大元帥明王(たいげんすいみょうおう)とは?
※「大」は「太」と表記する場合もあります。
※ 真言密教では「たいげんみょうおう」と読みます。
大元帥明王は、国を守り、外敵を退散させる力を持つ仏です。
もとは、インドの薬叉神(人を食らう鬼神)だったのですが、仏教で改心し、国を守る明王となったのだそう。
平安時代、空海の弟子・常暁(じょうぎょう)によって日本に持ち込まれました。
それ以来朝廷では、国家を守り、外敵を退散させるための祈祷「大元帥法(たいげんのほう)」が毎年行われていたそうです(明治初期まで!)。
詳しい特徴を見ていきましょう。
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大元帥明王像の特徴
(Amazonより:楠 大元帥明王 60cm 木彫り 仏像)
明王のなかでもっとも恐ろしい姿
明王といえば、忿怒の表情や迫力ある容姿をしています(孔雀明王以外)。
そんな怖い仏集団の中でも、「もっとも恐ろしい姿」とされるのが大元帥明王。
具体的には(お像によって多少異なりますが)、ヘビを巻き付けていたり、ドクロの首飾りを下げていたります。
大怒印(だいどいん)という印相を結ぶ
右手は人差し指と小指を立てて、こぶしをつくる「大怒印」が多いようです(※)。
名前からしてすごいですよね、「大きく怒る印相」ですもの。
(※)秋篠寺のお像は左手で人差し指を立てています。
仏画・彫像ともほとんどない
鎮護国家のための祈祷(大元帥法)は秘密の行事だったため、仏画・仏像ともほとんどないようです。
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大元帥明王の実例
奈良 秋篠寺
大元帥明王像といえば秋篠寺。
鎌倉時代の一面六臂(お顔が一つ、手が六本)のお像。
毎年6月6日のみ、開扉となります。
(拝観レポート>>>【仏像】秋篠寺 大元堂 - 恐ろしい姿でありながらどこか親しみも覚えてしまう大元帥明王像 )
shishi-report-2.hatenablog.com
富山 慈光院
4メートルもある大元帥明王。
10月17日の火渡り法要の日に開扉されます。
おわりに
仏像の例が極めて少なく、また開扉日も限られているため、めったに拝見できない大元帥明王。
恐ろしい姿ながら、どこか勇気づけられた気にもなる、不思議な存在だと感じています。
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参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)
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