※わかりやすさ重視のため、仏教用語などを意訳している部分があります。
名称から探す→仏像の種類一覧
如来
基本形:説法中の釈迦の姿
・悟りを開いた後の釈迦がモデル
・説法中の姿を表していることが多い
基本形以外
・誕生仏:右手で天、左手で地を指す幼児の姿
(マーヤ夫人の脇から生まれてすぐに歩き「天上天下唯我独尊」と唱えている)
・出山(しゅっせん)像:苦行後に山を下りるときの姿
・清凉寺(せいりょうじ)式:生きているときの釈迦の姿を写したとされる清凉寺のお像の模刻
・涅槃(ねはん)像:入滅前後の横たわる姿
⇒詳しくはこちら
基本形:極楽浄土に導く意志を表現
・念仏をとなえる者を極楽浄土にみちびく
・手の形(印相)が特徴的
→「阿弥陀定印(信心深い者を導く)」や
「来迎印(信仰が浅い者を導く)」など
基本形以外
・五劫思惟阿弥陀仏(ごこうしゆいあみだぶつ):うず高き螺髪(らほつ)で長い時間の考え事を表現。詳しく→こちら
・宝冠阿弥陀如来(ほうかんあみだにょらい):豪華な宝冠をかぶる、常行三昧という修行のご本尊
・裸形:裸の状態でつくり実物の衣類を着せる
基本:病をいやし衣食住を満たす
・病を癒し、衣食住を満たす仏
・薬壺(やっこ)を持つ(※平安時代以降。薬壺を持たない場合は釈迦如来との区別が困難なケースも
安置形式
【毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)】:仏法そのものを具現化
・仏教の真理そのものを形にした仏
・壮大なスケールで造られることが多い
→代表例:奈良 東大寺 大仏殿
【大日如来(だいにちにょらい)】:すべての仏のみなもと
(Amazonリンクより:イスム TanaCOCORO[掌] 大日如来 仏像 フィギュア ポリストーン)
・宇宙の真理を表す
・如来でありながら豪華な姿
・手の形は
悟りのための知恵を表す智拳印(ちけんいん)か
無限の慈悲を表す法界定印(ほうかいじょういん)
如来で構成されるグループ
【五智如来(ごちにょらい)】:密教の5つの知恵を5体の如来で表現
・密教の知恵を如来で表現
→ 代表例:京都 東寺 講堂の立体曼荼羅
広告- - - - - - - - - -
菩薩
基本役割
・如来をサポート
・自身も修行しながら人々を救う
観音菩薩
【聖観音(しょうかんのん)】:観音さまの基本の姿
・観音さまの元の姿(ほかの姿に変身していない状態)
・アクセサリー類をつけ、髪を高く結い上げている
・蓮華や水瓶をもつことが多い
【十一面観音(じゅういちめんかんのん)】:11の顔ですべての生き物を見守る
・聖観音が変身した後の姿のひとつ
・頭上に11のお顔をもつ→全方位見守ることができる
【千手観音(せんじゅかんのん)】:千の眼と手ですべての生き物を救済
・頭上に11のお顔(十一面観音と共通)
・仏像の場合は手が42本で表現されることが多い(実際に1000本近くあるお像もある)
・千手観音の持ちもの一覧
【如意輪観音(にょいりんかんのん)】:「意の如く」願いを叶えてくれる
・頬に手を当てて「どうしたら人々を救えるか」を考えている
・如意宝珠と輪宝をもつ
・片膝を立てる座り方(輪王座:りんのうざ)
【馬頭観音(ばとうかんのん)】:災難をうち砕く
・頭上に馬の頭→馬のように煩悩をむさぼり食う
・観音菩薩だが怒りの表情→悪をうち砕く
・手の形は馬頭印(ばとういん)
【不空羂索観音(ふくうけんさくかんのん)】:投げ縄ですべての生き物をもれなく救う
・手に持っている羂索(けんさく:投げ縄のこと)ですべての生き物をもれなく救う
・作例は少ない
↳三不空羂索観音:東大寺法華堂、興福寺南円堂、不空院本堂
【准胝観音(じゅんていかんのん) 】:子を授ける仏
