釈迦如来(しゃかにょらい)とは?
仏教の開祖である釈迦は、29歳で出家、35歳で悟りを開きました。
その、悟りを開いた釈迦の姿を表したお像が釈迦如来像です。
釈迦は自身を信仰の対象にしなかったので、当時は仏像はありませんでした。
仏像がつくられるようになったのは、釈迦が亡くなってから数百年もあとのこと。
そして日本に仏像が渡ってきたのは538年(諸説あり)でした。
詳しい特徴を見ていきましょう。
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釈迦如来像の主な特徴
① 質素な格好
悟りを開いた後なので、アクセサリー類も身に着けず、質素な格好をしています。
② 螺髪(らほつ)&肉髻(にっけい)
修行によって知恵が発達しすぎたため、頭頂部が盛り上がっています(肉髻(にっけい)とよぶ)。
(①と②は他の如来にも共通)
③ 説法中の姿で表現されることが多い
説法をしている姿が多く、手の形(印相:いんそう)は施無畏印(せむいいん:人々に対して「恐れなくていい」)と与願印(よがんいん:人々の願いを「聞きます」)をとっていることが多いです。
釈迦如来像は大きく分けて5タイプ
① 基本形
座って説法をしているときの姿が一般的です。
例:奈良 飛鳥寺
釈迦如来といえばこのお方、というくらい有名ですかね。
奈良県の安居院の釈迦如来坐像、別名「飛鳥大仏」。
日本最古の仏像です。
鞍作止利(くらつくりのとり)が造ったお像です。
アーモンドアイが印象的です。
修復を繰り返しているので、ほっぺのあたりに絆創膏のような傷も。
①‐2 基本その2 三尊像形式
両脇に小ぶりの仏像(脇侍:わきじ)を配置して、「釈迦三尊像」としてまつることも多いです。
例:奈良 法隆寺
法隆寺の釈迦三尊像も、飛鳥大仏と同じく、鞍作止利の作。
こちらは薬王菩薩・薬上菩薩が脇侍をつとめています(※)。
(※)一般的には、釈迦如来の脇侍は、「右が文殊菩薩、左が普賢菩薩」が多いのですが、古い時代のお像だと薬王・薬上菩薩が多いです(興福寺など))。
☆法隆寺の釈迦三尊像について詳しく>>>法隆寺 金堂 - 国宝の釈迦三尊像は飛鳥時代の記念碑的彫刻
②清凉寺式
10世紀に清凉寺にもたらされた釈迦如来像は「釈迦の生前に写し取った姿」として信仰を集めました。
そこで清凉寺の釈迦如来像を模刻したスタイルが流行し、このタイプを「清凉寺式」とよびます。
例(というか本家):京都 清凉寺
特徴は
・網目状の頭髪(螺髪ともちょっと異なる)
・通肩(つうけん:両肩を覆う衣の着方)
本場の清凉寺以外にも、奈良国立博物館所蔵のお像など、いくつか作例があります。
③誕生仏
マーヤ夫人の脇の下から生まれ、すぐに立って歩き、右手で天を、左手で地を指し「天上天下唯我独尊」と唱えたというエピソードがあるお釈迦さま。
そのときのお姿を表したのが誕生仏。
子供の姿なので、頭が大きかったり、腕がムチムチしていたり、いわゆる「幼児体型」がかわいい。
像高10~20cmくらいの小さな金銅仏が多いです。
例:奈良国立博物館の「なら仏像館」
なら仏像館の常設展で見ることができます。
(誕生仏には触れていないのですが参考↓)
★なら仏像館 - 詳しくなくても楽しめるインパクト強めの仏像たちを紹介 )
④出山(しゅっせん・しゅっさん)釈迦像
山にこもって修行していた釈迦が「苦行は無意味」と悟って、山を下りるときの姿を表した仏像。
苦行後なので、全身ガリガリ、目はうつろ、足元もフラフラな衝撃のお姿。
彫像としての作例は非常に少なく、奈良国立博物館所蔵のお像が有名。
例:奈良国立博物館(※特別展など)
奈良国立博物館が所蔵していますが、常時拝観できるわけではなく、年パス持ちの私も特別展でしかお目にかかったことがないです。
☆特別展に出陳されたときの様子>>>【特別展】奈良博三昧 - 「奈良博といえばコレ!」な逸品がずらり
⑤涅槃仏像
入滅時(亡くなるとき)の横たわったお姿を表したお像。
あまりお見かけしないなーと思っていたのですが、やはり日本では制作が少ないようです。
例:東京国立博物館
東京国立博物館の本館1階11室の仏像コーナーにいらっしゃいました(展示は定期的に変更となります)。
☆東京国立博物館で仏像を観る>>>仏像スポットは本館1階11室 - 仏像、ときどきワンダー観光
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おわりに
釈迦如来像は「如来」の基本形なので、ほかの如来(阿弥陀如来など)とも似ていて見分けがつきにくいのですが、持物をもたないシンプルな姿と印相(施無畏印+与願印)がポイントになるかなと思います。
基本形以外のお像(出山像、涅槃像)は珍しいので、特別展などにおでましの際はぜひご覧になることをおすすめします。
ほかの仏像を探す
一覧表示>>>仏像の種類一覧
shishi-report-2.hatenablog.com
参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)
お経と仏像で仏教がわかる本【完全保存版】 (洋泉社MOOK)
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