大仏さまが有名な東大寺ですが、ほかの仏像もすごいのです。
仏像に興味ある方は大仏殿以外のお堂にもぜひ。
※特別展への出陳や修理などで一時的に非公開、安置場所が変更される場合があります。
※すべては把握しきれないため、一部省略しているお像があります。
※大仏殿内以外、お堂内の撮影は禁止です。
※簡略化のため、「立像」「坐像」は省略しています。
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- 通年で拝観が可能な仏像
- 東大寺ミュージアム
- 特別公開時のみ拝観できるお堂&仏像
- 絶対秘仏
- 個人的おすすめ
通年で拝観が可能な仏像
お堂内の仏像は開堂時間中のみ、門に安置されている仏像はいつでも拝観可能です。
南大門(なんだいもん)
金剛力士(こんごうりきし)
金剛力士は、いわゆる「仁王さま」で、慶派仏師たちが69日で完成させたお像(1203年)。
まず大きさに驚き、2か月程度でつくったと思えないほどの造形美にも驚愕。
石獅子(いしじし)
南大門の北の間には、日本最古の夫婦の石獅子。
宗から来日した石工の作(1196年)。
ちなみに、南大門の南の間に仁王像、北の間に石獅子という配置になっています。
石獅子は見逃しやすいので要注意。
詳しく:東大寺 南大門 - 慶派仏師による仁王像と日本最古の石獅子
中門(ちゅうもん)
兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)
兜跋(とばつ)国がピンチに襲われたとき、地天女(ちてんにょ)に支えられて地中から湧きだした毘沙門天。
足元の、愛嬌ある鬼コンビ(にらんば・びらんば)とスンと澄ました地天女にも注目。
参考:兜跋(とばつ)毘沙門天とは? - 地から湧き出し兜跋国(中国の西域)を救う
持国天(じこくてん)
持国天は四天王メンバー(東方担当)で、「持国=国を支える」役割。
関連:四天王とは? - 東西南北に立ち仏教を守る四人(仏)組
なぜ持国天&毘沙門天(=多聞天)コンビなのかというと、仁王像の代わりに、持国天と多聞天を安置する形式があるのです。
★大仏殿への入口は向かって左手にあり、こちらの中門は通常くぐらないので、見逃してしまうことが多いのですが、ぜひとも近づいてご覧いただきたいです。
詳しく:東大寺 中門 - 江戸時代に再興された兜跋毘沙門天&持国天
大仏殿
廬舎那仏(るしゃなぶつ)〈大仏さま〉
廬舎那仏は仏教の教えそのものを実体化した仏。
こんなにも壮大なスケールで造像されたのも納得です。
虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)&如意輪観音(にょいりんかんのん)
巨大な知恵と慈悲で人々を救う虚空蔵菩薩と、智も財も思うがままに叶える如意輪観音。
(※如意輪観音については、一般的な如意輪観音と姿が異なるので、別のお像としてつくられたという説もあるようです)
広目天(こうもくてん)
四天王メンバーのうち、西方担当の広目天。
手に持っている筆で、千里眼で見たものを巻き物に記そうとする姿。
(余談ですが:私が仏像に魅かれるようになったキッカケのお像でもある)。
多聞天(たもんてん)
四天王メンバーのうち、北方担当の多聞天。宝塔を掲げる姿が特徴的。
甲冑の模様や獅噛(しがみ)の立体感や造形もすごい。
増長天(ぞうちょうてん)&持国天(じこくてん) ※頭部のみ
本来、四人(仏)組の四天王、ほかの二人(仏)はどこ?