(Amazonより:海宇工芸(kaiu art) 小仏-【准胝観音菩薩】 )
・仏を生み出す仏→子授けのご利益
・千手観音に似ているが腕は18本
・作例は少ない(六観音のうち一尊として祀られることが多い)
観音菩薩で構成されるグループ
【六観音(ろくかんのん)】:6つの世界で苦しむ者を救う6種の観音さま
・死後に生まれ変わる6つの世界(六道)で救済する6種の観音さまたち
・各世界に担当の観音さまがいる(例:地獄道は聖観音)
↳代表例:京都 大報恩寺
【三十三観音(さんじゅうさんかんのん)】:民間信仰的に中国や日本で発展 (※)楊柳観音や白衣観音など
・本来の仏教にはなく、のちに民間信仰的に発展
※「西国三十三カ所巡り」などのお寺の観音さまとは別の系統
・有名どころは白衣観音(高崎 慈眼院)や楊柳観音(奈良 大安寺)
観音以外の菩薩
【弥勒菩薩(みろくぼさつ)】:56.7憶年後に人間界にやってきて救済してくれる予定の仏
(Amazonリンク:オークル 弥勒菩薩ペーパークラフト A4 84ページ)
・将来如来になることが決定している
・頬に手を当てて思索にふける姿
・どうやって人々を救おうか考えている
【文殊菩薩(もんじゅぼさつ)】:知恵の象徴
・お経を編纂した実在の人物→学問のご利益
・獅子に乗っていることが多い
・若者の姿が多い(密教系)
【普賢菩薩(ふげんぼさつ)】:行動・実践の菩薩
(Amazonより:イスムTanaCOCORO[掌] 普賢菩薩 騎象像 《佛法紹隆寺公認》)
・白象に乗り、あらゆる場所に救済に来てくれる
・知恵の文殊菩薩に対し、行動・実践の普賢菩薩
・女性からの信仰を集めた
【虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)】:巨大な知恵と慈悲で救済
・巨大な知恵&慈悲をもつ
・五仏のついた冠をかぶる(※例外あり)
・宝剣(=知恵)と宝珠(=慈悲)をもつ(※例外あり)
【地蔵菩薩(じぞうぼさつ)】:現在を任されている・地獄にも救済に行く
・現在を任されている
(釈迦が亡くなってから56.7億年後に弥勒菩薩がやってくるまでの間)
・若いお坊さんの姿で表現されることが多い
・水子供養の本尊
・地獄でも救済活動
【勢至菩薩(せいしぼさつ)】:偉大な知恵で人々を救う
・単独でまつられることはなく阿弥陀如来の隣にいる
・水瓶のついた冠をかぶっている
日光菩薩(にっこうぼさつ)・月光菩薩(がっこうぼさつ):薬師如来をサポート
・薬師如来をサポート
・昼夜問わず人々を見守ってくれる(薬師如来をお医者さんに例えると日勤&夜勤の看護師さんのイメージ)
・(日輪、月輪をもつ)※持たない場合もよくあります
【薬王菩薩(やくおうぼさつ)・薬上菩薩(やくじょうぼさつ)】:良薬で人々を救う/釈迦如来をサポート
・良薬で人々を救った兄弟
・日本では単独で祀られることはなく釈迦如来の脇侍として
・古い形式の釈迦三尊像で見られる(法隆寺・興福寺)
広告- - - - - - - - - -
明王
基本情報
・諭しても救えない者に厳しく対応
・怒りの表情で迫力ある姿(孔雀明王を除く)
【不動明王(ふどうみょうおう) 】:怒りの姿に変身した大日如来
・救いきれない者を救うために恐ろしい姿に変身
・剣と羂索(けんさく・けんじゃく)を持つことが多い
・光背がごうごうと燃え盛っている
・眷属(部下)は矜羯羅(こんがら)・制多迦(せいたか)童子
【降三世明王(ごうざんぜみょうおう)】:三世にわたり三毒を鎮める
(Amazonリンク:【東寺監修 公認】降三世明王(ごうざんぜみょうおう) ミニチュア仏像)
・過去現在未来(三世)にわたり、むさぼり・怒り・無知(三毒)を鎮める
