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【仏像の知識】兜跋(とばつ)毘沙門天とは? - 地から湧き出し兜跋国(中国の西域)を救ったお方

兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)とは?

兜跋毘沙門天像が印刷されたパネル

兜跋毘沙門天(奈良博の特別展パネルを撮影)

一般的な毘沙門天とは姿の異なる「兜跋毘沙門天」。
兜跋国(中国の西域にある国)がピンチに襲われそうになったとき、地から毘沙門天が湧きだし、この国を救ったといわれています。

とても特徴的なお姿なので、一目で兜跋毘沙門天とわかります。
詳しい特徴を見ていきましょう。

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兜跋毘沙門天の特徴

(一般的な毘沙門天と共通のこと)

・宝塔(釈迦のお骨を入れる容器)を持っている
・戟(げき)という武器を持っている

などは、一般的な毘沙門天と共通の事項です。
(参考>>>毘沙門天とは? - 財宝・福徳・戦いの神

 

孔雀の描かれた宝冠を被る

兜跋毘沙門天の頭部

孔雀つき宝冠

五角形の板を組み合わせたような、かくかくした宝冠を被っています。
さらに、宝冠には孔雀も描かれています。

金鎖甲(きんさこう)という鎧をまとっている

くさりで編んだ鎧(金鎖甲)を外套のようにまとっています。
この鎧は兜跋毘沙門天に特有のもの。

足元に地天女&尼藍婆・毘藍婆

(東大寺中門の兜跋毘沙門天の足元↓)

兜跋毘沙門天の足元

地天&尼藍婆・毘藍婆(東大寺中門)

 

地天女に支えられて地面から湧き出てきたときの様子を表しています。 

中央の地天女の横にいる二匹の邪鬼は、尼藍婆(にらんば)と毘藍婆(びらんば)。
元は悪い鬼でしたが、仏教で改心したそう。

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兜跋毘沙門天像の実例

京都 東寺(救王護国寺) 宝物館

展覧会「毘沙門天」のチケットを撮影した画像

東寺に伝わる像(展覧会「毘沙門天」のチケットを撮影)

唐から船でやってきた兜跋毘沙門天。
兜跋系の原典とも言われています。

平安京の羅生門の上に立ち、都を守っていました。

金鎖甲のくさりは、あまりに規則正しく彫られているのでびっくりします。
ずっと見ていると、エッシャーのだまし絵の中に引き込まれていくような、不思議な感覚になりました。

また、尼藍婆・毘藍婆の邪鬼コンビがアニメキャラみたいでとってもキュート! 

岩手 成島(なるしま)毘沙門堂

(お寺の公式サイトが見当たらなかったので、観光協会のリンクを貼ります)

兜跋毘沙門天立像 | 観る【花巻観光協会公式サイト】


日本最大級、4.73m(※)のお像。 

駅から遠いようなので、徒歩派には厳しいかもですが、お車の方はぜひ。

(※)本によっては3.59mとしてるものも。
おそらく台座を含めるかどうかの違いではないかと思います。

奈良 東大寺 中門

柵の奥に仏像が立っている画像

東大寺 中門

東大寺の大仏殿の手前にある中門のお像。
大仏殿へは左脇の入口から入るのが通例なので、中門のお像は見逃してしまう方が多いのでは、と思います。

地天女のすんとすましたお顔とか、邪鬼もいい味出していますので、東大寺に行かれる際はぜひ。

詳しくは

shishi-report-2.hatenablog.com

 

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おわりに

地天女に支えられて登場した兜跋毘沙門天。

一般的な毘沙門天に比べると作例は少ないですが、独特の像容が興味深いです。 

兜跋系の原典とも言われる東寺宝物館のお像は、基本の一尊としておすすめしたいです。

他の仏像をさがす

shishi-report-2.hatenablog.com

 >>>一覧はこちらから

参考文献

仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)

写真・図解 日本の仏像 この一冊ですべてがわかる!

イラストでわかる 日本の仏さま (文庫)

天の仏像のすべて (エイムック 2696)