毘沙門天(びしゃもんてん)とは?
四天王のうちの「多聞天」が単独で祀られるときのお名前が「毘沙門天」です。
四神でグループ活動もするし、ソロでも毘沙門天名義で活動する、というイメージでしょうか。
ちなみに、毘沙門天は「七福神」や「十二天」の一員でもあります。大活躍ですね。
毘沙門天の役割は基本的には多聞天と同じで、「北を守る守護神」。
これ以外にも、福徳や財宝を司る神・戦勝祈願の神という面も持っています。
なぜ福徳や財宝のご利益があるかというと、毘沙門天のルーツはヒンドゥー教における財宝・福徳の神だから(仏教が発展する過程で、ヒンドゥー教などの神々が取り入れられました)。
また、なぜ戦いの神とされるかというと、聖徳太子が戦勝祈願をしたのが毘沙門天だから。
仏像の作例も多く、様々なお寺でお会いできます。
詳しい特徴を見ていきましょう。
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毘沙門天の特徴
基本のスタイルは多聞天(四天王)と同じ
甲冑を身に着ける武将の姿。
足元には邪鬼を踏みつけるか、荒々しい岩場にたちます。
宝塔という、お釈迦様の骨を入れる容器を掲げています。
そう、これらは多聞天の場合と同じ(>>>四天王)。
(異形象として兜跋毘沙門天というお像もある)
一般的な毘沙門天とは異なる姿の、兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)というお像もあります。
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毘沙門天像の実例
毘沙門天がたくさんいるお堂
岩手 達谷窟毘沙門堂(たっこくのいわやびしゃもんどう)
毘沙門天は平安時代、東北地方で多く造られたそうです。
岩手の平泉にある達谷窟毘沙門堂は、坂上田村麻呂が108体の毘沙門天を祀ったのがはじまり。
現在も、20数体の毘沙門天たちが集まっているお堂です。
詳しくは>>>【岩手】達谷窟 毘沙門堂(たっこくのいわやびしゃもんどう) - 毘沙門天が集結している珍しいお堂
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立っている像(立像)
京都 鞍馬寺 毘沙門天ファミリー
平安京の鬼門(北)を守るために、鞍馬寺に祀られたお像です。
普通のお像とは違い、宝塔は持たずに遠くを見るようなポーズ。
都の番人として、悪者が入ってこないか監視していることを表現しているのですね。
なお、毘沙門天の奥さんは吉祥天、子は善膩童子、とする説もあるため、鞍馬寺では三人家族をひとまとまりで祀っています。
(鞍馬寺にて、ではなく、博物館での拝観の感想ですがご参考まで↓)
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静岡 願成就寺 運慶の作
上記は2017年「運慶展」のチラシ。
なんとなく人間味のある表情もいいし、身体をひねりつつも自然な動きに見えます。
足元には二匹の邪鬼いるのですが、この邪鬼も少しユニーク。
片方の邪鬼が、毘沙門天の持つ「戟(げき)」の下のほうを握りしめています。
せめてもの抵抗なのでしょうか。
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おわりに
戦いや財宝の神としても知られ、ファンの多い毘沙門天。
いろんなグループに加入していますので、整理しておきます。
・四天王(多聞天)
・七福神(毘沙門天)
・十二天(毘沙門天)
・単独で祀られるとき(毘沙門天)
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・かんたん解説つきバージョン
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・4階層(如来・菩薩・明王・天部)の解説
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参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)