・ヒンズー教の神(シヴァ神とその奥さん)を踏みつける姿
・降三世印(胸の前で手を交差して小指をからませる)
【軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)】:障害をとりのぞく
(Amazonリンク:【東寺監修 公認】軍荼利明王(ぐんだりみょうおう) ミニチュア仏像)
・障難を追い払う
・体中にヘビをまきつける姿
・大瞋印(だいしんいん)をむすぶ
【大威徳明王(だいいとくみょうおう)】:いかなる場所にもやってきて悪をはらう
(Amazonリンク:【東寺監修 公認】大威徳明王(だいいとくみょうおう) ミニチュア仏像)
・「大威徳」→大きな威力の徳性をもつ
・水牛にまたがる姿→足場の悪いところにも行ける
・お顔が計6面もある
【金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)】:金剛杵でさまざまな悪を打ち砕く
(Amazonリンク:【東寺監修 公認】金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう) ミニチュア仏像)
・五つの目をもつので目力凄まじい
・金剛杵(こんごうしょ)で煩悩や悪を打ち砕く
【孔雀明王(くじゃくみょうおう)】:あらゆる毒を食べつくす
(Amazonリンクより:孔雀明王 仏像 木彫仏像守り本尊 )
・羽を広げた孔雀に乗る姿
・毒蛇を食べる孔雀のようにあらゆる毒を食べつくす
・明王では唯一のおだやかな表情
【愛染明王(あいぜんみょうおう)】: 愛欲を悟りに変える
・愛欲を表す赤いお身体、頭には獅子の冠を載せる
・宝瓶(ほうびょう:宝物を吐き出す壺)の上に座る
・花魁や芸者(江戸時代)&染色関係者の守り本尊、現代では恋愛成就祈願
【烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)】:すべての汚れを浄化
(Amazonより:極小仏 烏枢沙摩明王 12.5cm(木製:ツゲ 金泥仕上))
・すべての汚れを焼き尽くす力をもつ
・民間信仰ではトイレの守護神という面も
・忿怒相以外は特徴が定まっていないが片足を上げる仏像が多い
【大元帥明王(たいげんすいみょうおう)】:国を守り外敵を退避させる
(Amazonより:楠 大元帥明王 60cm 木彫り 仏像)
・明王のなかで最も恐ろしい姿とされる
→外敵を退避させ国を守る
・仏画仏像とも作例がかなり少ない
・大怒印(だいどいん:人差し指と小指を立ててこぶしを握る)を結ぶ(※)
(※ 大元帥明王像として有名な秋篠寺のお像は左手の人差し指のみを立てます)
広告- - - - - - - - - -
天部
基本役割:仏教の守護神
ヒンドゥー教などの古代インド神が仏教に取り込まれたケースが多い
【梵天(ぼんてん)】:お釈迦様に仏教を広めるように勧めた創造神
★密教以前(顕教)↓ 温和な貴人の姿
(Amazonより:栗田仏像ブランド【諸天神】桧木製 梵天 立像)
★密教系↓ ガチョウに乗る姿
(Amazonより:【東寺監修 公認】梵天(ぼんてん) ミニチュア仏像)
・元々はバラモン、ヒンドゥー教の神
・帝釈天とコンビ組んで釈迦如来のサポート役
【帝釈天(たいしゃくてん)】:仏法の守護神
・戦士の守護神という面もあるので衣服の下に甲冑をつけることが多い
・独鈷杵(とつこしょ)という武器をもつ
・部下(四天王)を派遣して不正や悪事を監視
・梵天と同じく密教以前と密教系で姿が異なる
★密教以前(顕教):貴族風の立ち姿
(Amazonより:仏像 木彫り 手彫り 帝釈天 立像 『玄巣工房』)
★密教系:象に乗る姿
