毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)とは?
※廬舎那仏と呼ぶこともあります。
※「遮」は「舎」と書くこともあります。
毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)は仏教の真理という「概念」を形にした仏(法身仏:ほっしんぶつ)です。
広い知恵と深い慈悲で、太陽のように真理を照らしていることを表現しています。
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毘盧舎那仏の特徴
白毫(額の中央にある丸まった白い毛)、質素な衣服、肉髻(知恵が発達しすぎて盛り上がった頭)など、基本の形は釈迦如来と共通です。
台座や光背にたくさんの仏をつけることも
毘盧遮那如来は千枚の花びらの蓮華に座り、花びら一枚には百億の国が存在し、ひとつの国にひとりの釈迦が表れるという。人間が住む世界は毘盧遮那如来が照らす広大な世界のうちの小さな一国に過ぎないという。
『写真・図解 日本の仏像 この一冊ですべてがわかる!』P.40
毘盧遮那仏はとんでもなく多数の世界を含んでいて、各小世界それぞれに釈迦がいるといわれます。
それを表現するため、毘盧遮那仏の光背にたくさんの化仏がつけられることもあります(例:唐招提寺)。
壮大なスケール感
奈良の東大寺の大仏さんのように、巨大につくられることが多いです(だから造像例も少ない)。
毘盧遮那仏の実例
奈良 東大寺
とても有名ですね、「奈良の大仏さん」こと東大寺の盧舎那仏。
修学旅行で拝観したことがあるという方も多いかもしれません。
実物はとんでもない大きさでビックリします。
数は少なめですが、光背に化仏の姿も確認できます。
この大きさ&迫力であれば、「教えそのもの」を表している、と聞いてもなんとなく納得ですね。
なお、大仏さまの脇侍は、巨大な知恵をもつ虚空蔵菩薩と、願いを叶える如意輪観音。
大仏殿内は巨大なお像ばかりで圧倒されます。
詳しい拝観レポート>>>東大寺 大仏殿 - 大きな仏像たちに圧倒されっぱなし
奈良 唐招提寺
唐招提寺の金堂にも廬舎那仏さんがいらっしゃいます。
像高339.4cmですので、東大寺の廬舎那仏に比べるとコンパクトですが、光背をびっしりと埋めるたくさんの小さな仏が印象的です。
公式サイト>>>金堂 | 伽藍と名宝 | 唐招提寺
福岡 戒壇院
奈良時代、出家した方が正式なお坊さんとなるべく、戒律を授けるために設置された道場の一つ。
ご本尊が毘盧遮那仏(12世紀半ばの作)です。
脇侍は文殊・弥勒菩薩がつとめています。
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おわりに
真理そのものを具現化した毘盧遮那仏。
その大きさから、「鎌倉の大仏」vs「奈良の大仏」と比べられることがありますが、「鎌倉の大仏」は阿弥陀如来(→阿弥陀如来とは? - 念仏を唱えた者を極楽浄土に導く仏 )で、「奈良の大仏」は毘盧舎那仏で、実は役割の異なる仏像なんですね。
違いがわかってくると、拝観・仏像観賞がどんどん楽しくなります。
参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)