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【奈良国立博物館】正倉院再現模造展 - 完成当時の宝物を見ることができる

2020年7月4日~9月6日に奈良国立博物館で開催の「よみがえる正倉院宝物ー再現模造にみる天平の技ー」の観賞記録です。

2020年秋開催予定の第72回正倉院展の情報は

>>>予習【奈良国立博物館】2020年秋の正倉院展は10月24日~11月9日【要前売券】



奈良国立博物館「よみがえる正倉院宝物」の看板の画像

奈良国立博物館 看板

 

 



再現模造? 秋の正倉院展とは何が違う?

「よみがえる正倉院宝物」って……毎年秋に行われる「正倉院展」と何が違うんだろう?
今年だけ、秋に加えて夏にも正倉院展を開催するってことなのか??

私自身、そう思っていました。
が! 通常の正倉院展とは違います!

本展示は
「正倉院の宝物を、現代の技術で精密に再現したよ」
という内容なのです!!

奈良国立博物館「1300年の技術が、いまここに、よみがえる」と書かれた看板

奈良国立博物館 看板



再現模造のみどころって?

「なんだ、模造か。それなら本物が観たい」と思う方もいらっしゃるかも。

しかし、模造には模造のみどころがあります。

完成当時の状態を見ることができる
ということです。

正倉院の宝物は、聖武天皇や光明皇后ゆかりの品ですから、すでに1300年ほど経過しています。

どんなに大事に保管していても、1300年も経っていれば多少の劣化は避けられません。
一部破損、変色など、完成当時とは異なる姿だったりします。


再現模造品は、元の宝物を分析し、現代(明治時代以降)の名工の手によって忠実に再現されたもの。

「こんなに華やかな色味だったんだ!」とか「こんな形をしていたんだ!」という発見があります。

視覚だけ天平時代にタイムスリップできるわけです!


災害に備える、という役割

日本は地震なども多いですから、災害時に「万が一宝物が失われたとしても、文化や技術を継承していけるように」という考えがベースにあり、模造事業が進んでいるようです。

私たちもまた、昔の人が宝物を大事に保存・保管し続けてくれたおかげで、今その恩恵にあずかっているので、「有事に備える」って大事なんですね。



さて、前置きが長くなってしまいましたが、作品の感想を記していきます。

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印象に残った作品

螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしだんのごげんびわ)【らでん細工を施した弦楽器】

左右の幕に写っているのが螺鈿紫檀五絃琵琶(右が表面、左が裏面)。

奈良国立博物館に入館したところの幕。幕の左右に螺鈿紫檀五弦琵琶が描かれている。

左右の幕に写っているのが螺鈿紫檀五弦琵琶


2011年から2018年にかけて、各分野(木地、象嵌、加飾、絃)の専門家たちによって再現された模造品です。

プロ中のプロが何人も携わって、さらに8年かかるって、どんだけ難易度の高い品物なんだ、と思います。

琵琶に使用されているタイマイなるウミガメの甲羅は、もう手に入らない(輸入禁止?)材料だそうですが、なんとか国内に残っていたものを使えたのだとか。
もう少し後だったら再現できなかったかも……らしいです。

しかもこの琵琶、見た目を模造しただけではなくて、実際に鳴るのだそうです!

会場では、天平当時の楽曲(?)を再現した琵琶の音がボロロンと鳴り響いていました。

高めの音を想像していたのですが、やや低音(合唱でいえばアルト的な)でした。
タイムスリップ感があって良かったです。

らでん細工が美しすぎた

全方位的に「すごい!」という感想の「螺鈿紫檀五絃琵琶」ですけど、私が一番衝撃を受けたのはらでん細工の美しさですかね。

らでん細工の部分を拡大します(屋外に設置された看板を撮影)。

屋外の看板の、螺鈿紫檀五弦琵琶の裏面部分を撮影したもの

螺鈿紫檀五弦琵琶裏面(屋外看板を撮影したもの)


くすみのない、ピカピカのらでん細工は驚くほどきれいでした。 


らでん細工自体は、(他の作品等で)何度も目にしているはずなのに、正直あまりピンときていませんでした。

おそらく、経年によるくすみなどでその魅力を私が感じ取れていなかったからなのだろうな、と思います。


天平時代にもこんな美しい姿だったのか、と思うと、「そりゃお宝だわ!」と納得したのでした。

元の宝物の写真と比較する↓(正倉院の公式ウェブサイトに移動します)
正倉院 - 螺鈿紫檀五絃琵琶



螺鈿玉帯箱(らでんぎょくたいばこ)【らでん細工を施したベルト入れ】

外に設置してある看板の「螺鈿玉帯箱」部分を撮影した画像

螺鈿玉帯箱の一部(外に設置の看板を撮影)