(Amazonより:【東寺監修 公認】帝釈天(たいしゃくてん) ミニチュア仏像)
【金剛力士(こんごうりきし)】:お寺・仏教のガードマン
・お寺の門に立ついわゆる「仁王(におう)さま」
・阿形(口を開いている)と吽形(閉じている)の筋骨隆々な二人組
・元は執金剛神(しゅこんごうしん)として単独でまつられていた
→例:東大寺の執金剛神像
【四天王(してんのう) - 持国天(じこくてん)・増長天(ぞうちょうてん)・広目天(こうもくてん)・多聞天(たもんてん)】:東西南北にて仏教を守護
・持国天、増長天、広目天、多聞天の四神組
・お堂の四隅に配置されてご本尊を護っている
・武将の姿(※)で邪鬼を踏む
(※法隆寺など、古い時代のお像は温和な貴人スタイル)
毘沙門天(びしゃもんてん):財宝・福徳・闘いの神
・四天王のうち「多聞天」と同一
・財宝、福徳の神(ヒンドゥー教の神様だった)&戦いの神(聖徳太子が戦勝祈願をしたことによる)
・武器を持ち宝塔(お釈迦様のお骨を入れる容器)を掲げる
【兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)】:地から湧きだし兜跋国を救った毘沙門天
(Amazonより:海宇工芸(kaiu art) 小仏【兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)】)
・一般的な毘沙門天と少し姿が異なる
・冠や金鎖甲をまとう姿
・地天女と邪鬼に支えられて地中から湧き出している↓
【吉祥天(きっしょうてん・きちじょうてん)】:豊穣と福徳をつかさどる女神
(Amazonより:極小仏 吉祥天立像-11cm浄瑠璃寺型(木製:ツゲ 金泥仕上))
・幸運、財運、実りの女神
・唐風の服をまとい、豪華なアクセサリーをつけた貴婦人の姿
・如意宝珠を持つ
【弁才天(べんざいてん)】:学問・音楽・財宝の女神
・お寺でも神社でもまつられる
・元は水の神様→水音から派生して音楽の神に
・弁舌の神と融合→学問の神に
・才に「財」を充てる→財宝の神に
・大別すると3タイプ
①腕が8本(奈良時代)
②腕2本(平安時代~)
裸で琵琶を弾く姿(鎌倉時代~)
(Amazonより:栗田仏像ブランド【諸天神】琵琶持ち弁才天座像4.5寸)
③宇賀弁才天(日本の神様と習合)
(Amazonより:栗田仏像ブランド【諸天神】宇賀弁才天(八臂)座像3.0寸)
【訶梨帝母(かりていも) 別名:鬼子母神(きしもじん)】:安産・子育て・子どもをまもる神
・元は鬼神の妻で子どもを食べる恐ろしい存在だが釈迦によって改心
・天女形と鬼神形(日蓮宗系)の2タイプが存在
↓天女形
(Amazonより栗田仏像ブランド【諸天神】訶梨帝母(鬼子母神)立像5.0寸)
↓鬼神形
(Amazonより栗田仏像ブランド【諸天神】鬼子母神(鬼形)立像5.0寸)
【伎芸天(ぎげいてん)】:諸芸上達の天女
(Amazonより木彫 秋篠寺 伎芸天立像(木彫再現像)_)
・芸術や芸能など、芸道上達のご利益があるとされる
・大自在天(古代インドのシヴァ神のこと)の生え際から誕生したとされる
・彫像はほとんどない(仏像としては奈良の秋篠寺のみ)
【大黒天(だいこくてん)】:元戦闘神→福徳の神
・古代インドの戦闘神が日本の神と習合して福徳の神に
・時代によって姿が異なる
~平安時代:しかめっ面で立つ(奈良 興福寺など)
鎌倉時代~:米俵に乗る好々爺(私たちがイメージする「大黒さま」)
室町時代以降の異形:お顔が3つ↓
(Amazonより≪圓徳院公認≫豊臣秀吉 三面大黒天 small(木製:桧)_ イスム isumu )
【韋駄天(いだてん)】:お寺の敷地や建物の守護神
