摩利支天(まりしてん)とは?
たとえば夏の暑い日、アスファルトが熱されて地面の上がゆらゆらとゆがんでみえたりする陽炎(かげろう)。
この、捉えようのない陽炎を神格化した存在が「摩利支天(まりしてん)」です。
陽炎ゆえ神出鬼没で不死身、捕えられることも傷つけられることもないので、日本では武士や忍者から信仰を集めました。
詳しい特徴を見ていきましょう。
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摩利支天像の特徴
いろんな姿がある
日本では10数種類の摩利支天像があるといわれ、お顔や手の数、色、衣服、など実にさまざまな。
基本的には「女神」なのですが、男性の姿のお像もあります(例:徳大寺)。
陽炎のように、「一定しない」「捉えどころのない」のが特徴でもあるわけですね。
イノシシに乗ることが多い
大きなイノシシに乗っている場合もあれば、イノシシがぎゅうぎゅうと集まった台座に乗っている場合も。
摩利支天像の実例(日本三大摩利支天)
東京 徳大寺(とくだいじ)
男性の姿をした摩利支天像。
亥の日に赴いたのですが、(扉は開いているものの)お厨子がかかっていて、お姿を見ることはできませんでした。
ルーツは陽炎ですから、お姿を拝見できないのもまた、摩利支天さまらしいと思います。
公式サイト>>>摩利支天 徳大寺 東京 上野広小路 アメ横
京都 建仁寺 禅居庵(ぜんきょあん)
建仁寺の塔頭(大きなお寺に寄り添って建てられた小院)、「禅居庵」には摩利支天堂があります。
こちらも秘仏なのでお姿は見られないのですが、境内のあちこちに摩利支天の眷属であるイノシシ(狛亥)がいて、とてもかわいいです。
拝観レポート>>>建仁寺塔頭 禅居庵 摩利支天堂 - ころんとしたフォルムがたまらない6体のイノシシ(狛亥)
shishi-report-2.hatenablog.com
公式サイト>>>臨済宗建仁寺塔頭 禅居庵
石川 宝泉寺
前田利家が兜の中に忍ばせていたという摩利支天像をお祀りしているお寺。
「勝負所で見えない功徳」をもたらすとされています。
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おわりに
陽炎ゆえ、なかなかお姿をとらえることが難しい摩利支天像。
お像を公開しているお寺も少ないように思いますが、博物館・美術館の仏像展ではお出ましになることもあります。
また、亥年には、特別公開されることもある(例:小田原城天守2019年)ので、そういったチャンスがあれば逃さないようにしたいと思います。
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☆ 仏像の種類一覧
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参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)