閻魔天(えんまてん)とは?
「エンマさま」としておなじみの、閻魔天(閻魔王と呼ぶことのほうが多い気がするので、以下「閻魔王」とします)。
地獄の世界で死者たちを裁く、冥府の裁判長です。
ルーツは死者の国を支配する「ヤマ」というインド神。中国の道教と結びついて閻魔王となりました。
閻魔王の正体は地蔵菩薩とする考え方もあり、閻魔さまの近くにお地蔵さまが配置されるケースもよくあります↓。
詳しい特徴を見ていきましょう。
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閻魔王像の特徴
日本の閻魔王像は、中国の影響を受けたお姿です。
(Amazonより海宇工芸(kaiu art)小仏 【閻魔大王】 柘植 金泥仕様 総高7.6cm 木彫仏像)
中国の高級官僚の姿
中国の高級官僚が着るような衣服をまとい、巨大な帽子をかぶっています。
笏(しゃく)、鏡や閻魔帳などを持つ
日本のお像では、右手に笏、左手に浄玻璃の鏡(生前の悪行を映し出す)や閻魔帳を持ちます。
従者も一緒に祀られることが多い
閻魔さまのサポート役
司命(しみょう):死者の罪状を読み上げる
司録(しろく):書き留める
俱生神(ぐしょうじん):人の肩に乗って善悪を記録し、死後に閻魔様に報告する
などと一緒に祀られることが多いです。
閻魔王像の実例
座っている像(坐像)が基本形となります。
閻魔王は十王(地獄裁判官メンバー)のひとつとして祀られることが多いのですが、ここでは、単独(+従者)で祀られている例を挙げていきます。
奈良 白毫寺(びゃくごうじ)
顔ごとこちらに飛んできそうな、ものすごい迫力の閻魔像。
閻魔さまと対をなす太山王は康円作と判明しています。
従者の司命・司録もとてもリアルな表情で、声が聞こえてきそう。
shishi-report-2.hatenablog.com
京都 千本えんま堂(引接寺:いんじょうじ)
公式ブログ>>>千本ゑんま堂 引接寺: 本尊閻魔法王
現在のお像は1448年に定勢によって再現されたもの。
口を大きく開けて舌が丸見えなのと、目のギラつき方がインパクト大。
京都 六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)
肩をいからせ、忿怒相を呈しつつも、どこかユーモラスな表情の閻魔さま。
公式サイトの写真>>>六波羅蜜寺の寺宝 - 補陀落山 六波羅蜜寺
(閻魔さまには触れていませんが、六波羅蜜寺の拝観記録)
shishi-report-2.hatenablog.com
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おわりに
エピソードとしての「えんま様」は子どもの頃から身近でしたが、意外と仏像を見る機会は少なかったように思います。
なので、お会いできるとなんだかうれしい。
体つきがどっしりとしていて、大きいお像が多いので迫力もあります。
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参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)