五智如来(ごちにょらい)とは?
密教の5つの知恵を5体の如来に当てはめた存在が「五智如来」。
大日如来を中心に、阿閦(薬師と同一視)・宝生・無量寿(阿弥陀と同一視)・不空成就(釈迦と同一視)が囲む配置となっています。
・大日如来(だいにちにょらい):法界体性智(→大日如来の絶対的な知恵)
・阿閦如来(あしゅくにょらい):大円鏡智(→大きな鏡に映るようにすべてを正しく照らす知恵)
・宝生如来(ほうしょうにょらい):平等性智(→すべてのものが平等で絶対的な価値があると示す知恵)
・無量寿如来(むりょうじゅにょらい)(※):妙観察智(→よく観察して見極める知恵)
・不空成就如来(ふくうじょうじゅにょらい):成所作智(→すべきことを成就させる知恵)
(※)東寺像の場合、阿弥陀如来となります。
広告- - - - - - - - - -
菩薩や明王の姿にも変身する
五智如来が人を助けるために菩薩の姿に変身した姿→五大菩薩
東寺の立体曼荼羅では、五智如来の正面右隣に五大菩薩が配置されています。五大菩薩は、如来が人々を助けるために菩薩に変身したときのお姿です。
東寺の例を示します。
・大日如来→金剛波羅密多菩薩(こんごうはらみたぼさつ)
・阿閦如来→金剛薩埵菩薩(こんごうさったぼさつ)
・宝生如来→金剛宝菩薩(こんごうほうぼさつ)
・阿弥陀如来→金剛法菩薩(こんごうほうぼさつ)
・不空成就如来→金剛業菩薩(こんごうぎょうぼさつ)
救いがたいとき→五大明王に変身
やさしく諭しても救いがたい場合、五智如来は五大明王のおそろしい姿に変身します。こちらも東寺の例です。
・大日如来→不動明王(ふどうみょうおう)
・阿閦如来→金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)
・宝生如来→降三世明王(ごうざんぜみょうおう)
・阿弥陀如来→軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)
・不空成就如来→大威徳明王(だいいとくみょうおう)
五智如来像の実例
京都 東寺 講堂 立体曼荼羅
講堂を宇宙に見立て、金剛界世界を表現しています(空海プロデュース)。
中央が五智如来、向かって右手に五大菩薩、向かって左手に五大明王が安置されています。
shishi-report-2.hatenablog.com
京都国立博物館(京都 安祥寺のお像)
令和元年に国宝指定された安祥寺の五智如来。851~854年頃のお像だそうです。
現在は京都国立博物館に寄託されているそうなので、京博の特別展などで拝見できるかもしれません。
お寺のサイトでお写真見ることができます>>>御本尊 | 吉祥山宝塔院 安祥寺
高野山 金剛三昧院 多宝塔
国宝の多宝塔内に五智如来が安置されています。
冬季など、開扉されていない時期もあるようなので、公式サイト等をご確認ください。
広告- - - - - - - - - -
おわりに
「阿閦」とか「無量寿」とか、お名前が難しいのでなんじゃそら、となりがちな五智如来。
密教の知恵を表現する仏さまグループ、と意訳するとちょっと親しみがわきますね。
五大菩薩や五大明王に変身もできるのもポイントでした。
ほかの仏像を探す
参考文献・サイト
お経と仏像で仏教がわかる本【完全保存版】 (洋泉社MOOK)
【マイナビ文庫】幸せへと導く仏様事典: あなたに救いをもたらす66尊の仏天たち