仏像、ときどきワンダー観光

おもに仏像のこと。お寺、神社の参拝記録。たまに不思議スポットの話もします

【仏像の知識】千手観音とは? - 千の手ですべての生き物を救う慈悲者

千手観音(せんじゅかんのん)とは?

正式名称は「千手千眼自在菩薩(せんじゅせんげんじざいぼさつ)」。

千手観音とその持ち物にキャプションをつけた画像

千手観音(東大寺ミュージアムの看板を撮影。各持ちもののキャプションは当記事執筆者が追加しました)

その名の通り、千の手を持っているお方。
また、千の手には、それぞれ眼がついています。

(イメージ図)

f:id:shishi-report:20200530193104p:plain

つまり、千の眼で見守り、千の手で救済してくれる仏です。

広告- - - - - - - - - -

 




千手観音の特徴

手&持物がたくさん!

たくさんの手にさまざまなアイテム(紀三井寺・仏殿の大千手十一面観音像より)

千の手をお持ちですが、仏像として表現される場合は、手は42本であることが多いです(25の世界を救う脇手が40本+通常の手2本で合計42本)。

作例は少ないですが、千本(に近い数)の手を持つ仏像もあります。

手が多い分、持物(じもつ)もたくさん持っています。
一つ一つのアイテムを眺めるだけでもずいぶんと時間が経ってしまいますね。

(各持ちものについて、詳しく知りたい方は>>>千手観音の持ちもの一覧 

shishi-report-2.hatenablog.com

 

お顔は十一面

十一のお顔(紀三井寺・仏殿)

 

十一面観音と同様、頭上に11のお顔(※)を頂いていることがほとんどです。
(※正面のお顔を合わせて11の場合もあります)

眷属は二十八部衆

眷属(部下)は二十八部衆。
阿修羅など、28のガードマン(仏教の守護神)たちを従えているケースもあります。

参考:二十八部衆とは? - 千手観音をサポートする28の神々

shishi-report-2.hatenablog.com

千手観音像の実例

立像(立っている仏像)

京都 東寺 宝物館

東寺の宝物館にいらっしゃる千手観音像。
昭和の火災で一部が焼けてしまいましたが、元は手が千本あったのだとか。
像高は6メートル近くあって、迫力もあります。

拝観レポート>>>東寺 宝物館 - 火災から復活した千手観音立像

shishi-report-2.hatenablog.com

 

奈良 東大寺ミュージアム

東大寺境内にある、東大寺ミュージアムの千手観音像は、ややふくよかなお方(本記事冒頭の画像)。
どことなく安心感を与えてくれるお像です。

shishi-report-2.hatenablog.com

 

奈良 興福寺 国宝館

近鉄奈良駅から徒歩数分で行ける興福寺。
国宝レベルの仏像がたくさんおられ、仏像好きには外せないお寺です。

国宝館の千手観音像もなかなかの迫力です。

公式サイト>>>木造千手観音菩薩立像(せんじゅかんのんぼさつりゅうぞう) - 法相宗大本山 興福寺

 

奈良 唐招提寺

唐招提寺の千手観音もすごかった。
しばらく動けなくなりました。
腕は合計953本!

公式サイト>>>金堂 | 伽藍と名宝 | 唐招提寺

和歌山 紀三井寺 仏殿

紀三井寺 仏殿

2008年造立のあたらしいお像ですが、木造立像としては国内最大の大きさ。

詳しく>>>【和歌山】◆紀三井寺 - 境内から海を眺める/ご本尊は耐えうる試練で心を磨くことを教えてくれる十一面観音さま

坐像(座っている仏像)

坐像は比較的少ないようですが、葛井寺のお像がとても有名です。

大阪 葛井寺(ふじいでら)

f:id:shishi-report:20210705112536j:plain

葛井寺の千手観音坐像(トーハク特別展チラシを撮影)

千手観音といえば葛井寺!といってもよいでしょうか。
通常は秘仏で開扉日のみ拝観できるようです。

公式サイト>>>西国第5番紫雲山葛井寺〜国宝千手観音の寺〜 | 日本最初の千手観音

 

私は東京国立博物館にて開催された「仁和寺と御室派のみほとけ」にて拝観しました。
博物館ゆえ、比較的明るい照明のもと、背中側からも拝観でき、ほんとうに素晴らしかった。

手が1041本もあるのに、ごちゃつかず、けれども迫力はある(実際の像高は1メートル弱なのに、3~4メートルくらいあるように感じました)。

しかも、手の表情というか、表現が一本一本にあるんです。
「ほんとにすごかった」としか言いようがないです。

特別展で拝観したときの記録>>>【東京国立博物館】仁和寺展② - 1041本の手を持つ、葛井寺の千手観音

shishi-report-2.hatenablog.com

二十八部衆とともに祀られるケース

京都 仁和寺 観音堂

お寺ではなく、博物館にて拝見したのですが、28部衆がすばらしかった。
一体一体じっくり観れてとてもよかったです。

shishi-report-2.hatenablog.com

 

 

広告- - - - - - - - - -

 




おわりに

千手観音の特徴を見ていくと、「ご利益全部詰め込んだ!」的なお姿ともいえそうですね。

仏像としてのパワー(すべてを救う存在)も、見ごたえも満点です。
荘厳で、インパクトも強いので、「仏像のことはまだよく知らない」という方に、仏像観賞の第一歩としておすすめかと思います。

ほかの仏像をさがす

一覧からさがす>>>仏像の種類一覧

 

shishi-report-2.hatenablog.com

 

参考文献

仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)

写真・図解 日本の仏像 この一冊ですべてがわかる!