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【仏像の知識】軍荼利明王とは? - ヘビを巻き付ける不気味な姿だが障害をとりのぞいてくれる仏

軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)とは?

【東寺監修 公認】軍荼利明王(ぐんだりみょうおう) ミニチュア仏像【空海 立体曼荼羅21体 真言宗開宗1200年記念】

「クンダリ(サンスクリット語)」とは、「とぐろを巻くもの」の意。

とぐろを巻くといえば……ヘビ!
軍荼利明王は、ヘビを身体に巻き付けたり、手に握っているのが特徴です。

一見、ギョッとするようなお姿ですが、いろんな障難を追い払ってくれるという存在。
詳しい特徴を見ていきましょう。

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軍荼利明王の特徴

ヘビを巻きつけている

手にヘビを握っているイラスト

軍荼利明王といえばヘビ

手首や足首にヘビを巻き付けたり、手に握っています。
ヘビの感じがリアルなお像も多いので、初めて見たときはギョッとしました。

手指の形(印相)は大瞋印(だいしんいん)

大瞋印という印相のイメージイラスト

大瞋印という印相

2本の腕を胸の前で交差させ、手先は人・中・薬指を伸ばして、小指を親指で抑える形(ざっくりいえば「3」のジェスチャーをして、手の甲側を外に向けるイメージ)の印相を結んでいます。
この形は、軍荼利明王独自のもの。

一面三目八臂(いちめんさんもくはっぴ)の姿が多い

お顔は一つで、目が三つ、腕が八本のお姿で表現されることが多いです。

持物(じもつ)

三鈷杵(さんこしょ)、戟(げき)、金剛鉤(こんごうこう)などを持っています。

片足を上げて立つ姿で表わされることが多い

片足を上げて、蓮華の小型の台に乗せるという、勇ましい姿の像が多いです。

その他

焔髪(逆立った髪)、忿怒相(怒りの表情)、虎皮裙(トラの皮の腰巻き)などは降三世明王などと共通しています。

軍荼利明王像の実例

立ち姿(立像)が基本となります。

京都 大覚寺

五大明王のうちの一体の軍荼利明王。
平安時代末期の仏師「明円」が制作。
あらゆる首という首に、ニョロニョロとヘビさんが……。

虎皮裙(トラの皮の腰巻)に、トラのお顔がついているのもリアル。 

旧嵯峨御所 大本山 大覚寺

滋賀 金勝寺

現存する最古の軍荼利明王像(平安時代前期)。
像高3.6メートル!
ヘビの存在感は控えめのもよう。

天台宗 金勝山 金勝寺 滋賀県 | 栗東市 | 観光 | お寺めぐり

京都 東寺(救王護国寺) 講堂

立体曼荼羅の「五大明王」エリアの一尊。

shishi-report-2.hatenablog.com

 

京都 醍醐寺

サントリー美術館で開催された醍醐寺展のチラシの五大明王部分を撮影した画像

醍醐寺五大明王(醍醐寺展のチラシより引用)

上の画像(サントリー美術館で開催された醍醐寺展チラシより引用)だと、不動明王(中央)の向かって左にいるのが軍荼利明王。

醍醐寺公式サイトで五大明王の動画を見ることができます。
(動画では軍荼利明王の役割を「外敵から皆を守ってくれる」と説明していました。わかりやすい)

世界遺産 京都 醍醐寺:五大力さん

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おわりに

ヘビを巻き付けていて、おどろおどろしい姿の軍荼利明王ですが、外敵から守ってくれる頼もしい存在。

サンスクリット語の「クンダリ」には「甘露(不老不死の薬)」という意味もあるので、甘露信仰と結びつき、拝まれるケースもあるのだとか。

五大明王のうち、「ヘビを巻き付けていたら、軍荼利明王」なので、見分けやすいですね。

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参考文献

仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)

写真・図解 日本の仏像 この一冊ですべてがわかる!

イラストでわかる 日本の仏さま (文庫)

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