→増長天と持国天は頭部のみ。
残念ながら、何らかの事情で制作中断してしまったようです。
★大仏殿の仏像もっと詳しく:東大寺 大仏殿 - 大きな仏像たちに圧倒されっぱなし
大仏殿の外
賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)
大仏殿の外(外陣:げじん)にはびんずる尊者。
日本では「撫で仏」の通称のほうが有名かも。
摩耗した壮絶なお姿ですが、怖い方ではありませんのでご安心を。
法華堂(ほっけどう)
不空羂索観音菩薩(ふくうけんさくかんのんぼさつ)
法華堂のセンターをつとめるは不空羂索観音。
すべて救うための羂索(けんさく、けんじゃく)を持つのが特徴。
362cmもあります。
梵天(ぼんてん)&帝釈天(たいしゃくてん)
ご本尊の両脇に梵釈コンビ。
いずれも約4メートルの大きなお像。
お顔の着色の赤が残っているため、お堂内でも目立ちます。
一般的には、衣類の下に甲冑をつけているほうが「帝釈天」なのですが、東大寺法華堂は逆として伝わっているようです(一般に「梵天」とされる方が甲冑をつけている)。
金剛力士(阿形・吽形)
金剛力士、いわゆる仁王さまコンビがお堂内でも警備中。
阿形(口を開いているほう)は髪を逆立てひげをたくわえるワイルドスタイル(金剛力士としてこの姿は珍しいと思う)。
吽形(口を閉じているほう)は、武将系の四天王に近いお姿。
四天王(してんのう)
お堂の四隅を守るは四天王。
厚みのある大きな体に圧倒されます。
★法華堂の仏像についてもっと詳しく:東大寺 法華堂の仏像たち - オール国宝&3~4メートルの迫力あるお姿
【秘仏】執金剛神(しゅこんごうしん)※12/16のみ開扉
執金剛神とは、金剛力士が単独で祀られるときのお名前。
像高は170 cm程度、法華堂の他のお像に比べると小さめ。
秘仏のため、開扉日(12月16日)以外はお姿を拝見できません。
戒壇堂(かいだんどう)
四天王像(天平時代の傑作)
天平時代の傑作で、とても有名な塑像(そぞう:粘土などの土で造形)群。
表情が秀逸すぎます。
四月堂
普賢菩薩騎象像(ふげんぼさつきぞうぞう)
象に乗る普賢菩薩さんがみどころ。
単独で祀られている例は少ないので、「まさか有名どころの東大寺にいらっしゃったとは!」と個人的に驚きました。
詳しく:【仏像】東大寺 四月堂 - こんなところに普賢菩薩騎象像!
その他
ご本尊:十一面観音立像、阿弥陀如来立像、薬師如来立像、如来立像(※)
(※螺髪などから如来ということは分かったのですが、詳細把握しきれず。お寺の方に聞けばわかると思います)
行基堂
行基菩薩(ぎょうきぼさつ)
大仏造像の責任者、行基さんのお像。
格子戸のひと区画のみ空洞になっており(※日中)、そちらからお姿をうかがうことが可能です。
念仏堂(ねんぶつどう)
地蔵菩薩(じぞうぼさつ)
1237年、仏師・康清が造像したお地蔵さま。
日中はお堂の戸が少し開けられているので、内部は薄暗いですがお姿をうかがうことも可能です。
不動堂(ふどうどう)
五大明王
法華堂の東、ちょっと高台にあるお堂には五大明王が安置されています。
定期的に護摩供養が行われているので、すすを身にまとったお姿。
東大寺ミュージアム
有名なお像のみ抜粋。
千手観音&日光・月光菩薩
ふくよかな千手観音と脇侍の日光&月光菩薩。
日光&月光菩薩(※)は奈良時代の塑像。
(※)造形としては、一般的な梵天&帝釈天に該当するので、本来は梵天&帝釈天として造像されたのではないかという説があります。
誕生釈迦仏(たんじょうしゃかぶつ) 国宝
簡単にいうと「赤ちゃん時代のお釈迦さま」。
金銅製で、小さいですが国宝です。
★東大寺ミュージアムについてもっと詳しく:東大寺ミュージアム - ぽっちゃりぎみの千手観音と日光・月光菩薩
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特別公開時のみ拝観できるお堂&仏像
俊乗堂(しゅんじょうどう)※7月5日、12月16日のみ開扉
重源上人(ちょうげんしょうにん) [国宝]
※俊乗上人とも呼びます
重源上人(1121~1206)は、鎌倉期の東大寺復興に尽くしたお坊さん。
お像は最晩年の姿で、少し前かがみの姿勢や、顔や首のシワもリアルです。
快慶の作という説もあるようですが、詳細は不明だそう。
★もっと詳しく:東大寺 俊乗堂 - 国宝の重源上人像は厳しい表情ながらどこかホッとする
阿弥陀如来(あみだにょらい) 快慶作
俊乗堂には、重源上人が快慶につくらせた阿弥陀如来立像も安置されています。
すべすべのお肌や、いまにもたなびきそうな衣など、快慶の特徴が随所に表れているお像。
愛染明王(あいぜんみょうおう)
お堂の(向かって)左には、愛染明王坐像。
勧進所(かんじんしょ)※10月5日のみ公開
公慶上人(こうけいしょうにん)[公慶堂]
江戸期に東大寺を復興したのが公慶上人。
道半ばの58歳で亡くなった後、弟子の公盛と仏師性慶によって、つくられたのがこのお像。
ほぼ不眠不休、寝る時すら座って休んでいた働き者の公慶さんを忠実に表現しているそう。
強い意志を感じさせる表情ながら、口元にはほんのわずかな笑みを浮かべているようにも見え、「能力的にもお人柄的にも尊敬される方だったんだろうな」というのがうかがえて、私はとても好きなお像です。
僧形八幡神(そうぎょうはちまんしん) ※国宝・快慶作[八幡殿(はちまんでん)]
「僧形八幡」は、お坊さんの姿をした八幡様(神様)のこと(詳しく>>>僧形八幡とは?)。
一見、お坊さんの姿ではあるのですが、神様ならではの神々しさも感じるお像。
顔にシワが刻まれているので、壮年の年頃を表現しているのだと思いますが、それにしては表情があまりにもキリっとして肌は艶やか、そのあたりが人間を超越した感じを醸しているのかなと思います。
五劫思惟阿弥陀(ごこうしゆいあみだ)[阿弥陀堂]
ものすごく長い期間、髪も剃らずに考え事をしていたので、巨大なヘルメットのような大きな頭髪をしています。(詳しく→五劫思惟阿弥陀仏って?)
