五劫思惟阿弥陀仏(ごこうしゆいあみだぶつ)とは?
※五劫思惟阿弥陀如来と呼ぶこともあります。
阿弥陀如来は、如来になる前、法蔵菩薩として修行していたそうです(「無量寿経」というお経による)。
すべての生き物を救うべく、とてもとても長い間思惟(しゆい:考えること)した結果、ついに菩薩から阿弥陀如来に。
その瞬間のお姿をとらえたのが五劫思惟阿弥陀仏。
うず高く伸びた螺髪は、とても長い時間の難行を表現しています。
ちなみに「五劫」がどれくらい長いかというと……
「超巨大(約160 km立方)な石に、三年に一回天女が降りてきて衣でひと撫でし、その石が無くなるまでの時間(劫)」の5倍(!)。
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五劫思惟阿弥陀仏像の特徴
ボリュームたっぷりの螺髪
冒頭でも述べた通り、「アフロヘア」とも称される、大きな頭が特徴的。
大きなヘルメットをかぶっているようにも見えます。
穏やかな表情
瞑想中のため、目をほぼ閉じ(or 半眼)、口元もリラックスしています。
「静」を感じる表情で、拝見しているうちにこちらにも穏やかな心地がうつってきます。
五劫思惟阿弥陀仏像の実例
作例はかなり少なく、比較的奈良に集まっているようです。
奈良 五劫院(特別拝観時期以外は要予約)
重源上人(東大寺を復興させたお坊さん)が宋から持ち帰ったという説もあるお像。
衣服の中で阿弥陀定印を結んでいるのが特徴。
8月はじめの特別拝観期は予約なしでお参りできます。
詳しい参拝レポ>>>【奈良】五劫院 特別拝観 - 五劫思惟阿弥陀仏
奈良 東大寺 勧進所(10/5のみ開扉)
東大寺のお像も重源上人ゆかりのお像ですが、こちらは合掌スタイルのお像。
お顔はとても穏やかで心が安らぎます。
詳しい拝観レポ>>>【仏像】東大寺 勧進所(10/5秘仏特別公開の様子)- 僧形八幡・公慶上人・五劫思惟阿弥陀像
奈良 十輪院
十輪院は石仏龕が有名ですが、本堂の横というか側面というかの入口付近に五劫思惟阿弥陀仏が安置されています。
五劫院や東大寺勧進所のお像に比べると小ぶりですが、十輪院のお像は基本的にいつでも拝観できる(お寺のお休みなどを除く)ので、「とりあえず拝見してみたい」という方は十輪院がおすすめ。
詳しく>>>【奈良】◆十輪院【境内案内】- 小規模ながら本堂は国宝、珍しい構成の石仏龕も必見のお寺
和歌山 道成寺 念仏堂
念仏堂のご本尊が五劫思惟阿弥陀如来。
江戸時代のお像で、総高2.8メートル。
お寺のリーフレット(PDF)>>>http://www.dojoji.com/pdf/nokotu.pdf
公式サイト>>>道成寺 - 1300年の歩み
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おわりに
丸くて大きな頭髪ゆえ、なんとなくかわいらしい印象の五劫思惟阿弥陀仏像。
うず高き螺髪で菩薩から如来への変遷を表現しています。
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☆一覧で表示>>>仏像の種類一覧
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参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)
五劫院 参拝リーフレット(平岡定海師「東大寺辞典」参)