軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)とは?
「クンダリ(サンスクリット語)」とは、「とぐろを巻くもの」の意。
とぐろを巻くといえば……ヘビ!
軍荼利明王は、ヘビを身体に巻き付けたり、手に握っているのが特徴です。
一見、ギョッとするようなお姿ですが、いろんな障難を追い払ってくれるという存在。
詳しい特徴を見ていきましょう。
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軍荼利明王の特徴
ヘビを巻きつけている
手首や足首にヘビを巻き付けたり、手に握っています。
ヘビの感じがリアルなお像も多いので、初めて見たときはギョッとしました。
手指の形(印相)は大瞋印(だいしんいん)
2本の腕を胸の前で交差させ、手先は人・中・薬指を伸ばして、小指を親指で抑える形(ざっくりいえば「3」のジェスチャーをして、手の甲側を外に向けるイメージ)の印相を結んでいます。
この形は、軍荼利明王独自のもの。
一面三目八臂(いちめんさんもくはっぴ)の姿が多い
お顔は一つで、目が三つ、腕が八本のお姿で表現されることが多いです。
持物(じもつ)
三鈷杵(さんこしょ)、戟(げき)、金剛鉤(こんごうこう)などを持っています。
片足を上げて立つ姿で表わされることが多い
片足を上げて、蓮華の小型の台に乗せるという、勇ましい姿の像が多いです。
その他
焔髪(逆立った髪)、忿怒相(怒りの表情)、虎皮裙(トラの皮の腰巻き)などは降三世明王などと共通しています。
軍荼利明王像の実例
立ち姿(立像)が基本となります。
京都 大覚寺
五大明王のうちの一体の軍荼利明王。
平安時代末期の仏師「明円」が制作。
あらゆる首という首に、ニョロニョロとヘビさんが……。
虎皮裙(トラの皮の腰巻)に、トラのお顔がついているのもリアル。
滋賀 金勝寺
現存する最古の軍荼利明王像(平安時代前期)。
像高3.6メートル!
ヘビの存在感は控えめのもよう。
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京都 東寺(救王護国寺) 講堂
立体曼荼羅の「五大明王」エリアの一尊。
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京都 醍醐寺
上の画像(サントリー美術館で開催された醍醐寺展チラシより引用)だと、不動明王(中央)の向かって左にいるのが軍荼利明王。
醍醐寺公式サイトで五大明王の動画を見ることができます。
(動画では軍荼利明王の役割を「外敵から皆を守ってくれる」と説明していました。わかりやすい)
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おわりに
ヘビを巻き付けていて、おどろおどろしい姿の軍荼利明王ですが、外敵から守ってくれる頼もしい存在。
サンスクリット語の「クンダリ」には「甘露(不老不死の薬)」という意味もあるので、甘露信仰と結びつき、拝まれるケースもあるのだとか。
五大明王のうち、「ヘビを巻き付けていたら、軍荼利明王」なので、見分けやすいですね。
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参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)
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