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【仏像の知識】伝教大師像(最澄) - 研究熱心で天台宗の基礎をつくる

最澄(伝教大師)

最澄と天台宗のこころ: 伝教大師1200年大遠忌記念 (295;295) (別冊太陽 日本のこころ 295)


最澄は、天台宗を開いた平安時代のお坊さん(亡くなった後におくられた名が「伝教大師」)。
近江(滋賀県)の出身で、12歳で出家、留学僧として唐にも渡っています。

奈良時代の仏教(貴族向け)に疑問を持ち、さまざまな経典を研究、庶民のための仏教を築きました。

空海とは親しかったものの、のちに絶交。
(最澄が空海のところに何度も密教の経典を借りに行って、やがて空海に「仏の教えは書物に宿るものではない」と愛想をつかされてしまったという説もあります)

法相宗の徳一とも激しい論争を起こしていますので、研究者気質だったのかもしれません。

詳しい特徴を見ていきましょう。

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伝教大師(最澄)像の特徴

頭巾をかぶって、座った姿で表現されることが多いです。

伝教大師(最澄)像の実例

滋賀 観音寺

坐像としては日本最古(1224年)とされる伝教大師のお像。
頭巾をかぶって座る姿で、像高は65cm。
鎌倉時代、長尾寺(伊吹山四大寺)のお坊さんが彫ったとされます(お像内の銘文より)。

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(仏画)兵庫 一条寺

お像ではなく肖像画ですが、教科書にも載っているので見覚えある方も多いかも。
(※現在は、博物館に寄託されています)

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(参考)滋賀 高野神社(たかのじんじゃ)境内の大師堂

伝教大師と伝わるお像ですが、学術的には良源というお坊さんの肖像と考えられています。

(長浜市の広報より)https://www.city.nagahama.lg.jp/cmsfiles/contents/0000000/456/n270901-11.pdf

 

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おわりに

最澄の有名なお像は、ほぼ滋賀の観音寺のみという感じのようでした。
空海のほうがお像や肖像が多い印象ですね。

歴史の授業では「最澄&空海」としてセットで習ったような気がするので、少し意外な気もしました(それだけ密教のほうが世に広まったということかもしれません)。

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参考文献

仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)

写真・図解 日本の仏像 この一冊ですべてがわかる!

イラストでわかる 日本の仏さま (文庫)

【マイナビ文庫】幸せへと導く仏様事典