十二天(じゅうにてん)とは?
十二天は、仏教を守護する12の神(天)グループ。
東西南北の八方位+天・地+昼・夜というメンバー構成となっています。
座標を使って考えるとわかりやすくて、
八方位(=x,y軸)→二次元(平面)
ここに天・地を加える(=z軸)と→三次元空間
昼・夜(=時間軸)を加えると四次元になります。
つまり、あらゆる場所・時間において仏教を守護するわけですね。
仏像としてはほとんど例がなく、仏画として描かれます。
詳しい特徴を見ていきましょう。
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十二天メンバー
東:帝釈天(たいしゃくてん)
元は古代インドの天候の神で、仏教に取り入れられてからは仏法の守護神となりました。
守護担当エリアは東方。
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東南:火天(かてん)
火を神格化した存在。
仏教では、煩悩を焼き尽くす神でもあります。
東南方を守護。
南:焔(閻)魔天(えんまてん)
焔魔天は、いわゆる「えんまさま」の前身(”焔魔天”が中国の道教などの影響を受けて発展し、”えんまさま”になった)。
古代インドでは、地獄ははるか南方の果てにあると考えられていたそうで、焔魔天が南方担当なのはこれと関係しているのかもしれません。
(厳密にいえば、十二天における焔魔天は、冥府の裁判長の閻魔天(閻魔王)とは異なりますが、参考までに閻魔様の記事)
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西南:羅刹天(らせつてん)
羅刹天はヒンドゥー教うまれの鬼神。
仏教に取り入れられて守護神に。
なお、「羅刹」は鬼神の総称で、羅刹のトップが羅刹天となります。
羅刹天は毘沙門天の部下で、破滅と滅亡を司る力をもつとされています。
十二天として活動するときは、西南を守護しています。
ちなみに、羅刹には性別があり、男は醜く、女は美しいとされています。
仏像展で羅刹(男)のお像を観たことがあるのですが、足腰ガチムチのバッファローのような外見で、意外と愛嬌がありました。
西:水天(すいてん)
水を神格化した存在。
水のように知恵を与え潤し、煩悩を洗い流すとされています。
西方を守護します。
西北:風天(ふうてん)
風が吹き通ってゆく威力あるさまを神格化した存在。
仏教では、十種の風を掲げ、迷う者たちを導くとされます(新華厳経)。
北:毘沙門天(びしゃもんてん)
日本では、福徳・財宝・勝利の神として信仰される毘沙門天。
四天王のうちの「多聞天」と同一とされ、北方の守護を担当します。
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北東:伊舎那天(いざなてん・いしゃなてん)
伊舎那天は、ヒンドゥー教のシヴァ神(仏教でいうところの「大自在天」)が姿を変えた存在とされています。
北東エリアの守護を担当。
片方の手に戟という武器をもち、もう一方の手には、血を盛った盃(!)を持つおそろしい姿。6人(天)の部下も引き連れています。
北東(東北)はいわゆる「鬼門」(病や悪いことが潜む)なので、そういったものに対峙できる強さ(シヴァ神時代の凶暴さ)が必要ということのようです。
天:梵天(ぼんてん)
元は古代インドの創造神で、仏教に取り入れられてからは帝釈天とともに仏教の守護神となりました。
十二天のときは上方(天地の「天」)を守護します。
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地:地天(じてん)
古代インドでは大地の女神でした。
仏教に取り入れられてからもその性質を受け継ぎ、大地を神格化した存在となりました。
十二天としては下方(地)の守護を担当します。
日:日天(にってん)
太陽を神格化した存在。
仏教では、その光で煩悩の闇を照らすとされます。
昼間の時間帯を守護します。
月:月天(がってん)
月やその光を神格化した存在。
月の神秘的な光が人々の煩悩を取り除き慰めると考えられます。
夜間の時間帯の守護担当。
十二天像の実例
基本的には曼荼羅や仏画に描かれるもので、彫像はほとんどないようです。
お像としては無量寺の例が唯一?で、ほかには東寺に伝来したお面の例(7面を京都国立博物館が所蔵)にあります。
愛知 無量寺
がん封じのお寺として有名で、石窟寺院をモデルにした「千仏洞めぐり」もみどころ。
お寺の公式サイトがなく、十二天像を拝観できるかは詳細不明なのですが、立体曼荼羅の一部として制作されたのではとのこと(>>>十二天 - Wikipedia)。
観光サイト>>>無量寺(ガン封じ寺) | 【公式】愛知県の観光サイトAichi Now
京都国立博物館 (お面)
東寺に伝来した十二天のお面。
儀式のときにかぶって使用するものです。
十二天のうち7面を京都国立博物館が所蔵しています
東寺の宝蔵の火災のとき(1000年)に取り出されたものと推定されています。
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おわりに
仏像としてはほぼ存在しない十二天ですが、仏画や曼荼羅にはよく登場します。
これまで私はあまり仏画や曼荼羅をじっくり見たことがなかったので、これから注目していこうと思いました。
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