(Amazonより:海宇工芸(kaiu art) 木彫り仏像 【韋駄天立像】)
・お寺の守護神
・日本では俊足の象徴(→お釈迦さまのお骨が盗まれそうになったときに追いかけて取り戻したという俗説から)
・合掌して剣をかかえる姿が多い
【閻魔天(閻魔王:えんまおう)】:冥府の裁判長
・死者を裁く、冥府の裁判長
・中国の高級官僚の姿(日本の閻魔王像は中国の影響を受けているため)
・侍者(司命、司録など)とともに祀られる例も多い
・関連⇒十王(じゅうおう):閻魔王を長とする裁判官10人(王)組
【摩利支天(まりしてん)】:かげろうを神格化
(Amazonより摩利支天 仏像 木彫り 仏像 守護神総高21cm高級木彫り)
・捉えようのないカゲロウを神格化
→捕まらない、傷つかないので武士や忍者から信仰を集めた
・日本の仏像では10数種もの姿があるとされる
・イノシシに乗ることが多い
【歓喜天(かんぎてん)】:商売繁盛・恋愛成就・夫婦円満・子宝の神
(Amazonより栗田仏像ブランド【諸天神】歓喜天(聖天)双身立像)
・欲望を成就させることで人々の心を静める
・頭はゾウで身体はヒト
・日本では商売繁盛の神
・男女が抱き合う姿で表現されることが多い(双身像)
→恋愛成就、夫婦円満、子宝の神
【深沙大将(じんじゃだいしょう)】:「大般若経」の守護神
(Amazonより栗田仏像ブランド【諸天神】 深沙大将 )
・玄奘(三蔵法師のモデルとなったお坊さん)が天竺(インド)に向けて旅をしていたとき、砂の中から登場し守護
・そこから派生して玄奘が翻訳した『大般若経』の守護神に
・恐ろしい鬼の姿で、両足はゾウの口から出ている
【荼吉尼天(だきにてん)】:キツネにまたがる天女/開運出世
(Amazonより小仏- 仏像 精彫造像 仏像 木彫り 荼吉尼天 騎狐像 荼吉尼天守護本尊 )
・元人肉喰らいの夜叉(大黒天に諭されて改心)
・人の死を6か月前に察知できるとされる
・日本では「お稲荷さん」と習合して開運出世の神に
→キツネにまたがる天女の姿
【妙見菩薩(みょうけんぼさつ)】:北極星を神格化
(Amazonより栗田仏像ブランド【諸天神】妙見菩薩立像(乗亀像))
・「菩薩」とつくが、仏教では「天部」に相当
・「妙見」=すぐれた視力
→北極星のように国土を見守る、善悪を見通す、眼病治療のご利益も
・亀(※)に乗り剣をもつ姿が多い
(※)亀と龍が合わさった想像上の生き物の場合も
詳しく→妙見菩薩とは?
天部で構成されるグループ
【八部衆(はちぶしゅう)】:釈迦をサポートする8種の神々
・釈迦の教えを広める手助けをする8神組
・メンバーは、「天、龍、夜叉、乾奪婆(けんだつば)、阿修羅、迦楼羅、緊那羅(きんなら)、まごらか」
・作例少なく日本では興福寺の例がほぼ唯一
↳関連:阿修羅(あしゅら):仏教の守護神
・修羅道(怒りや憎しみや闘いが絶えない世界)のドン
→本来の姿は筋骨隆々の強い系(※興福寺の阿修羅像は特殊)
・帝釈天との闘いに敗れた後仏教の守護神に
【十二神将(じゅうにしんしょう)】:薬師如来をサポートする12の夜叉
・薬師如来をサポートする12神組
・武将スタイルで武器をもつ
・頭に十二支を乗せることも(平安後期以降)
【二十八部衆(にじゅうはちぶしゅう)】:千手観音をサポートする28の神々
・千手観音や信仰する人々を守る神々
・各神がそれぞれの専門分野で力を発揮
→全方位を守護できる無敵グループ
十二天(じゅうにてん):全方位&昼夜問わず仏教を守護する12神組
・全方位&全時間において仏教を守護
・仏画が多く仏像はほとんどない
広告- - - - - - - - - -
垂迹神(すいじゃくしん)
基本情報
・日本古来の神々と仏教が習合
