仏像、ときどきワンダー観光

おもに仏像のこと。不思議スポットやふつうの観光の話もたまにします

【仏像の知識】慈恵大師(良源) - 厄除け大師・おみくじの創始者ともされる平安時代のお坊さん

慈恵大師(元三大師・厄除け大師・良源)

慈恵大師坐像を正面から撮影した画像

慈恵大師良源(東京国立博物館にて撮影)


良源(りょうげん)は、平安時代に活躍した天台宗のお坊さん。
亡くなった後のお名前が「慈恵大師(じえだいし)」です。
お正月の三が日に亡くなられたので「元三大師(がんざんたいし)」と呼ばれることもあります。
中世以降は「厄よけ大師」として民間で信仰されるようにもなりました。

また、鬼の姿で疫病神を追い払ったという伝説から、お札にはツノを持った夜叉が描かれるため「角大師」と呼ばれることも。

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(Amazonより : 良源 慈恵大師 元三大師と角大師 A4 ポスター 


さらに魔除けに関連して、「33の姿に化けて魔を滅する→魔滅大師→豆大師」とも。

「良源」「慈恵大師」「元三大師」「厄除け大師」「角大師」「豆大師」と呼び方がたくさんあるので、ちょっとややこしいですね。

比叡山延暦寺を発展させ、おみくじの原型をつくったともされています。

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慈恵大師像の特徴

吊り目の厳しい表情

慈恵大師像の目元(東京国立博物館にて撮影)

あえて誇張して表現されている可能性もありますが、なかなか厳しい目元です。

数珠と独鈷杵(とこしょ・どっこしょ)をもつ

数珠と独鈷杵(とこしょ・どっこしょ)

お坊さんの定番アイテムの数珠は、お経の回数を数えるための法具。
独鈷杵(とこしょ・どっこしょ)は内面の諸悪を打ち払う武器です。

厳しい表情+独鈷杵という組み合わせから、不動明王の姿に重ねて表現しているという説もあります。

慈恵大師像の実例

如来や菩薩といったいわゆる「ほとけさま」に比べると、高僧像は例が少ないのが一般的ですが、慈恵大師像はなんと35体(うち重要文化財11体)も知られています。
天台宗系の寺院に多いようです。

滋賀 延暦寺 国宝殿

まずは延暦寺から。
彫像は国宝殿にお祀りされているようです(1256年のお像・重要文化財)。

国宝殿 | 境内案内 | 天台宗総本山 比叡山延暦寺 [Hieizan Enryakuji]


また、ご本尊がお像ではなく仏画となりますが、有名なのは四季講堂(元三大師堂)。良源が住んでいた跡地で、「おみくじ発祥の地」となっています。

横川(よかわ) | 境内案内 | 天台宗総本山 比叡山延暦寺 [Hieizan Enryakuji]

 

東京国立博物館(滋賀・金剛輪寺のお像)

本記事冒頭にも載せた写真のお像で、現在は東京国立博物館が管理しています。

慈恵大師坐像(東京国立博物館にて撮影)

展示は定期的に入れ替わるため、常にお会いできるわけではないので、展示リスト東京国立博物館 - トーハク→展示・催し物→総合文化展一覧→日本美術(本館)→彫刻作品リスト)をご確認の上、おでかけください。

トーハクは撮影可能な作品もあるので、仏像好きにはたまらない場所です。

shishi-report-2.hatenablog.com

 

東京 深大寺(※秘仏・50年に一度)

2メートルという、お坊さん像にしては規格外の大きさ、お顔のインパクトの強さに驚いてピックアップしました。

深大寺サイト>>>元三大師について

50年に一度の開扉らしく、拝見するのは困難かもしれませんが、ごくまれに仏像展に出陳されることもあるようなので、それを楽しみにしたいと思います。

といっても2021年にトーハクにお出ましになったばかりなので……最長だと50年後……に健康で旅行できるレベルとなると、私の年齢だとちょっとギリギリ厳しいかもなあ。

人にしろ、仏像にしろ、お会いできるうちにお会いしておこうと思いました。

(参考)良源ゆかりのお寺

お像は拝見できませんでしたが、佐野厄除け大師も有名です。

shishi-report-2.hatenablog.com

 

おわりに

参考文献・サイト

良源 - Wikipedia

【マイナビ文庫】幸せへと導く仏様事典: あなたに救いをもたらす66尊の仏天たち