薬師如来(やくしにょらい)とは?
薬師如来は、仏教界のお医者さん的存在。
心身の健康や衣食住を見守ってくれます。
詳しい特徴を見ていきましょう。
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薬師如来像の特徴
螺髪(らほつ:巻いた髪)、肉髻(にっけい:知恵が発達して頭頂部が盛り上がっている)、質素な衣服などは釈迦如来と共通しています。
薬壺(やっこ)をもつこともある
(薬壺のイメージ↓)
薬師如来のみに特徴的なのは、薬壺(やっこ)を持っていること(※)。
あらゆる病を治してくれる薬が入っている壺です。
※ただし、薬壺を持つようになったのは平安時代以降で、それより古い時代のお像は薬壺を持っていません。途中で失われてしまったケースもあります。
ですので、薬壺を持っていない場合、釈迦如来との区別が難しいです。
お寺に伝承されてきた情報や、周囲に配置される他の仏像によって判断します。
サポート役は日光(にっこう)・月光(がっこう)菩薩
薬師如来をお医者さんにたとえると、日光菩薩が日勤の看護師さん、月光菩薩が夜勤の看護師さん。
心身の調子はいつ変化するかわからないので、24時間体制で私たちを見守ってくれているわけです。
詳しく>>>日光・月光菩薩とは? - 太陽と月の光の象徴、薬師如来のサポート役
眷属は十二神将(じゅうにしんしょう)
薬師如来の眷属(けんぞく:従者のこと)は十二神将。
眷属については、部下とかガードマンのイメージだとわかりやすいかなと思います。
薬師如来や、薬師如来を信じる人をまもってくれる12人(神)組です。
詳しく>>>十二神将とは? - 薬師如来に従う12の夜叉 - 仏像、ときどきワンダー観光
薬師如来像の例
①基本形
基本は穏やかな表情で座り、手に薬壺をもつ姿(古いお像は薬壺なし)。
薬壺を持たない場合は釈迦如来と区別がつきにくいですが、薬師如来のほうがふくよかに表現される傾向があるかなと感じます(あくまで私の印象ですが)。
①‐2 三尊形式
薬師如来の両脇に日光菩薩と月光菩薩を配して、三尊像で祀られる形式も多いです。
例:奈良 薬師寺
金銅製の仏像ですが、火災のときに表面の金がとけて、黒光りするお身体となっています。
大理石のような、つやつやとした質感に見えて、大変美しいです。
★詳しい拝観レポート>>>薬師寺 - 火災に耐えた美しき薬師三尊像・法話で落涙しかける
①‐3 十二神将に守られている形式
十二神将とともに祀られる形式もあります。
例:奈良 新薬師寺
十二神将にまもられる薬師如来といえば、奈良の新薬師寺。
「新」とつくので新しいのかと思いきや、古いお寺(747年)です。
ふくよかな薬師如来を囲む十二神将はお像でありながら全身から動きが感じられ、表情にも非常に迫力があります。
★拝観レポート>>>新薬師寺 - 十二神将に守られし薬師如来
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おわりに
昔は医学が発展しておらず、今以上に病気はおそろしいものだったと思います。
人々の、行き場のない不安を薬師如来は一身に受け止めてきたのですね。
医療が発達し、何かあればすぐに病院に行ける現代。
昔の人々の切なる願いが結実しているのだな、と思います。
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