・平安~明治時代(神仏分離令)まで続いた
【僧形八幡(そうぎょうはちまん)】:お坊さんの姿で表わされる八幡神
・僧侶の姿をした「はちまんさま」
・元は宇佐の氏神様、仏教と習合
【雨宝童子(うほうどうじ)】:天照大神が地上に降り立ったときの姿
(Amazonより栗田こだわり仏像 【諸天神】 雨宝童子立像 )
・日本古来の天照大神が仏教と集合(大日如来の化身とも)
・地上に降り立ったときの姿
・宝棒をもつ
【青面金剛(しょうめんこんごう)】奇病を流行させる鬼神/庚申信仰の本尊
(Amazonより楠 彩色青面金剛像 33cm 木彫り 仏像)
・奇病を流行させる鬼神→奇病を避けるためにお像を祀るようになった
・日本で独自の発展をし、庚申信仰(※)の本尊に
(※ 体に宿る虫が庚申の夜に帝釈天に悪事を報告に行ってしまうので寝ずに宴会をして過ごす)
【蔵王権現(ざおうごんげん)】:如来や菩薩が仮の姿で出現
(Amazonより栗田こだわり仏像 【諸天神】 蔵王権現立像 )
・如来や菩薩が仮の姿で出現
・山岳信仰や密教と結びついて生じた日本独自の仏
・蹴り上げた右足で天地間の悪をはらっている
【新羅明神(しんらみょうじん)】:三井寺の守護神
・滋賀県三井寺の守護神(三井寺にのみ存在)
・あごひげの長い老人の姿
【三宝荒神(さんぽうこうじん)】:仏・法・僧を守る荒神
(Amazonより柘植 三宝荒神 立像 29cm 木彫り 仏像)
・仏教における三つの宝(仏・法・僧)を守る荒ぶる性格の神
・日本古来の神様と仏教が習合(日本にしか存在しない)
・江戸時代~は火やかまどの神→のちに食物・農耕の神に
【七福神(しちふくじん)】:福徳の七神組
(Amazonより:瀬戸陶芸社 ミニ七福神(大) S12-274)
・メンバーは、恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁才天、福禄寿、寿老人、布袋
・宗派を超えて和合している
【牛頭天王(ごずてんのう)】:祇園精舎の守護神/日本では八坂神社の神
(※天部とも考えられますが、日本では八坂神社の神としての面が大きいので垂迹神に分類しています)
(Amazonより栗田こだわり仏像 【諸天神】 牛頭天王座像 )
・日本ではスサノオノミコトと習合し八坂神社の神
・忿怒相で頭に牛の頭部をのせる
羅漢(らかん)・高僧(こうそう)
羅漢:お釈迦さまの弟子や最高位のお坊さん
高僧:仏教の普及に多大なる貢献をしたお坊さん
(参考)祖師:宗派の開祖
【十大弟子(じゅうだいでし)】:お釈迦さまの直弟子のうちとくに優秀な10人のお坊さん
・仏教への貢献などの実績をもとに、後世になってから選ばれた10人のお坊さん
【十六羅漢(じゅうろくらかん)】:釈迦が遺言を託した16人の弟子
・釈迦に遺言を託された16人のお坊さんたち
・彫像は少なくほとんど仏画
⇒有名メンバー【びんずる尊者】:日本では「なで仏」として親しまれている
・十六羅漢メンバーの一人
・撫で仏としても有名で摩耗したお姿が多い
・お堂の外に置かれることが多い
【五百羅漢(ごひゃくらかん)】:お釈迦さまに従う500人の弟子(中国発祥)
・お釈迦さまの500人の弟子たち
・お釈迦さまが亡くなったあとお経を編集する会議に出席したお坊さんたちという説も
【維摩居士(ゆいまこじ)】:仏教に長けたインドの大商人
・「維摩経」というお経に登場
・商人でありながら文殊菩薩と問答できるほど仏教を理解
・弁舌に長けているので敬遠されがち
・その一方で人々の苦しみに共感しすぎたため病に伏すという面も
(高僧像など)
【無著(むじゃく)・世親(せしん)菩薩】:北インドのお坊さん兄弟
・5世紀ころのインドで活躍
