大黒天(だいこくてん)とは?
七福神メンバーとしてもおなじみ、大黒天。
打ち出の小槌を持ち、お宝の入った大きな袋を背負って、米俵の上でニコニコしているおじいさんの姿で、現在は財宝の神、として有名。
元は古代インドの戦闘神でした。
中国では、厨房の神だったので、日本にやってきた当初は延暦寺の台所に祀られていました。
詳しい特徴を見ていきましょう。
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大黒天像の特徴
時代によって姿が少し変わります。
~平安時代:しかめっ面で立っている
忿怒の表情とまではいきませんが、眉間にしわを寄せ、厳しい表情をしています。
背中に大きな袋を背負い、立っている姿。
何かをのぞきこむような前かがみの姿勢をとっているお像もあります。
武装スタイルも
鎧をまとい、厳しい表情で座っている(片足を踏み下げた半跏像)お像もあります。
左手には宝杵、右手にちいさな袋を持っています。
鎌倉時代以降~現在:打ち出の小槌、米俵に乗る好々爺
鎌倉時代に日本の神様の大国主命(おおくにぬしのみこと)と結びつき、やがて現在の姿となります。
打ち出の小槌を持ち、背中に大きな袋を背負い、米俵に乗る姿。
私たちがもつ「大黒様」のイメージはこちらですね。
室町時代以降の異形:三面大黒天
正面のお顔に加え、毘沙門天と弁才天のお顔を併せ持った「三面大黒天」という形式もあります。
大黒天像の実例
立っている像(立像)
福岡 観世音寺(かんぜおんじ)
写真>>>福岡県文化財データベース
平安時代のお像で、厳しい表情で立っている姿の大黒天。
古い形式のお像としては観世音寺が有名です(日本では最古級)。
奈良 興福寺(こうふくじ) 中金堂
写真>>>https://www.kohfukuji.com/property/b-0049/
興福寺の中金堂でも厳しい表情で立つ大黒天像が拝観できます。
小柄ですこし童顔なので、厳しい表情ながらどこかかわいらしさのあるお像です。
(参考)興福寺中金堂の拝観レポ>>>興福寺 中金堂 - 300年ぶりに再建されたお堂 四天王(慶派作)の迫力もすごい
shishi-report-2.hatenablog.com
武装姿のお像
滋賀 金剛輪寺
写真(公式サイトより)>>>疫病退散・景気回復祈願 日本最古の大黒 …|お知らせ|天台宗 金剛輪寺
鎧をまとっている武装スタイルのわりに、表情はどこかユーモラスで親しみを感じます。
三面大黒天
京都 圓徳院
ご利益がこれでもかと詰め込まれていそうなお姿。
像高20センチ足らずの小さなお像です。
かの豊臣秀吉が片時も離さずに持ち歩いたと伝えらえています。
公式サイト>>>京都・東山 圓徳院:三面大黒天
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おわりに
大黒天は、インド密教においては、青黒い体で忿怒相という恐ろしい姿をしているそうです。
日本にやってくる過程で、性質が変化し、表情も柔和になったとのこと。
私たちの思い浮かべる「大黒様」はどちらかというと「日本独特の姿」なのですね。
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・写真と3行くらいで解説↓
shishi-report-2.hatenablog.com
・如来 菩薩 明王 天部の違いは?
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参考文献
仏像の見方ハンドブック-仏像の種類と役割、見分け方、時代別の特徴がわかる (池田書店のハンドブックシリーズ)
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