虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)って?
虚空(こくう)とは、「広大な世界」のこと。
広大な世界に例えられるほどの、巨大な知恵と慈悲を持っているのが虚空蔵菩薩です。
とんでもない知恵と優しさなので、人々のさまざまな願いを叶えてくれるんですね。
また、虚空蔵菩薩を念じて強力な記憶力を得るという修行(求聞持法:ぐもんじほう)があるのですが、その修行を行うときのご本尊となります。
(空海さんも行っていたそうです。)
虚空蔵菩薩から記憶力を授かろう、ということで、受験生や資格勉強中の方にもおすすめの仏。
さらに、虚空蔵菩薩の知恵は、技能や芸術にも及ぶため、職人や芸術家の守り本尊という面もあります。
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虚空蔵菩薩の特徴
五仏のついた宝冠をつけている
(イメージ 奈良・額暗寺など)
右手に剣、左手に宝珠(知恵&慈悲)
虚空蔵菩薩の特徴である「知恵と慈悲」を持物で表しています。
剣は「知恵の象徴」。
文殊菩薩も持っていますね。
宝珠は、願望を叶える力のある珠。
如意輪観音なども持っていますよね。
求聞持法の本尊は宝珠を載せた蓮華をもつ
求聞持法という修行の本尊の場合は、宝珠を載せた蓮華を持ち、もう一方の手は「与願印」となります。
虚空蔵菩薩像の実例
求聞持法の本尊
奈良 額安寺(かくあんじ)(※奈良国立博物館に寄託)
頭に五仏の宝冠をかぶり、如意宝珠のある蓮華をもち、与願印を示しています。
求聞持法の本尊の特徴を網羅している仏像です。
現在は奈良国立博物館が管理しているそうです(※お寺に行っても観ることはできません)。
ご覧になりたい方は、奈良国立博物館の展示リスト(出陳一覧)を要チェックです(展示は定期的に変わるため、タイミングが合えば拝観できるかも)。
ほかの菩薩や観音とコンビを組む場合も
奈良 東大寺 大仏殿
虚空蔵菩薩は、ほかの菩薩をコンビを組んで、脇侍をつとめるケースもあります。
如意輪観音とともに、大仏(廬舎那仏)さんの脇侍をつとめているのが東大寺大仏殿。
持物は持たず、施無畏印(せむいいん)と与願印(よがんいん)を示しています。
お姿だけでは虚空蔵菩薩像とはわかりづらいかもしれません。
五体セットで祀られる例(五大虚空蔵菩薩像)
・五智如来が変化した姿
・虚空蔵の知恵が五つに開いた
として5体セットで祀る場合もあります。
華やかで見ごたえがあります。
京都 東寺 観智院
847年、僧侶の恵運が唐から持ち帰った仏像。
いろんな動物に乗っているところも興味深い。
shishi-report-2.hatenablog.com
京都 神護寺
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おわりに
一般的な虚空蔵菩薩像の特徴をおさらいすると、
・五仏のついた宝冠
・宝珠と剣をもつ
でした。
虚空蔵菩薩像は、仏像としての作例は少ない方かもしれません(仏像観賞していても、あまりお見かけしない気がする。仏画のほうが多いのかな)。
「虚空蔵菩薩といえば絶対コレ!」的な特徴が少ないので(東大寺の例のように持物を持たない場合もある)、「虚空蔵菩薩っぽいけど、ほかの特徴もあってよくわからん」例もあるようです。
その点、五大虚空蔵菩薩像は、分かりやすく、見ごたえもあるので、あまり仏像に詳しくない方にもおすすめかなと思います。
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参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)
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