奈良町資料館
どんなところ?
・自宅の一部を改装して始まった私設資料館
・仏像、民具、絵看板などを無料で見学できる
・散策中に立ち寄るのにちょうどいいボリューム感
・身代わり申の販売も
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見学レポート
現在の元興寺よりすこし南側に位置している(昔は元興寺の境内だったそう)奈良町資料館。
細い道を歩いていると出現。
軒下に下がっているのは「身代わり申」。
”庚申さん”こと青面金剛(しょうめんこんごう)のお使いのサルをかたどったお守りです。
つるんとした生地、丸いフォルムもかわいい。
資料館なのに、なぜ「吉祥堂」と掲げられているかというと、かつてならまちにあった服部堂(元興寺小塔院の吉祥堂と推察)の山門がここに再建(平成)されているわけなんですね(公式サイト参照)。
さて、注意事項を確認して、資料館にお邪魔します。
フラッシュはNGですが、撮影はOKなのも嬉しい。
入館
屋根の上に「見ざる言わざる聞かざる」たちが並んでいます。
壁を飾っているのは昔のいろんなお店の看板のよう。
仁王さまの間を通過して、いざ入館。
入ってすぐに迎えてくれるのは吉祥天さま。
(元興寺小塔院の吉祥天女像の再建、平成)
私設ということで、マップも手づくり感があってほっこり。
SDGsも学べるようになっているらしい。
さて、順路にしたがって見学。
絵看板
昔のお店の絵看板。
奈良の古いお店だと、現在もこんな感じの看板を下げているところがありますね。
こうして改めて見てみると、かわいいし、けっこう考えてつくられているし、興味深い。
目をひいたのはこちらの鬼さん。
「はらいたのくすり」と書いてあるから、薬屋さんの看板でしょうか。
怖い表情というよりは、ちょっと困っていそうに見えるのもなんかいい。
金魚なのでお魚屋さんか金魚関係かと思いきや、こちらも薬の看板であった。
看板に彫られた文字をよく見ると「小児解熱専門薬 丸神」とある。
こちらもお薬(緩下剤)の看板。
お腹を空にする→「空ス」→空の文字を分解してカタカナに「ウルユス」らしい。
(参考:江戸時代の不思議な名前の薬「ウルユス」 | はりきゅうWebミュージアム | 森ノ宮医療大学 鍼灸情報センター)
お薬以外にもお茶屋さん、筆屋さんの看板・日用品など。
巨大なお皿(庚申大皿)
「庚申待(こうしんまち)」という風習(人の体には三種の悪い虫がいて、庚申の日に悪事を帝釈天に告げ口しにいくとされるので、庚申の日は寝ずに宴会をして過ごすというイベント)があるのですが、その宴会のときに使う大皿。
100人前のお料理が盛り付けられたそう!
取り分けるのも大変そうだ。
仏像エリア
ガラスケース内におられるので撮影が難しかったですが、仏像も10体弱(くらいかな?)おられました。
年代など詳細は不明のお像もありましたが、模造とかではなくて、お寺などでずっと大事にされてきた感じのお像も多かったです(無料の資料館でこんな盛りだくさんってすごい)。
庚申室・青面金剛像
庚申室という小部屋のような場所に、青面金剛像が安置されています。
青面金剛の一番の特徴である青い顔・体。
パッと見、明王に似ているのですが、頭上にドクロを載せ、手に女性をぶら下げている(こわ!)ので、「まさに青面金剛」なお姿です。
金剛力士コンビがお守りしていました。
「とげぬき」の観音さん
資料館の出口を出ると、身代わり観音さま。
観音さまに触れると調子のよくないところがよくなるという、撫で仏的な存在。
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おわりに
ご自宅の一部を改装して始めたという私設資料館なので、規模は大きくないですが、庚申信仰や、かつてのならまちの姿をうかがい知ることができます。
一般の方にとっては数分でさらっと眺める感じかもしれないですが、私は庚申待や青面金剛像に興味があったので、「おおお、これが」という感じでけっこう満足でした。
外国の方にさらっと文化を紹介するのにもちょうどいい規模の感じかもしれません。
関連
・近くにある庚申堂も併せて見学
shishi-report-2.hatenablog.com