・いくつものお経を書いた学者でもある(学僧)
・興福寺の例(運慶作)は肖像彫刻としても名高い
【聖徳太子(しょうとくたいし)】:仏教の理解者
※僧侶ではないですが、日本仏教の発展に欠かせない人物なのでここに記載しています
・亡くなった後に太子信仰が起こり仏像がつくられるように
・2、7、16、35、49歳と各年代でのお像が存在
【鑑真(がんじん)】:66歳で来日/日本の授戒制度を整備
・失明しつつも6度目の挑戦で来日した中国の高僧
・日本の授戒(僧の戒律を授ける)制度を整備
・東大寺の戒壇堂や唐招提寺を創建
【宝誌和尚(ほうしわじょう)】:内なる仏が出現した瞬間のお像
・昔の中国のお坊さん
・「宇治拾遺物語」にも登場
・肖像画を描こうとしたときに内側から菩薩が出現したというエピソード
→その瞬間を捉えたお像
【役行者(えんのぎょうじゃ)or 役小角(えんのおづぬ)】:奈良時代の山岳修行者
(Amazonより:海宇工芸(kaiu art) 小仏 【役行者(えんのぎょうじゃ)】)
・奈良時代に大峰山などを開いた山岳修行者(※)
・蔵王権現を感得
・高い下駄を履き腰かける姿
(※ 修験道の開祖と言われることもありますが、修験道は日本古来の山岳信仰に密教が結びついて発展したもので祖師はいない、というのが実際のところのようです)
【弘法大師(空海)(こうぼうたいし くうかい)】:真言宗をひらく/語学・書道・土木などにも長けた天才僧侶
・真言宗の開祖
・五鈷杵(ごこしょ)という法具を胸の前に当てる坐像が多い
・現在も高野山で深い禅定をつづけている(と真言宗では考える)
【伝教大師(最澄)(でんきょうだいし さいちょう)】:天台宗をひらく/様々なお経を研究した
(Amazonより:仏像 伝教大師(桧/ヒノキ) 3.0寸 安伽堂)
・天台宗の開祖
・空海とは親交があったものの後に疎遠に
・空海に比べると像例はとても少ない
【空也上人(くうやしょうにん)】:口から出現する六体の仏像は「南無阿弥陀仏」を表現
(Amazonより:21世紀ペーパークラフト03 空也上人像)
・平安時代に念仏を唱えながら各地をめぐり歩いたお坊さん
・口から出現する6体の仏は念仏(南無阿弥陀仏)を表現
・鹿の角の杖をつき、鐘をつく姿
【行基菩薩(ぎょうきぼさつ)】:「奈良の大仏」造立の責任者
・東大寺の大仏造立に貢献したお坊さん
・大仏以外にも橋、池、港などのインフラ整備に奔走
・奈良での存在感は抜群
【興正菩薩(叡尊)(こうしょうぼさつ えいそん)】:「生き仏」とも呼ばれた鎌倉時代のお坊さん
(Amazonより:興正菩薩御教誡聴聞集・金剛仏子叡尊感身学正記 西大寺蔵版)
・荒れていたお寺を再興(例:奈良の西大寺)
・貧者や病人にも手をさしのべ「生き仏」と呼ばれた
・八の字の眉毛がふさふさ
【慈恵大師(良源) (じえたいし りょうげん)】:厄除け大師/おみくじの創始者とも
・比叡山延暦寺を発展させた平安時代のお坊さん
・別名がたくさんある「やくよけ大師」「元三大師」「角大師」「豆大師」
・おみくじの原型をつくったともいわれる
【東大寺の有名お坊さん像 - 良弁(ろうべん)・行基(ぎょうき)・重源(ちょうげん)・公慶(こうけい) 】:東大寺をつくり、まもってきたお坊さんたち
・良弁(ろうべん):東大寺を創建
・実忠(じっちゅう):良弁の弟子
・行基(ぎょうき):大仏造立の責任者
・重源(ちょうげん):東大寺を復興(鎌倉期)
・公慶(こうけい):東大寺を復興(江戸期)
(僧正、菩薩、上人など、お名前につける敬称は省略しています)
本の表紙の写真はAmazonリンクです。
仏像の写真は博物館などで「撮影可」のときに撮影したものです。
広告- - - - - - - - - -