子どもの頃から、なんとなくお寺が好きでした。
本堂のひんやりした静謐な空気とか、鼻をかすめるお香の臭いとか。
子どもながらに無性に気持ちが落ち着くのを感じていました。
お寺にいるときは守られているような心地になったものです。
家庭環境があまりよくなかったので、無意識のうちにすがるものが欲しかったのかもしれません。
とはいえ、お寺に行く機会はお墓参りや法事くらいのもの。
お墓の近くにいた「撫で牛」を撫でるのを楽しみにしていましたが、本格的な仏像を見た記憶もほとんどありません。
が、30歳を過ぎて、初めて奈良を旅をしたとき、私の仏像熱が突如フィーバーすることになります。
奈良を選んだのもとくに理由があるでもなく、「なんとなく西のほうに行きたいが、遠すぎるのは気がひける→京都にする?→最近の京都は混雑しすぎ→奈良なら京都ほどの混雑ではないかも→行ってみよう(消去法的)」くらいの気持ちだったのです。
奈良は偉大でした。
東大寺の大仏殿の巨大さに驚き、大仏の巨大さにも驚きました。
が、ここまでは想定の範囲内。
「大仏大きいな~、おや、こっちにも巨大な像が…」と広目天(四天王のうち西を守護する天部)立像の足元に立ってそれを見上げたとき、ものすごい衝撃に襲われました。
ちっぽけな私を見下ろす、巨大立像。
今にも低い声を轟かせそうな迫力。
手にした筆と巻物や、しかめた眉間から漂う、どこか知的な雰囲気。
うまく言語化できないのですが、呼吸の仕方を忘れてしまいそうなほど感動したのでした。
そして思いました、「広目天」とは一体なんぞや、と。
あのすごい仏像はなんぞや、と。
そこから少しずつ仏像について調べるようになり、今に至ります。
(最初に買った一冊)
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)
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仏像の素晴らしさを広めたいとか、仏教の有用性を広めたいとか、そんな大層なことは思っていないのですが、仏像を観て感じたことを自分自身が忘れたくない、という気持ちから、ブログ記事として残しておくことにしました。
仏像以外にも、美術展や、B級スポットも好きなので、それらにまつわる記事も書いています。
当ブログの記事を読んで「行ってみようかな」と思っていただけることがもしあったら、幸いです。
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