2022年4月23日~6月10日まで、奈良国立博物館にて開催の特別展「大安寺のすべて」の観覧レポートです。
本展覧会の特徴
・かつての大安寺がいかに大きなお寺だったかを実感
・奈良時代の仏像(木彫)を近くでじっくり拝観できる
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観覧レポート
現在の大安寺境内はそこまで広大というわけではありません(拝観レポ>>>◆大安寺 )が、かつては国が重んじた大寺でした(東大寺などと並ぶ規模)。
有名なお坊さんたちも、ほとんどみなさん、大安寺に住んだり訪れたりしていたようです。
そんな、かつての大安寺の様子が想像できる特別展でした。
仏像を中心に感想を書いていきます。
大安寺の仏像
十一面観音立像
メインのお顔部分は後補なので少々色味・ツヤが異なっていますが、全体的に状態が良好のお像。
普段は本堂のご本尊で、特別開扉シーズンしかお目にかかれません。
伝楊柳観音(でん・ようりゅうかんのん)立像
楊柳観音といえば、大安寺のお像。
(楊柳観音の関連事項>>>【仏像の知識】三十三観音とは?)
楊柳観音と確定しているのだと思いこんでいましたが、「伝」がつくので、不確定なのですね。
たしかに、全体的なイメージは「観音さま」なのに、激を飛ばすような表情をしているので、ちょっと不思議ではあるんですよね(忿怒相を示すのは馬頭観音のみですが、馬頭観音というわけでもなさそうだし)。
ネックレス(瓔珞)の彫りがとても美しいです。
伝不空羂索観音(でん・ふくうけんさくかんのん)
全体的な像容に加え、手が八本(後補)なので、不空羂索観音と考えられているようですが、こちらも「伝」がつきます。
穏やかだけれど、なにもかも見通していそうな表情です。
伝聖観音(でん・しょうかんのん)
こちらもまたまた「伝」のつくお像。
比較的がっしりとした肩と、長い腕(後補)が目立ちます。
寡黙な表情。
伝馬頭観音(でん・ばとうかんのん)立像
(後期のみ展示)
頭上に馬はなく、ネックレス(瓔珞)にヘビを巻き付ける姿。
古い形の馬頭観音と考えられています。
四天王立像
像容が統一されていないので、元は一具ではなかったようです。
たしかに、広目天以外のお三方が同じポーズというのも通常は考えにくいですからね。
大安寺と関係のある仏像
行教律師(ぎょうきょうりっし)坐像
行教さんは大安寺のお坊さん。
石清水八幡宮を創建した方です。
親しみを感じる表情。
左手でどこかを指しているような姿ですが、「真実を見よ」と言われそうでなんだかドキッとします。
宝誌和尚(ほうしおしょう)立像
宝誌和尚は、中国のお坊さん。
宝誌和尚の肖像を描かせようとしたところ、「内から十一面観音が出てきて描けなかった」という逸話があります。
その様子を彫像で表わしたお像です。
このお像は京都・西住寺の所蔵ですが、かつての大安寺にも同じ姿のお像があったとされています。
仏像以外の見どころ
陶枕(とうちん)
大安寺といえば陶枕、というくらい、境内からたくさん出土したそうです。
遣唐使とともに唐に渡った、道慈(帰国後大安寺の建設に尽力)というお坊さんが持ち帰りました。
「枕」とついていますが、使い道ははっきりしないとのこと。
勝手な想像ですが、この枕で眠ったら(硬くてムリか)、不思議な夢が見られそう。
再現CG映像
かつての大安寺を再現したCG映像もよかったです。
本当に行ったような気分になりました。
公式キャラクターのオニやんがかわいい
大安寺から出土したとされる大きな鬼瓦がモデルの「オニやん」がかわいいです。
子どもさん向け(?)の観賞ガイドで大活躍しています。
この観賞ガイド、むちゃくちゃわかりやすいので大人にもおすすめ(子ども限定とは書かれてなかったのでもらってしまった)。
私がツボったポイントはオニやんの後姿。
「僕の背中には取っ手がついてるんやん!!」
特別展「大安寺のすべてー天平のみほとけと祈りー」観賞ガイドより
そうなんだ!&かわいい(笑)。
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おわりに
仏像たちは大安寺でも拝観したことがあったのですが、あらためて博物館で拝むのもじっくり観られてよかったです。
博物館だと照明が抜群なので、細部までとても拝見しやすいのが嬉しいですね。