「静」のイメージで、表情も極めて穏やか、ものすごく落ち着いた気持ちになるお像。
★特別公開のようす:【仏像】東大寺 勧進所(10/5秘仏特別公開の様子)- 僧形八幡・公慶上人・五劫思惟阿弥陀像
開山堂(かいざんどう)※12月16日のみ開扉
良弁(ろうべん)僧正[国宝]
良弁さんは東大寺になる前の金鐘寺に住み、その後東大寺の創建に尽力したお坊さん。
良弁が亡くなってから数百年後の1019年、開山堂がつくられたときに、このお像も造られたといわれているそうですが、様式的には9世紀後半(850~900頃)という説もあるそうです。
実忠(じっちゅう)和尚
良弁さんのお厨子と背中合わせになるような感じで、弟子の実忠和尚のお厨子も開山堂内にあります。
★特別公開のようす:【仏像】東大寺 開山堂(12/16特別開扉の様子)- 良弁像もお堂も国宝
千手堂(せんじゅどう)※2024年現在非公開
戒壇堂修理期間に特別公開されていました(2024年現在は非公開)。
千手観音菩薩&四天王
鎌倉時代のお像(※)ながら、保存状態がよく、あまりの華麗さに驚きます。
嵯峨天皇からいただいたお像だそうです。
(※お厨子は、1998年の火災で損傷、現在の彩色画は復元)
鑑真(がんじん)和上
鑑真は東大寺の戒壇堂を開いた重要人物。
唐招提寺のお像を模刻した木彫です(江戸時代 仏師:戒壇院三達)。
唐招提寺のお像より少し若々しい印象ですが、お顔の写実性に驚きます。
愛染明王(あいぜんみょうおう)
詳細は不明、鎌倉~南北朝時代に造られたもよう。
お身体の着色は落ちてしまっており、全体的に灰色な印象でした。
肉付きがよく、表情がはつらつとしていて、眼の色が左右で異なる(確か緑と青だったか)のも印象的。
その他
・地蔵菩薩立像
(パンフレット等には詳しい記載がないのですが、千手観音と愛染明王像の間に地蔵菩薩が安置されていました。2022年時点)
絶対秘仏
二月堂
十一面観音(大観音&小観音) ※絶対秘仏
二月堂のご本尊は十一面観音さま。
大観音・小観音ともに絶対秘仏のためお姿は拝見できません。
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個人的おすすめ
こうして改めて並べてみると、仏像の充実ぶりに改めて驚かされる東大寺。
一日ですべてを巡るのは難しいので、定番(南大門や大仏殿)以外で、私が個人的におすすめしたいお像をピックアップしておきます。
・中門の兜跋毘沙門天
理由:足元のすました地天女とコミカルな鬼コンビのギャップがいい
・法華堂の仏像群たち - オール国宝&3~4メートルの迫力あるお姿
理由:各お像が3~4メートルで迫力あり、建物も仏像もぜんぶ国宝
・戒壇堂の四天王
理由:塑像ならではの秀逸すぎる表情
(特別公開日のみ)
・勧進所公慶堂の公慶上人像
理由:生前のお人柄がしのばれ、なんとなく前向きな気持ちになる
関連
・東大寺総合案内
ほぼすべてのお堂、正倉院についても紹介しています。
shishi-report-2.hatenablog.com
・興福寺も仏像すごいよ
shishi-report-2.hatenablog.com
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