興福寺 五重塔 特別公開
奈良のランドマーク的建物といっても過言ではない、興福寺の五重塔。
現在の五重塔は1426年頃に再建されたもの。
高さは日本で第二位ということもあって、かなり迫力があります。
令和4年から、およそ10年(!)かけて令和の大修理が行われるということで、修理前に特別開扉されました。
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五重塔 参拝レポート
新型コロナウイルス流行の影響で、一時延期になったものの、無事開催されてよかったです。
まずは券売所で拝観券を購入(食券のように券売機で購入。それだけ参拝者が多いのでしょうね)。
普段は内部非公開のためわりとひっそりしている五重塔ですが、特別開扉期間はテントが出ています。
テントのところで拝観券を見せると、参拝記念のリーフレットと護符がいただけました。
さて、五重塔内に入っていきます。
興福寺ファンの私、五重塔は幾度となく眺めてきましたが、入るのはこれが初。
仏像
五重塔の初層には、全12体の仏像が安置されています。
西側の入口から上がり、ぐるっと時計回りに回って南側の出口から出る順路でしたので、その順に紹介します。写真は参拝リーフレット(を撮影したもの)を引用します。
西方:阿弥陀如来坐像
(脇侍:観音菩薩坐像・勢至菩薩坐像)
北方:弥勒如来坐像
(脇侍:法苑林菩薩坐像・大妙相菩薩坐像)
東方:薬師如来坐像
(脇侍:日光菩薩・月光菩薩)
南方:釈迦如来坐像
(脇侍:文殊菩薩坐像・普賢菩薩坐像)
「釈迦・阿弥陀・弥勒・薬師」という組み合わせは、奈良時代によく知られていた顕教(密教以前)の四仏。
現在の五重塔の再建に合わせて造られたお像です(~1462)。椿井仏所の仏師(当時の奈良で活躍)が作り、芝座・松南座・京終座の絵師たちにより彩色を施されました。
仏像の感想
お像を観ていて印象に残ったというか、不思議だなと思ったのは、「人目に晒されてこなかったことがなんとなくわかる」ということ。
決してホコリをかぶっているとか、放置されているとかでは全くないのですが、醸し出す雰囲気が素朴というのでしょうか。
たとえば同じ興福寺の東金堂の仏像など、常に公開されている仏像は、やはりマメにお手入れが入るからなのか、「見られ慣れている」ような感じがするんですよね。
堂々として見えるというか。
芸能人などでも、人前に出るうちにどんどん磨かれていく的な現象がありますが、あれに近いイメージです。
まあ、ありていに言ってしまうと、人の手が入る/入らないということなのかな。
(たとえ秘仏でも、年一回くらい公開されていると、また少し違う雰囲気な気がするのですよね。)
(良い悪いではなくて)日常というか、時間の積み重ねというのは現れるものなんだな、と思いました。
仏像でさえそうなのだから、生き物である私たち人間はなおさら。
年齢を重ねると、それまでの生きざまが表情や雰囲気に表れてくるのも納得。
となると、優しくおおらかな気持ちで日々を過ごしたいと思ったのでした。
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おわりに
初めて奈良を訪れたときから、幾度となく見上げてきた五重塔。
猿沢池ごしに観る五重塔もとても美しく、とても励まされてきました。
修理中はおそらくシートに覆われた状態になるので、姿が見えないのは非常にさみしいような気もします。
ですが、過去にも先人たちが修理を重ねてきてくれたからこそ、今こうして感動できるわけですから、未来に向けて大事なことですね。