こちらも螺鈿細工で、昭和7年につくられた模造品です。
写真ではわかりづらいですが、ところどころに色のついた水晶がはめられていて美しいのです。

(古いほうの)実物を2019年の正倉院展で観たはずなんですが、そのときはやはり「あー、うん、きれいね」くらいにしか思わなかった記憶が(汗)。

本来の輝きを知ることで、古いものへのリスペクトが大きくなった気がします。


ちなみにこの箱、「ベルト入れ」なんです。

収納品のベルト(紺玉帯)も、再現模造品が展示されていましたが、これまたなかなかのインパクト。

なんというか、ごっつごつのベルトなんです。
一般的なベルトに、平たい青い石(ラピスラズリ)がいくつも並んでついているんですが。
いやー、重そう。
(実用品でなくて、宝物なので当然か)

紺玉帯(残欠)の画像は公式サイトでどうぞ
正倉院 - 紺玉帯残欠



黄金瑠璃鈿背十二稜鏡(おうごんるりでんはいじゅうにりょうきょう)【七宝で飾った鏡】

本展示のチラシや看板を見て、一番映えているのがこの鏡でしょうか。
鏡の背面を七宝で装飾したもの。

外に設置された看板の「黄金瑠璃鈿背十二稜鏡」の部分を撮影した画像

黄金瑠璃鈿背十二稜鏡(外に設置の看板を撮影したもの)


正倉院の宝物のうち、唯一の七宝作品なんだそうです。

平成11年に再現された作品。
緑色がとてもきれいですよね。

銀に色ガラスの粉末を乗せて焼いた花弁を18枚組み合わせているのだとか。

元の宝物も美しいですが、やはり少し年月をまとっている感じです。

正倉院 - 黄金瑠璃鈿背十二稜鏡


金銀鈿荘唐太刀(きんぎんでんかざりのからたち)【飾りつき儀式用刀】

金銀鈿荘唐太刀(看板を撮影)


聖武天皇の儀式用の刀を再現したもの。

透かし彫りの金、ところどころに色ガラスや水晶がはめられていて、とても美しいですね。

元の宝物と比較↓(正倉院の公式ウェブサイトに移動します)
正倉院 - 金銀鈿装唐大刀



 

混雑状況

開催期間前半の、平日の午後15時過ぎに行きましたので、空いていました。

展示物の前には立ち位置用の丸いシールが貼ってあり、ソーシャルディスタンスを意識できるようになっていました(私が行ったときは空いていたのでほとんど気にせずに済みましたが)。


観賞にかかった時間

私は結構じっくり観たので、1時間半くらいかかりました。

(サクッと観るつもりだったのですが、意外と面白くて。
最後のほうは急ぎ足&グッズを見る時間が足りず……)


購入したグッズ

グッズがまた魅力的でしたね。
今回は個人的に特に当たりな感じ。

私が特に気になったのは

・琵琶ポーチつきのエコバッグ(フェリシモとのコラボ)
・螺鈿玉帯箱をモチーフにしたアメ缶
・五絃琵琶のフィギュア
・ガラス箸置き

グッズ・公式図録 | 特別展「よみがえる正倉院宝物-再現模造にみる天平の技-」



欲しいものがありすぎたのですが、閉館時間まであと五分だったので、あまり考える時間がなく。
焦った私は、なぜか酔胡王のワッペンを買ってしまいました。

「よみがえる正倉院宝物」展で購入した酔胡王のししゅうシールの画像

酔胡王のししゅうシール


中国から伝わった伎楽という演劇のときにかぶるお面がモチーフ。
酔っぱらった西の国の王様です。

愛嬌ある表情だし、これはこれでいいか。

でも、アメ缶も箸置きも欲しい……もう一回行こうかしら。

 

おわりに

この展示を特におすすめしたいのは、「ものづくり」に関わっている人。
(プロでも、趣味でも)

私は「正倉院の宝物」自体は詳しくないのですが、趣味で何かを作るのは好きなので、今回の展示はすごく楽しめました。

特に、螺鈿紫檀五絃琵琶がいかにして再現されたのか、など、具体的な手法を詳しく知ることができたのが面白かった。

螺鈿細工の作り方をいまいち理解しきれていなかったので、これまで「ふーん」と思っていたんですが、作業工程がわかると、作品を観る目が変わりますね。

(特別展のサブタイトル「ー再現模造にみる天平の技ー」がメインにくるほうが展示内容に近いのかな、という気もいたします)




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