仏像、ときどきワンダー観光

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【仏像の知識】六観音とは? - 六道で苦しむ者を救済してくれる6種の観音菩薩たち

六観音(ろくかんのん)とは?

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六観音

 

6種の観音さまで構成されるグループ、六観音
六つの世界それぞれにおいて、苦しむ者を救ってくれる6人(仏)組です。
詳しく見ていきましょう。

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六道とは

六観音について理解するためには、まずは「六道」について知る必要があります。
少し詳しく解説します。

仏教では、「輪廻転生」という思想が基本になっていますね。
死んだあとも、別の生命に何度も生まれ変わる、という考え方です。

死後に生まれ変わる世界は6つあり、これを六道といいます。
六道にはどんな世界があるのでしょうか。

・天道
天部の神々(帝釈天など)が住んでいる。
苦しみのない世界。

・人道
我々が住んでいるこの世。

・修羅道
阿修羅が済む世界。
怒りや争いが絶えない。

・畜生道
人間以外の生物が住む世界。
弱肉強食。

・餓鬼道
飢えと渇きに苦しむ世界、

・地獄道
この世で罪を犯すと落とされる世界。

基本的に「菩薩」という位の仏は、この6つの世界をめぐって人々・生き物を救済してくれます。

六道それぞれに担当の観音さまがいる

真言系や天台系の宗派では、各世界にはそれぞれ担当の観音菩薩が存在する、という考え方をします。

学校でいえば、担任の先生、みたいな感じでしょうか。

天道:如意輪観音

如意輪観音とは? - 「意の如く」願いを叶えてくれる仏 

 

 

人道:准胝観音(真言系) or 不空羂索観音(天台系)

★真言宗系は准胝観音(じゅんていかんのん)

 

★天台宗系は不空羂索観音

shishi-report-2.hatenablog.com


修羅道:十一面観音

十一面観音とは? - 11の顔ですべての人々を見守る救済者

 

畜生道:馬頭観音

馬頭観音とは? - 苦悩や災難を粉砕してくれる

  

餓鬼道:千手観音

千手観音とは? - 千の手ですべての生き物を救う慈悲者

 
地獄道:聖観音

聖観音とは?- 観音さまの基本形(いろいろな姿に変身する前の姿)

 


これら6種の観音菩薩のことを「六観音」とよびます。

※人間界の担当は、宗派によって准胝観音か不空羂索観音か異なりますが、両者を含めて「七観音」と呼ぶこともあるようです。


六観音像の実例

京都 大報恩寺

六観音としてセットで祀られているケースは少ないですが、有名なのは京都の大法恩寺。


肥後定慶(運慶の弟子)をリーダーとする、慶派仏師たちによる作品です。

トーハクのブログ(過去記事です)に写真&詳しい解説あります。

www.tnm.jp

 

公式サイト>>>トップページ|千本釈迦堂 大報恩寺

西国三十三箇所巡り

六観音としてセットで、というわけではありませんが、西国三十三箇所巡りをすると、六観音すべて拝観できるようになっています。

西国三十三所 巡礼の旅

 

おわりに

たとえどんな世界に生まれ変わったとしても、救済の道がある。
六観音はそれを教えてくれる存在ですね。
仏教の懐の広さを感じました。

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参考文献

仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)

写真・図解 日本の仏像 この一冊ですべてがわかる!

イラストでわかる 日本の仏さま (文庫)

参照サイト

観音菩薩 - Wikipedia