十一面観音(じゅういちめんかんのん)とは?
33もの姿に変身できる観音さま。
その変身したお姿(変化観音=へんげかんのん)の一つが、十一面観音です。
名の通り、頭上に11のお顔を持っています。
とても特徴的なので、初めて拝観するとそのインパクトに「おおっ」となりますね。
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十一面観音の特徴
11面の内訳は次のようになっています。
・前3面
(菩薩面:慈悲の表情)
・左3面
(憤怒面:怒りの表情)
・右3面
(狗牙上出面:歯を見せてほほ笑む)
・後ろ1面
(大笑面:大爆笑している)
・頭上
(仏面)
(※本面を合わせて11面の場合もあります)
注目は、後頭部に位置する大爆笑のお顔でしょうか。
悪行を笑い飛ばして善行に導きます。
十一面のお顔を戴いている以外は、観音像の基本形と同じです。
腕は四本の場合もあるようですが、二本のケースが多いように思います。
十一面観音像の実例
立っている像(立像)
奈良 法華寺(ほっけじ)
かなり有名なので、写真等でご覧になった方も多いかもしれません。
国宝で、通常は非公開ですが、分身像はいつでも拝観できます。
蓮華のつぼみや葉っぱで構成される光背が特徴的。
拝観レポート>>>法華寺 - 十一面観音はもちろん、維摩居士像(国宝)や横笛像も見逃せない
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奈良 海龍王寺(かいりゅうおうじ)
法華寺の近くにある海龍王寺も、十一面観音立像が有名です。
十一面すべてを拝観できるのは、特別公開時期のみですが、普段も戸帳ごしに拝観できます。
長らく秘仏だったため、保存状態がよく、お肌がほんのり発光しているように見えるほど。
美しい、のひとことです。
詳しい拝観レポート>>>海龍王寺 - 派手さはないが奈良時代からの空間を感じられる
奈良 西大寺(さいだいじ)
西大寺四王堂の十一面観音立像はなんと6メートル越えの大きさ。
そんなに大きいとは知らずに訪れたので、とてもビックリした思い出が。
呆然と見入ってしまいました。
拝観レポート>>>西大寺 四王堂 - 5メートル超の十一面観音に圧倒された
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奈良 大安寺(だいあんじ)
普段は秘仏ですので、特別公開時期に訪れるのがおすすめ。
がん封じのご利益で有名です。
拝観レポート>>>◆大安寺 - 彫像としては珍しい楊柳観音像(奈良時代)必見
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ここまで紹介した仏像の写真は、下記サイトで見ることができます(すごい豪華)。
座っている像(坐像)
坐像は作例が少ないようです。
滋賀県 櫟野寺(らくやじ)
普段は秘仏だそうですが、私は東京国立博物館にて2016年に開催された『平安の秘仏 櫟野寺の大観音とみほとけたち』という展示で、十一面観音坐像を拝観しました。
日ごろ秘仏だからでしょうか、金がきれいに残っていて、光っていました。
5メートル近くあって(お体は3メートルくらい)、迫力もありましたね。
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おわりに
十一面観音の11のお顔は、造形が細かいことが多いです。
美術館や博物館で拝観できる機会であれば、オペラグラスを持参するとよいです。
(美術館等では、彫刻として、芸術面にもフォーカスしているので、オペラグラス等を使用しても大丈夫だと思います。
一方、お寺の場合は、「仏さま」ですので、失礼にあたるケースもあるかもしれないと考え、私は一応控えることにしています。
お寺の方に確認してみてもよいかもしれませんね)
参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)