仏像、ときどきワンダー観光

おもに仏像のこと。不思議スポットやふつうの観光の話もたまにします

【奈良】五劫院 特別拝観 - うず高き螺髪で菩薩から如来になる瞬間を表現「五劫思惟阿弥陀仏」像

五劫院(ごこういん)

五劫院

どんなお寺?

・東大寺の北側にあるお寺
・ご本尊は髪伸びまくりの五劫思惟阿弥陀仏(ごこうしゅいあみだぶつ)像
・特別拝観期(8月はじめ頃)は予約なしで拝観できる

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お寺までの道のり

JR奈良駅西口のバス停より「青山住宅」行きか「州見台」行きに乗車。
「今在家(いまざいけ)」バス停で降りました。

バスの進行方向と逆に少しだけ戻り、この道を進んでいきます。

この道をひたすらまっすぐ

直進

着きました。

到着

拝観レポート

本堂

広くはありませんが整えられた境内です。

本堂

現在のお堂は江戸初期に再建されたもの。

早速お堂内にお邪魔します(※8月はじめの特別拝観期間は予約なしで拝観できますが、それ以外は予約が必要です)。

お堂正面におられるは五劫思惟阿弥陀仏。

五劫思惟阿弥陀仏(参拝リーフレットを撮影)

観光ガイドブックなどで「アフロヘア」と称されるほど頭髪がボリューミー。
大きなヘルメットを被っているようにも見えますね。
頭が大きいのでこけしっぽい印象もある。

どうしてこんな髪型をしているかというと、「五劫」というとんでもなく長い時間を思惟(しゆい:考え事)を続けてこられたから。

ちなみに「五劫」がどれくらい長いかというと、

劫とは四十里立法の大盤石に天女が三年に一度舞い降り、羽衣で一摩(な)でし、盤石が無くなるまでの人智では計り知れない永い時間「落語『寿限無』にある五劫の擦り切れ」

五劫院本堂でいただいた参拝リーフレットより引用


簡単にいうと、「三年に一度、やわらかな布で巨大な石を撫でて、その巨石が無くなるまでの時間」が「劫」なので、その5倍が「五劫」ということですね。
長い、いや、永い。ほぼ永遠。

それくらいの長い時間考え事や修行をしていれば髪が伸びまくるのも当然。
うず高き螺髪を頭にかぶせることで、菩薩から阿弥陀仏になる瞬間のお姿を表現しています。

拝観時、印相がよく見えないなあ、と思っていたのですが、なんと衣服の中で阿弥陀定印を結んでいるそう(拝観リーフレットより)。

ちなみに、五劫思惟阿弥陀仏像は東大寺の勧進所のほうにも安置されているのですが(→【仏像】東大寺 勧進所(10/5秘仏特別公開の様子)- 僧形八幡・公慶上人・五劫思惟阿弥陀像 )、そちらのお像は合掌しています。

お顔もややぽっちゃりしていて、丸みのあるヘアスタイル、なんだかどんどんかわいらしく見えてきて心が安らぎました。

本堂を抜ける風が金色に光る華鬘(けまん:天井から下がっている飾り)をかすかに揺らしてとても美しく、ぼーっとなってしまいました。

境内その他

見返り地蔵を見忘れる

五劫院は阿弥陀さまが有名ですが、「見返り地蔵(朝日地蔵)」という石仏も有名だそうで。
が、墓地のほうに安置されていることもあり、うっかりお参りするのを忘れてしまいました……(本堂内にある板絵の見返り地蔵尊は拝見したので、まあよしとしよう)。

これから五劫院に参拝される方はお忘れなく。

鐘楼など

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時間・料金など

・通常は要予約
・8月はじめの特別拝観期は予約なしで拝観可能
・料金:志納(納めたい分をお賽銭箱に入れるシステム)

・アクセス
○「今在家」バス停より徒歩5分程度
○東大寺大仏殿からも歩いて行くことができます。
(※現在境内工事中の箇所があり、この経路よりも少し迂回します)

 

周辺の施設情報

・般若寺
慶派仏師による文殊菩薩騎獅像がすばらしいです。秋はコスモスも。

shishi-report-2.hatenablog.com


・旧奈良監獄(ホテルに改修中)
建築物に興味のある方にはとてもおすすめ。
改修に伴い、見学会は終了したようですが、旅行会社のバスツアー参加などでまだ観られるようです(たとえばクラブツーリズム (近畿日本ツーリストグループ)など)。

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・東大寺

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