阿弥陀如来(あみだにょらい)とは?
阿弥陀如来は元々はインドの王子さま(釈迦と同じ)。
48もの願いを立て、ものすごく長い修行の末に如来になったとされます。
48の願いのうち、重要なのが「念仏をとなえた者すべてを極楽浄土に導く」というもの。
詳しい特徴を見ていきましょう。
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阿弥陀如来像の特徴
・肉髻(にっけい:頭が盛り上がっている)
・白毫(びゃくごう:額の光る巻き毛)
・質素な衣
など、基本のところは釈迦如来像と共通しています。
阿弥陀定印などを結ぶ
阿弥陀如来像としての一番の特徴は、「阿弥陀定印(あみだじょういん)」と呼ばれる印相(手の形)を結んでいることが多いです(※)
(※阿弥陀定印は平安時代以降。古いお像では施無畏印・与願印・説法印、平安後期以降は来迎院など)。
(阿弥陀定印のイメージ図↓)
※フリーハンドで描いているので、正しい形は本などでご確認いただけると幸いです)
サポート役は観音&勢至菩薩
阿弥陀如来の両隣に観音菩薩&勢至菩薩が並ぶ「三尊形式」でお祀りされる形式もあります。このとき、観音菩薩は阿弥陀の化仏(小さい仏)をつけ、勢至菩薩が水瓶(すいびょう)をもっていることが多いです。
三尊形式は釈迦如来などでもありますので、両脇の菩薩の特徴によって「阿弥陀如来」と判断がつく場合もあります。
阿弥陀如来像の例
①基本形
座って阿弥陀定印(または来迎印)を結ぶ姿が多いです。
坐像が多い気はしますが、立っているお像もあります(浄土真宗は立像が基本)。
例:京都 平等院 鳳凰堂
(参考:平等院に行ったものの、鳳凰堂が修理中で阿弥陀如来像は観られなかった……という拝観レポート↓)
shishi-report-2.hatenablog.com
基本タイプの阿弥陀如来像は像例が多く、
・鎌倉 高徳院(鎌倉大仏)
・京都 浄瑠璃寺
なども非常に有名ですね。
①-2 基本 三尊像形式
阿弥陀如来の両脇に観音・勢至菩薩が並ぶ形式も結構多いです。
例:兵庫 浄土寺(じょうどじ)
阿弥陀如来の理想の形を追い求めた快慶による作。
春分・秋分の日暮れどき、後ろの戸から日が射して赤い光の中に金色の仏が浮き上がるように見えるそうです(お堂もお像も国宝)。
小野市観光サイト>>>国宝 / 浄土寺(じょうどじ) | 小野市 観光ナビ
② 来迎(らいごう)阿弥陀如来
阿弥陀如来たちが死者を迎えにくる場面を表現しています。
阿弥陀如来は来迎印を結び、脇侍の菩薩が死者の魂を乗せる台をもっていることが多いです。
例:京都 三千院
平安時代を代表する阿弥陀三尊で、国宝。
脇侍の観音・勢至菩薩は正座の状態から上半身を前かがみにしていて、今まさに立ち上がろうとするような、そんな瞬間をとらえています。
公式サイト>>>文化財|三千院のご案内|天台宗 京都大原三千院
③ 九体阿弥陀
『観無量寿経』というお経では、死後の世界が9種あり、生前の生き方に応じてどこに行くかが決まる、という考え方をします。
人柄がよければ上品(じょうぼん)、悪いことをすれば下品、という感じですね。
それら9種の往生を表したのが九体阿弥陀。
例:京都 浄瑠璃寺
9体すべて残っているのは浄瑠璃寺のみ(国宝)。
浄瑠璃寺は弁才天のお像でも非常に有名です。
④ 裸形の阿弥陀如来
裸の姿でお像をつくり、実際の衣類をつける「裸形」タイプがあります。
如来だとほぼ阿弥陀如来のみのようです(ほかに地蔵菩薩や弁天などは裸形あり)。
例:奈良国立博物館
写真はこちらから見られます>>>阿弥陀如来立像|奈良国立博物館
裸形のまま出陳されている(安心してください、履いてますよ(蓮華を))ので、仏像館内でもかなり異彩を放っておられました。
最初に観たときはつい「さ、寒くありませんか?」と聞いてしまいそうでした。
脚も細いので、心配になります。
表情もどこかのんびりしているというか……おっとりしているというか。とても親しみを感じて、私は好きなお像です。
⑤ 宝冠阿弥陀如来(ほうかんあみだにょらい)
「常行三昧(じょうぎょうざんまい)」という修行をするお堂に祀られる阿弥陀如来は、髪を高く結い、宝冠をかぶる姿です。
例:岩手 毛越寺 常行堂
毛越寺の常行堂にいらっしゃる「宝冠阿弥陀如来像」。
宝冠から垂れる飾りがリボンのようで非常にかわいらしい印象でした。
(拝観レポート)
shishi-report-2.hatenablog.com
⑥ 五劫思惟阿弥陀如来(ごこうしゆいあみだにょらい)
頭(頭髪)が大きいので、ガイドブックなどでは「アフロヘア」と表現されることもある五劫思惟阿弥陀仏。
ものすごく長い時間、人々を救おうと考え事(思惟)をし、菩薩から如来になる姿をとらえたお像です。時間の長さをうず高い螺髪(らほつ)で表現しています。
もっと詳しく>>>五劫思惟阿弥陀仏って?拝観するならどこのお寺?
例:奈良 五劫院
普段は予約が必要ですが、特別拝観期は予約なしで拝観できます。
shishi-report-2.hatenablog.com
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おわりに
生きている間は、だれも死んだことがありませんから(仮に輪廻転生しているとしても覚えていませんし)、死とは不安なものですよね。
その不安に対し、「念仏唱えておけば阿弥陀さまが極楽浄土に連れていってくれる」と安心することで、今ある生をまっとうしよう、ということなのでしょうね。
昔は、現代のように医学や科学も発達していませんから、「死」や「死後」って、「ほんとうに得体のしれないもの」だったでしょう(まあ、今もそうですが)。
だからこそ、阿弥陀如来の存在は、人々の心の支えになってきたのだろうと思います。
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shishi-report-2.hatenablog.com
参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)
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