカラフルな二天王像が迎えてくれます。
金堂
中門をくぐると金堂が見えます。
元の建物は1528年に焼けてしまったのですが、1976年(昭和51年)に再建されました。
つやつやと黒光りする薬師三尊像
金堂には、薬師三尊像(薬師如来を中央に、向かって右に日光菩薩、左に月光菩薩)がいらっしゃいます。
この薬師三尊像、ものすごく美しかったです。
まるで貴重な大理石を彫り出したような、つやつやと黒光りする姿には驚かされました。漆の黒光りともちょっと違う質感なのです。
この黒光りの理由がまた感慨深い。
元は銅造で、鍍金(ときん:めっきのこと)が施されていたらしいのですが、火災のときに金が溶け、黒いお身体になったのだそう(金堂内の説明書きより)。
(あくまで個人的な推測ですが、表面の金が銅のほうに移動するなどして、体表付近で合金化などしているのかなぁ、と思います。銅のみだと錆びたりすると思うので)
ともあれ、火災を経てこそ、この独特な美しさを得たというわけです。
「どんな物事であれ、失うことで得られるものもあるよ」ということを薬師三尊が体現されているように感じました。
(写真をぜひ、公式HPでご覧ください)
https://www.nara-yakushiji.com/guide/garan_kondo.html
何時間でも観ていられそうでしたが、海外からやってきた修行僧(?)の方(※薬師寺関係者ではなさそう)が、本格的なお祈り?(声を上げたりひざまずいたり)をし始めたので、その迫力に負けてしまい、お堂をあとにしました。
大講堂
大講堂も昭和に再建された建物です。
大講堂の役割は、お坊さん(学僧)が勉強するところ、という感じでしょうか。
弥勒三尊像
弥勒如来が法相宗の教主ということで、大講堂には弥勒三尊像が安置されています。
金堂の薬師三尊に似たお姿。
こちらも奈良時代の仏像です(すごい)。
お堂の奥のほう(後堂)に、仏足石と十大弟子の立像もありました。
十大弟子は中村晋也さんの作。
十大弟子たちを観て、「やけに顔の彫りが深いなぁ」と思ったのですが、よくよく考えれば、彼らはインドの生まれですから、当然といえば当然ですね。
奈良の興福寺国宝館に安置されている十大弟子などは、あまりインド人感はなかったと思いますので、日本人に親しまれるように設計しているのかも(勝手な推測)。
西塔
拝観料500円を追加で支払い、西塔の内部(1階部分のみ)も見学しました(※西塔は常に公開しているわけではないようです。訪問の際は、事前に公式HPでご確認ください)。
西塔もまた、昭和56年に再建されたもの。
釈迦八相像が祀られています(こちらも中村晋也さんの作品)。
こちらから写真が観られます。
https://www.nara-yakushiji.com/guide/garan_seito.html
昭和に再建されたものとはいえ、塔の内部はなかなか雰囲気がありますし、彫刻もかなり迫力がありました。
お坊さんの法話に落涙しかけた
白鳳伽藍をひととおり見学したので、玄奘三蔵伽藍のほうに向かおうと歩き出したとき、金堂付近で「ボーン」と鐘(銅鑼?)が鳴りました。
法被のようなものを着た係の女性のアナウンスによると、薬師寺の僧侶の方の法話(いわゆる説法)がちょうどこれから始まるとのこと。
タイミングもいいし、特に急いでいるわけでもなかったので聞いていくことに。
金堂の薬師三尊の右側のスペースに椅子が並べてあり、そこに座って開始を待ちます。
お堂内はひんやりしていますので、夏場以外は羽織るものがあったほうがいいです。
定刻になり、現れたのは比較的若い僧侶の方でした。
まず、薬師三尊像に向かってお経を唱えられたのですが、空気が震えるというか、良い意味でゾクゾクするような感覚になりました。
お経が終わると一転、お話がおもしろい!
聴いている側は、ご年配の方が多かったように思います。
私は一人旅で、また、やや若めの世代ということもあり、若干浮いていたような気もしますが、法話に聞き入っているうち、そんなことも忘れてしまいました。
笑っているうちに話にどんどん引き込まれ、ふと気づくと、感動したのか何なのか、うっかり落涙しかけていたほど(汗)。
落涙しかけるほど心に響いた箇所があったということなのですが、その肝心の内容は、なぜか思い出せないのです。
記憶力は良いほうなのに、不思議で仕方ない。
それほど僧侶の法話が巧み、ということなのでしょう。
印象に残っているエピソードをいくつか記載しようかと思ったのですが、薬師寺で直接聴かれたほうがいいと思うので、本記事では控えることにします。
薬師寺はかつての僧侶たちが、青空説法で納経をお願いし、そのお金でお堂を再建してきたという背景があるので、法話が名物といいますか、特徴の一つになっているようです(現在でも、檀家を持たないお寺なので、維持管理のために納経(2000円)を募っておられました)。
薬師寺を訪れた際、法話があるようでしたら、ぜひ聴かれることをおすすめします(法話がある日は「○時から法話があります」と案内札が立っているようです)
玄奘三蔵伽藍
白鳳伽藍を見学した後、北側にある玄奘三蔵伽藍へ。
亀のようなカワウソのような生き物が迎えてくれます。
ちなみに、亀でもカワウソでもなく、「ひいき」という名称の、「龍の子」なのだそうです(伝説上の生き物)。
妙にかわいらしいですね。
玄奘三蔵伽藍は、白鳳伽藍に比べるとこじんまりとしていました(写真を撮り忘れました)。
玄奘三蔵伽藍で見学するのは、中央の玄奘塔と、大唐西域壁画殿。
玄奘塔は、いわゆる三蔵法師(法相宗の始祖)のお骨を奉安してある建物です。
須弥壇には玄奘三蔵訳経像なる仏像がおられました(全身が赤っぽい仏像としか覚えておらず…)。
大唐西域壁画殿では、平山郁夫さんが30年かけて描いた壁画を見ることができます(内部撮影禁止)。
平山郁夫さんのファンにはたまらない空間となっているのではないかと。
おわりに
薬師寺、かなり好きです。
とくに印象に残ったのは、やはり薬師三尊、そしてお坊さんによる法話でした。
お写経も有名(専用道場があり、事前申し込みなしで体験できるようです)。
白鳳伽藍を見学した段階で頭の中が情報でいっぱいになり、その後ボーっとしてしまった気がするので、次回訪れた際には玄奘三蔵伽藍から先に見学しようかな、と思ったのでした。
また、私が訪れたときは工事中だった食堂(じきどう)が現在は完成していますので、そちらも見るのが楽しみです。
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