阿弥陀如来(あみだにょらい)とは?
人々を極楽浄土に導いてくれる阿弥陀如来。
命が尽きるときに「南無阿弥陀仏」と唱えれば、極楽浄土から阿弥陀如来さんが迎えに来て、連れて行ってくれる、というエピソードを聞いたことがある、という方は(仏教徒でなくても)多いのではないでしょうか。
亡くなることを「お迎えがくる」とも言ったりするのは、このエピソードからきているのでしょう。
生きている間は、だれも死んだことがありませんから(仮に輪廻転生しているとしても覚えていませんし)、死とは不安なものですよね。
その不安に対し、「いざとなったら阿弥陀さまが来てくれるのだから」と安心することで、今ある生をまっとうしよう、ということなのでしょうね。
昔は、現代のように医学や科学も発達していませんから、「死」や「死後」って、「ほんとうに得体のしれないもの」だったでしょう(まあ、今もそうですが)。
だからこそ、阿弥陀如来の存在は、人々の心の支えになってきたのだろうと思います。
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阿弥陀如来像の特徴
大枠としては「如来像」なので
・肉髻(頭が盛り上がっている)
・白毫(額の光る巻き毛)
・三道(のど元の三本のしわ)
・質素な衣
などは、釈迦如来像と共通しています。
阿弥陀定印を結ぶ
阿弥陀如来像としての一番の特徴は、印相(いんそう)と呼ばれる手指の形。
「阿弥陀定印(あみだじょういん)」と呼ばれる印相を結んでいることが多いです。
(イメージ図
※フリーハンドで描いているので、正しい形は本などでご確認いただけると幸いです)
両掌を上に向けて臍前で重ね、両人指し指を合わせて立て、その指先に親指を載せる。阿弥陀如来が瞑想している時の印相。
石井亜矢子『仏像の見方ハンドブック』池田書店(2015)P.149
ちなみに、阿弥陀如来が結ぶ印相は9種類もあります!
どの印相になるかは、生前の功徳によって変わるのだそうです。
上で紹介した「阿弥陀定印」は最高ランクのもの。
阿弥陀如来像の例
坐像(座っているタイプ)
鎌倉大仏
一番有名なのは、「鎌倉大仏」でおなじみ、高徳院の国宝銅造阿弥陀如来坐像でしょうか。
(実は私、まだ観たことないんです。
中学生の頃の遠足で、鎌倉には行ったのですけど……。
班行動だったので、いろんな人の思惑が交錯しますからね。
特に仲の良いメンバーでもなく、雨が降って寒かったし、終盤は全員イライラしていて辛かった思い出しかない)
京都 平等院 鳳凰堂
京都・宇治の平等院、鳳凰堂にいらっしゃる阿弥陀如来も有名ですね。
www.byodoin.or.jp
(平等院には行ったのに、鳳凰堂が修理中で阿弥陀如来像は観られなかった……という拝観レポート↓)
shishi-report-2.hatenablog.com
立像(立っているタイプ)
奈良国立博物館
かなりインパクトがあったのが、奈良国立博物館所蔵の阿弥陀如来立像(裸形)。
なんと、衣服をお召しになっていないのですよ!
(ご安心ください、大事なところには蓮華で覆われています)
最初に観たときはつい「さ、寒くありませんか?」と聞いてしまいそうでした。
脚も細いので、心配になります。
三尊像タイプ
阿弥陀如来像の両脇に小さな仏像が配されている。三人(仏)組形式です。
脇侍は、右が観音菩薩、左が勢至菩薩、であることが多いようです。
京都 三千院
三千院のお像の特徴は、脇侍の観音・勢至が、すぐに立ち上れるよう、前傾姿勢をとっているところ(大和座り)。
三千院公式サイト>>>http://www.sanzenin.or.jp/
奈良 興福院(こんぶいん)※特別公開時のみ
公開日が限られていますが、天平時代の木芯乾漆像です。
天平時代の作とは思えないツヤ、鈍く光る金色のお身体も見ごたえあり。
拝観レポート
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ちょっと珍しいタイプの阿弥陀如来像
宝冠阿弥陀如来(ほうかんあみだにょらい)
豪華な宝冠を被っている阿弥陀如来。
岩手 毛越寺
毛越寺の常行堂にいらっしゃる「宝冠阿弥陀如来像」。
宝冠から垂れる飾りがリボンみたいでかわいかったです。
(拝観レポート)
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五劫思惟阿弥陀如来(ごこうしゆいあみだにょらい)
頭(頭髪)が大きいので、ガイドブックなどでは「アフロヘア」と表現されることもある五劫思惟阿弥陀仏。
ものすごい長い時間、考え事(思惟)をしていた、ということを伸びまくった螺髪(らほつ)で表現しています。
「如来」と名前がついていますが、如来以前のお姿なんだとか。
(※なので、「阿弥陀如来」とせず、「阿弥陀仏」としている場合もあるようです)
阿弥陀定印などは結ばず、合掌などが多いようです。
奈良 五劫院
「五劫院」と名前がついているくらいですし、五劫思惟阿弥陀の例としては代表的なお寺かと。開扉日が限られていますのでご注意を(開扉日以外は予約が必要)。
五劫思惟阿弥陀仏坐像|五劫院|奈良市|奈良エリア|秘宝・秘仏 特別開帳|祈りの回廊|巡る奈良 [奈良県]
奈良 十輪院
開門日であればいつでも拝観可。
本堂脇のスペースにいらっしゃいます。
小ぶりではありますが、いつでもお会いできるのはありがたい。
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おわりに
死の瞬間に迎えに来てくれるということで、穏やかなお顔も特徴の一つ。
悩んでいるときは阿弥陀如来像に会ってみてはいかがでしょうか。
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参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)
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